米迎撃ミサイルの韓国配備決定 来年末までに実戦配備

【ソウル聯合ニュース】韓国と米国は8日、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」を在韓米軍に配備することを正式に決定したと発表した。両国はTHAAD基地の建設を急ぎ、遅くても来年末には同システムを実戦運用する計画だ。

 韓国国防部の柳済昇(リュ・ジェスン)政策室長は記者会見で、「北の核と大量破壊兵器、弾道ミサイルの脅威から韓国と国民の安全を保障し、韓米同盟の軍事力を保護するための防衛的措置」と配備決定の背景を説明した。

 ベンダル在韓米軍司令部参謀長は「THAADの朝鮮半島配備は米韓同盟の防衛戦略の重要な要素であるミサイル防衛態勢を向上させる」と述べた。

 両国はTHAADの配備先をすでに決めているとされるが、今回は公表しなかった。

 柳室長は「THAADの配備先の選定は完成段階にある」として、「選定結果は遅くても数週間以内に公表できるよう努力している」と明らかにした。

 配備先としては、京畿道の平沢や江原道の原州、忠清北道の陰城、慶尚北道の漆谷などが挙がっているが、中部地方や京畿道が有力との見方が出ている。

 柳室長はTHAADについて、「いかなる第三国も狙わず、北の核とミサイルのみに対して運用される自衛レベルの防衛用兵器」と重ねて強調した。

 THAADの配備に強く反発している中国とロシアに配慮した発言とみられる。韓国政府は7日、外交ルートを通じ、中国やロシアなど周辺国にTHAADの配備決定や配備の背景などを説明した。

 だが、中国外務省はTHAAD配備決定の発表直後に声明を発表し、「今後、中国を含む地域諸国の戦略的な安全保障上の利益と地域の戦略的バランスを著しく損なう」と批判し、「強い不満と断固とした反対」の立場を表明した。

 これに対し、柳室長は「増大する北の核とミサイルの脅威から国民の生命と安全を守ることより重要な価値はない」とした上で、「中国の戦略的抑止力を損なわない」と反論した。

 来年、在韓米軍に配備されるTHAADは米ロッキード・マーチンが開発する。単一の砲兵部隊が運用し、北朝鮮が発射した短・準中距離弾道ミサイルを高度40~150キロで迎撃する。

 これまで実施された11回の迎撃実験はいずれも成功しており、韓国国防部は射程3000キロ以下の弾道ミサイルに対する迎撃能力を持つと説明している。

 砲兵部隊一つで韓国全域を防衛するのは難しく追加配備が必要との指摘も出ているが、韓国国防部は「THAADを(追加で)購入する計画はない」としている。

 THAADは在韓米軍司令官の作戦統制を受け、韓米両国の合同作戦で運用されるが、最終的な迎撃命令権限は現場の指揮官である砲兵部隊の部隊長に委任できる。

 韓米両国は北朝鮮の核実験と事実上の長距離弾道ミサイル発射を受け、2月7日、THAADの韓国配備に向けた正式な協議を開始したと発表している。3月4日に共同実務団が発足し、THAAD配備の是非や配備候補地などを検討してきた。

 韓国国防部は別途に出した説明資料で、「THAADのレーダーの探知距離は朝鮮半島に限られ、周辺国から米国に向かう移動式大陸間弾道ミサイル(ICBM)の飛行経路は在韓米軍のTHAADの探知範囲ではない」として、「米国のミサイル防衛(MD)システムとも関係なく、北の弾道ミサイルが韓国に向けて発射された場合に運用される」と強調した。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース