期限まで残りわずか! マイクロソフトに直接聞いた「Windows 10に無償アップグレードすべき理由」
■「大盤振る舞い」も終わりが近づく
購入から6年以上経ったWindowsが無料でメジャーアップデートできる──。最新OS「Windows 10」のリリースに合わせ、そんな驚きの施策が発表されたのは2015年7月のことでした。
PC向けOSとして広く普及するWindowsは3年に1回のペースで大幅アップデートされ、そして旧版から新版への更新には1万円前後の費用がかかるのが通例。これを1年間限定とはいえ無償化するのですから、マイクロソフトの意気込みが伝わってきます。
しかし、無償アップグレード期間終了の2016年7月29日を間近に控える中、アップグレードの操作手順が分かりづらく、半ば強制的であるとして、批判の声が挙がっています。一体何が起きているのか? 改めて整理するとともに、日本マイクロソフト株式会社の担当者に直接、Windwos 10無償アップグレードのポイントを聞きました。
▼要点1:間違ってアップグレードしても、31日以内なら戻せる
まず最初に、Windows 10無償アップグレード特典を受けるための条件を確認してきましょう。大前提となるのが、Windows 7、Windows 8、Windows 8.1のいずれかが搭載されたPCを使っていること。これらの端末をインターネットに接続し、Windows Updateを漏れなく適用していれば、無償アップグレードに関する案内画面が出てきます。
アップグレード画面には、予約日時が明確に示されています。この状態からキャンセルしたい場合は、文字列内の「ここ」をクリックして設定を変えましょう。
ただし例外もあります。会社・役所などでWindowsを利用している場合、PCを一番最初に設定する段階で「ドメイン」へ登録した覚えがある方はいないでしょうか? 管理者の方からマニュアルを渡され、きちんと登録しないとネット接続できない、あるいは共有プリンターを使えないなどと説明された方は、おそらくドメインに参加しています。この場合は、Windows 10無償アップグレードを適用させるかどうか、管理者の方がコントロールするのが普通ですので、案内画面が出るかはその会社ごとに異なります。
■電話サポートは4倍に
さて、今回お話しを聞いたのは、日本マイクロソフトでWindowsを担当する浅田恭子さん(Windows本部 Windowsコマーシャルグループ シニア エグゼクティブ プロダクトマネージャー)と藤原正三さん(Windows & デバイス本部 Windowsコンシューマーグループ エグゼクティブ プロダクトマネージャー)のお二人。7月29日の無償アップグレード期間終了に向けて、今まさにプロモーション活動に全力をあげているとのこと。全国12カ所の商業施設などを回るWindows 10体験キャラバンはその一例です。
また電話サポート窓口の対応人員は、Windows 10リリース時と比べて大幅に増やしています。ITに詳しい方なら、ネット検索すればPCにまつわるトラブルを大抵解決できますが、Windows利用者の習熟度はそれこそ千差万別。ネットは使えるけど、接続の設定は分からない……という人も相当数います。
「無償アップグレードの期限ギリギリになると、駆け込みでお問い合わせが増えることを予想しています。ですので、人員は6月末時点で4倍に増員しました」(藤原さん)
間違いやすいとされる、無償アップグレードの実行画面についてはどうでしょうか? この点について、マイクロソフトは「利用者からの声に基づいて修正を重ねている」という立場をとっており、案内表示も随時変更しています。ただし、アップグレードの実行には規約への明示的な同意(ボタンによるクリック)を必ず求めており、いわゆる“強制的なアップグレード”はないとしています。断言はできませんが、表示をよく読まずに何となくボタンをクリックしてしまった……というケースはあり得るでしょう。
結局、7月1日にはアップグレード画面の案内を再変更するとの発表がなされました。新しい通知画面では、「今すぐアップグレード」ボタンのほかに「日時の変更」「無償アップグレードを辞退する」の表記が加わり、挙動がより分かりやすくなりました。批判の声をマイクロソフト側が全面的に受け入れ、対処した格好です。
とはいえ、間違ってアップグレードしてしまっても、実行から31日間以内であれば、操作によって元のOSへ戻すことができます。「(ウェブサイトでの情報提供に加え)電話サポートにおいても、元のOSへの戻し方についてお答えしています」(藤原さん)
■充実の無料セキュリティ
▼要点2:セキュリティソフトが無料でついてくる
マイクロソフトがWindows 10へのアップグレードを推奨する理由。その最たるものは「セキュリティ」です。浅田さんは「残念ながら、セキュリティを巡る事情は10年前と全く変わってしまいました。サイバー攻撃は国境を問いません。(中略) 国の機関が狙われて情報が流出する事態も発生しているぐらいですから、一般のお客様の対策はさらに困難です。その状況を踏まえて、(プラットフォーム側でより包括的に)対策しようというのがWindows 10の発想です」と説明してくれました。
マイクロソフトの分析によれば、セキュリティ問題が発生する原因の多くが未だに「更新パッチをあてていない(Windows Updateを適用していない)」「セキュリティ対策ソフトの期限が切れている」だといいます。
そこでWindows 10では、セキュリティソフト「Windows Defender」が標準搭載されました。実はWindows 7でも同名のソフトを利用できるのですが、Windows 8以降で大幅に強化。ウイルス対策ソフトのように活用できるようになったのです。何より、無料である点も非常に重要でしょう。
これまで個人でWindowsを使っている方の多くは、市販されているセキュリティ対策ソフトをインストールし、1年あたり数千円の料金を払っていたかと思います。しかし長年同じPCを使ううち、有効期限が切れているのを忘れて、結局面倒くさいからそのまま契約を更新しないケースがあるのも事実。そういった状況をも、Windows Defenderでフォローしようというわけです。
セキュリティソフトが無料というと、何かウラがあるかと勘ぐりがちですが、その点は安心して大丈夫そう。「実はマイクロソフト社内でも、Windows Defenderを使っています」(浅田さん) 最新のウイルス定義ファイルが適用されていない場合でも不審なプログラムの実行を防止する「クラウドベースの保護」など、機能面でも相当充実しています。
もちろん、市販のソフトにはセキュリティ対策機能以外に損害保険がついていたりと、さまざまな特色があります。ユーザー事情に合わせて選択すればOKです。
■7や8のままでもサポートは続く
普段使いの機能も、Windows 10では強化されています。藤原さんのおすすめは「仮想デスクトップ」。例えば、ブラウザーを開くデスクトップと、PowerPointでプレゼンする場のデスクトップを簡単に切り換えられるので、重宝しているそうです。
▼要点3:事情に合わせてWindows 7を使い続けてもOK(ただし2020年1月のサポート終了まで)
マイクロソフトではWindows 10へのアップグレードを推奨していますが、当然強制ではありません。事情に合わせて、Windows 7やWindows 8.1を使い続けてもまったく問題ありません。
「アプリの互換性の都合などから、Windows 7や8を使い続ける方も相当数いらっしゃると思います。その状況でも、Windows Updateの実行やセキュリティソフトの導入など、基本的な対策をぜひお願いします」(藤原さん)
ただし、ここで注意したいのが「サポート期間」です。現在マイクロソフトが発売しているOSは、発売から最低5年間の「メインストリームサポート」、それに続く最低5年間の「延長サポート」というように期間を区切っています。つまり合計10年間は誰もが問題なく使い続けられますが、それを超えた場合はセキュリティなどで問題が発生しても、マイクロソフト側では修正パッチなどを配布してくれません。
これは、家電メーカーが修理用部品を保持する期間の感覚に近いものです。国内で製造される家電の多くは、製造打ち切りからおおむね5~8年程度過ぎると、以後は修理して使い続けるのが難しくなります。もちろん、電気技術者であれば似たような部品を自作するなりできるでしょうが、一般消費者には到底無理な領域です。
Windows 7の場合はメインストリームサポートが2015年1月13日に終了しているので、新機能の提供はもう行われません。現在は、バグ修正やセキュリティ関係の更新パッチ配布が約束された延長サポートに入っていて、2020年1月14日には終わります。この日を過ぎてもPCは起動しますが、セキュリティの観点からは極めて慎重な取り扱いが必要になります。
実はこのサポート期間の観点でも、Windows 10は今までにない画期的な性質を備えています。というのも、「Windows 10は最後のメジャーアップグレード」とされていて、今後はWindows 10の枠組みを維持したまま、継続的に新機能を追加するとマイクロソフトは明言しているのです。現に8月2日には「Anniversary Update」と呼ばれる大型アップデートが控えています。
ここからは推測になりますが、例えば5年後にWindows端末を買い替えるとして、その時点での最新OSは「Windows 11」や「Windows 12」ではなく、現在の「Windows 10」そのままである可能性が高いのです。より厳密な意味でのサポート期間については今後なんらかのポリシー変更がなされると推測されますが、Windows 10を今のうちに使い始めておけば、あとあとラクができるかもしれません。
■多様化、高度化するサーバー攻撃
Windows 7や8に愛着があれば、長年使い続けたいと思うのは当然です。いくらセキュリティの事情があるからといって、好きなものは好き。どうしてWindows 7のまま、セキュリティだけを改善していってくれないのか──。こういった声も当然あるでしょう。
しかし、近年のサイバー攻撃は、そんな「もったいない」の心などお構いなし。攻撃手法は極めて多様化し、特定のサイトをブラウザーで見ていただけでウイルスを埋め込まれたり、それこそ2015年に大騒動となった日本年金機構への標的型攻撃のように、あらゆる手が尽くされています。攻撃の手法が進化する以上、それに合わせてOSの根本のセキュリティ構造を見直していくのはある意味必然です。
もちろん、マイクロソフト側の経済的な事情もあるでしょう。いくら世界的大企業とはいえ、開発者の数は限られています。過去のOSに1件1件修正パッチを当て続けていくには限界があり、時にはOSを丸ごと刷新したほうが効率的です。
例えば車で考えてみるとどうでしょうか。1970年代に発売された名車は、現代にないデザイン感覚で設計され、愛好家を魅了します。しかし、排ガス規制基準は現在に全くそぐわず、エアバッグのような安全装備もありません。ユーザーが努力して、コストをかければ安全性は上がるでしょうが、車への深い理解が欠かせません。
浅田さんは、こう指摘します。「(アンティークの)家具ともまた違って、ITやセキュリティはどうしても陳腐化が速く、IT投資に積極的な海外とどう競っていくかは国内企業にとっても大きな課題です。最近では、過去の試算がない分、新興国のIT投資も非常に積極的な中で、日本企業が旧来型の業務システムを大事に使い続けるには限界があるかと思います。企業トップの経営判断もまた、重要ではないでしょうか」
■備えとして、一度はチャレンジしてみては?
筆者個人の意見としては、ぜひ一度はWindows 10へのアップグレードを試してみて欲しいと思います。何より期限内は無料ですし、好むと好まざるに関わらず、IT技術を日々の生活で利用する以上、自分の保有している端末がどういった状況にあるのか、どう進化していくのか、最低限体験しておいたほうが今後のためになると考えるからです。31日以内であれば元のOSへ戻せること、システム動作要件が(少なくとも現時点では)Windows 7と8と10でまったく同一であることも重要です。
「今はともかく、半年後くらいにはWindows 10を本格的に使いたい」という人は、7月29日の無償期間終了までに一度アップグレードを済ませ、すぐさま旧OSへ戻す手段も有効です。オンラインでのライセンス認証時に、Windows 10へのアップグレード実行歴がクラウド側に保存されるため、以後は同じWindows端末を使う限り、いつでも好きな時にWindows 10へアップグレードできます。もちろん、料金はかかりません。
もちろん、アップグレードの際にバックアップをとっておくことだけはお忘れなく。アップグレード云々に関わらず、PCを利用する上でバックアップは日々重要です。外付けハードディスクを使うのが無難ですが、書類中心の利用であれば、64GB程度のUSBメモリでも足りるかもしれません。
また、Windows 10へのアップグレードに関する情報をまとめた特設サイトがすでに公開されています。疑問点などはここで確認しておきましょう。ちなみに、Windows 10無償アップグレードに関する通知を非表示にするための設定も載っています。
Windows 10 アップグレードガイド(Microsoft atLife)
https://www.microsoft.com/ja-jp/atlife/article/windows10/guide/default.aspx
また、無償アップグレード期限の終了直前は、電話サポート窓口の混雑も予想されます。「期限終了までに、インストール作業に加え、オンラインでのライセンス認証も必ず済ませてください。7月29日の何時に期限が来るかは公表していませんので、できれば日本時間の7月28日中にアップグレードを完了させるのがオススメです」(藤原さん)
なお、無償アップグレード期間の終了後、マイクロソフトがWindwos 10のアップグレード版を有償で販売する計画はないとしています。このため、期間終了後にWindows 10へアップグレードしたい場合は、現在販売されているWindows 10の通常パッケージ版を購入する必要があります。ちなみ、価格はWindows 10 Homeが1万7800円、同Proが2万5800円です(税別、いずれも参考価格)。この位のお金を出すとなると、8インチ画面・容量32GBの小型Windowsタブレットが十分買えてしまいます。8月以降は、アップグレードよりも買い替えを検討したほうが良いかも……?
今回の“強制アップデート騒ぎ”で、マイクロソフトは確実に損をしました。ただ、起こった事象の1つ1つをつぶさに観察すると、ボタンの掛け違いというか、良かれと思ってやったことが100%裏目に出たという、不幸な事態とも感じます。
その一方で、7月1日にはアップグレード通知の見直しを実施するなど、ユーザーの声を素直に受け入れる度量も見せました。Windowsはもはや“社会インフラ化”しており、そのちょっとした仕様変更が驚くほど多くのユーザー・企業に影響を与えます。今回の一件を教訓として、マイクロソフトには今後もぜひ慎重な対応を期待します。
ゼロゼロ
これ後々効いてくるわ。もちろんMSが狙った強行策が功を奏したという事ではなく将来対抗勢力が普及する要因の一つになる、アホだわ
やしだ
最初から批判されるようなやり方をしたのが間違い。どんな良いものでも売り方が悪ければ…って話ですよ。
猫寝(三匹目)
SPでたら 普通に新規でPCから飼います・・・
凍幻狂
今の環境下手にいじれないので、新しいPC買ったときに普通に10買うわ。
神無月健二
そもそもまったく問題がなければ告訴までされるわけがないだろう、自分のPCでは問題なく使える=他の人も同じという発想がおかしい
ミスティーナ
システム関連のことしかなくてわろた
フィンフィン
Windows 10に無償アップグレードすべき理由なんてこの記事を読むまでもない。でもユーザーはこんなことさえ理解できない。
くるぽ
何かと思えば、MSちゃんこんなに頑張ってるんだよって擁護でしかなかった。
㈲もりの本屋
今のところ10にして問題は起こってないけどなぁ、個人的には8よりは使いやすいと思うよ
蒼のspark
正直7がそんなにサポート長いんやったらそれまで俺7使うわ、サポ切れてやばそうになったら買い換えりゃええねん
あああああああ
2016年7月29日を間近に控える中~批判の声が挙がっています。←最初っから批判されてたのに一切聞く耳持たなかったのが事実。
カワイイものはみん...
いい機会だから64bit版に乗り換えてみた
turo
半強制なんてしたら絶対問題出るのに強行したのがありえない。どんなに便利だとしてもだ。そもそも後方互換が完璧じゃないし。
jigen
要するに公式するスパイウェアの塊ではないか、との事。
jigen
ただほど怖いものはない、とはよく言ったもので、どっかで元とるに違いない。それは自民党憲法草案の21条治安維持法に関係ありそう
hauN
Win10の中にWinXPが住んでいるので(VMWare)、古いソフトはそちら、今のソフトは10でって動いてる
あれぐ
Win10にアプデした結果→GeForceドライバが競合でインスコできない→初期化させられた なぜだ
hauN
CPUにintelの6700(Skylake)使ってる人は2017年にWin7のサポート切れるお ご報告まで
かも
VRの事もあるからWin10にしたが特に問題ないぞ。UIころころ変えてくるのはどうかと思うがw
hauN
MSの稼ぎ方が「OS更新」から「Winストアと個人情報売り(統計含)」になったと認識してる 次のWinは128BitPC?