バングラデシュ 警戒のなか日本企業が業務再開へ

バングラデシュ 警戒のなか日本企業が業務再開へ
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バングラデシュに進出している日本企業の多くはイスラム教の祝日に伴う連休が終わる10日以降、業務を再開することにしていますが、人質事件を受けて駐在員に自宅待機を指示するなど安全確保のための警戒を続けることにしています。
このうち、ユニクロを運営するファーストリテイリングは、現地の店舗や製造を委託する工場で11日から業務を再開しますが、現地法人で働く日本人従業員には自宅待機を指示しています。
10日から首都・ダッカの事務所の業務を再開する大手銀行の三菱東京UFJ銀行は、駐在員に対して、不要不急の外出は控えるよう指示しています。
また、ダッカにある工場でファスナーの生産を再開するYKKグループ、ダッカに事務所を置く大手商社の豊田通商は、当面の間、現地への不要不急の出張を控えることにしています。
JETRO=日本貿易振興機構のダッカ事務所では、「イスラム教の断食月・ラマダン明けの祝日に伴う連休が終わる10日以降、多くの日系企業が業務を再開すると聞いている。人質事件がどの程度、ビジネスに影響を与えるかはわからないが、今後、バングラデシュへの出張を控える動きが広がれば悪影響が出ることも想定される」と話しています。

駐在員の赴任は情勢見極め判断

バングラデシュのダッカ郊外に現地法人と工場がある食品大手の味の素は、人質事件を受けて今月5日、現地への不急の出張を自粛するよう通達を出しました。会社ではイスラム教の祝日に伴う連休が終わる10日、工場を再開する予定ですが、現地法人の駐在員のうち1人の赴任を当面の間、延期しています。総務・リスク管理部の稲田佳昭部長は「現地の状況は極めて流動的でこうだったら大丈夫だと言い切れないものだ。安全を確保できるかどうかさまざまなチャンネルで情報入手に努めたい」と話し駐在員の赴任については情勢を見極めて判断するとしています。
味の素グループでは現在27の国と地域に拠点を置いていますが、このうちナイジェリアやトルコなどは外務省の海外安全情報から一層の警戒が必要な地域だとして日本と現地の両方で安全確保のための研修や訓練を実施してきました。一方、バングラデシュは比較的、安全な地域だと判断していたということで稲田部長は、「もはや危ない国だけで注意喚起すればよいというしゃくし定規な考えではまずいと思っている。どこで何が起こるか分からないという認識を持って各地域で安全対策を改めて進めたい」と話し、それぞれの国や地域で安全対策が十分か見直しを進めることにしています。