ソウル=牧野愛博 北京=倉重奈苗
2016年7月8日12時32分
韓国国防省と在韓米軍は8日、ソウルで共同記者会見を開き、在韓米軍への高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD(サード)」の配備を最終決定したと発表した。数週間以内に配備場所を決め、遅くとも2017年末までの運用開始を目指す。
米韓両政府は、北朝鮮による核実験と弾道ミサイル発射が、アジア太平洋地域の安全保障にとって重大な脅威となっていると指摘。北朝鮮の脅威に対応するため、米韓同盟のミサイル防御体制を向上させる措置だと説明した。
同時に「朝鮮半島のTHAADは、いかなる第三国にも向けられず、北朝鮮の核・ミサイルの脅威にだけ運用される」とした。中国やロシアに向けて運用しない考えを示したものだ。
中ロ両国は、THAADのミサイルと同時に配備されるXバンドレーダーに懸念を示している。レーダーは1800キロの範囲まで探知が可能とされる。中国は、韓国にも同レーダーが配備されると、中国軍の弾道ミサイルの抑止力が低下する、と懸念しているとみられる。(ソウル=牧野愛博)
■中国外務省「強烈な不満」
中国外務省は8日、米韓両政府が高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD(サード)」の配備を最終決定したと発表したことを受け、ただちに声明を出し、「中国や関係国の明確な反対を顧みずに配備を決めた」として「強烈な不満と断固反対」を表明した。
声明では、THAAD配備は「朝鮮半島の非核化目標の実現に助けにならず、半島の平和と安定に不利になる」と批判。「中国を含めたこの地域の戦略上の利益と戦略均衡を著しく損なう」と厳しく非難した。その上で「米韓が配備に向けた動きを停止するよう、強く促す」と強調した。(北京=倉重奈苗)
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朝日新聞国際報道部
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