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咽元過ぎれば熱さを忘れる - 人間は学習しない動物

よく言われる事ですが、人間とは歴史から何も学びません。
これを言い出したのはドイツの哲学者、ヘーゲルです。

歴史から学ぶことができるただ一つのことは、人間は歴史から何も学ばないということだ
>>ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル

極めて人間の真理を捉えた名言だと思います。
当ブログでも度々歴史を振り返っていますが、これはこの名言を念頭においてのことです。
途中まで歴史通りに動くと、教訓がどうのこうのと言いつつも、大概似た様な状況に陥ります。
ですから過去を見れば大概次に何が起こるのか、見当がつくわけです。

先日リーマン・ブラザーズが破綻して1年が経ったわけですが、世界の金融市場は再び同じ過ちを犯すために邁進しています。

NHKスペシャルで初めて知ったのですが、最近「死亡債(Death Bond)」と言うものが流行っているそうです。
日本ではまだ知名度が低いらしく、検索しても引っかからないのですが、概要としては「他人名義で保険金を掛けられる」商品のようです。

死亡債

NHKスペシャル:金融危機1年 世界はどう変わったか

証券会社などの仲介業者が各個人から保険額の4割とか5割で買い取ります。
これでその人が死んだ場合、受け取りはこの仲介業者になります。
それを投資家に転売します。

これにより受取人は投資家やヘッジファンド、そしてまた別の投資家へと、ドンドン変わっていきます。
更に証券化手法を使って、ごちゃ混ぜにして売りつけます。
お金に色は有りませんから、誰が死んだ時の保険金かなんて関係無いわけです。

人の死亡はあまり景気などに左右されない、自然現象である為安定的に収入があるとの事で、人気だそうです。
しかも死亡率は昔から研究されており、比較的正確な情報を、割と簡単に入手できます

↓これは死亡率が分かる生命表から作られた、年齢別の生存数(確率)です。

生存数の推移

厚生労働省:第20回 生命表(完全生命表)

この死亡債、案外古くから在るらしく5,6年前には既に在ったようです。
数式で書くと訳が分かりませんが、前述の通り仕組みはそんなに難しくありませんから、以前から在ったとしても不思議ではありません。

余談ですが、これが金融工学が詐欺と言われる由縁です。
簡単なことを難しく言い、如何にもそれらしく言う金融工学者やアナリストは、掃いて捨てる程います。

大前研一「ニュースの視点」:KON173 ≪Death Bond≫サブプライムローン(信用力の低い個人向けの住宅ローン)問題の本質と今後

話を戻しますが、「死亡率は一定だから安定的な収入が得られる」との触込みですが、本当にそんな事が有り得るのでしょうか?

私は無いと思います。
理由は、私にとって馴染み深いAIGが教えてくれます。

続く…
理経済:咽元過ぎれば熱さを忘れる② - AIGの悲劇
理経済:咽元過ぎれば熱さを忘れる③ - 死亡債の価格変動要因

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