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<工藤会公判>「声かけ」後、裁判員追いバスに同乗

毎日新聞 7月8日(金)10時57分配信

 特定危険指定暴力団「工藤会」(北九州市)系組幹部が殺人未遂罪に問われた福岡地裁小倉支部の裁判員裁判を巡り、組幹部の知人の男2人が裁判員に声をかけたとして裁判員法違反容疑で逮捕された事件で、男の一人がバス停で裁判員に声をかけた後、同じバスに乗り込んでいたことが捜査関係者への取材で分かった。福岡地検小倉支部は、男2人の一連の言動が組幹部の審理を有利に運ぶよう裁判員に依頼して恐れさせたと判断し、8日にも、男2人を同法違反(請託、威迫)の罪で起訴する方針を固めた。

 捜査関係者によると、組幹部の初公判があった5月10日、地裁小倉支部前のバス停で、組幹部の知人で元工藤会系組員の楠本利美容疑者(40)が裁判員2人に対して「もうある程度刑は決まっとるやろ」「いろいろ言っても変わらんもんね」などと声をかけた後、2人と同じバスに乗り込んだ。2人は楠本容疑者が車内にいることに気付き、途中でバスから降りたという。

 楠本容疑者が声をかける直前には、同じく組幹部の知人で会社員の中村公一容疑者(41)が地裁小倉支部近くの路上でバイクに乗って裁判員2人とすれ違う際に「あんたらの顔は覚えとるけね」「よろしくね」などと声をかけたという。

 楠本、中村両容疑者とも声かけの事実は認めているが、「脅すつもりはなかった」などと供述しているという。ただ、楠本容疑者はオールバックにサングラス姿だったといい、裁判員も一連の行動に「恐怖を感じた」と証言していることから、地検小倉支部は裁判員法違反の請託だけでなく、威迫にも問えると判断したとみられる。

 また、判決期日が延期されたままになっている組幹部の公判についても、裁判員裁判の対象から除外するよう8日にも地裁小倉支部に請求する方針。公判を巡っては声をかけられた2人を含む裁判員4人と補充裁判員1人が辞任しており、地検小倉支部は裁判員の心理的な負担を考慮して除外請求を決めた。

最終更新:7月8日(金)11時24分

毎日新聞

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