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第五話 ツクヨミの願い
投稿です。
今回から原作に関わります。
それではどうぞ。
「ふわぁ、んん、朝か」
あれからもう二年が経った。変わらず俺と遥斗は永琳の家に居候している。
変わったことと言えば俺が早く起きれるようになったこと位かな、それでも朝は弱いけど……
ベッドから起き上がり、食卓へと向かう。
そうだ、ここ最近永琳の料理がさらに美味くなったんだよぁ。
鼻孔をくすぐるいい匂いに誘われながら食卓に着くと、永琳がエプロン姿で料理を並べている所だった。
「おはよう永琳……あれ、遥斗は?」
「おはよう、遥斗なら、先に豊姫の所に行ったわよ」
相変わらず朝早いなぁ遥斗、その体質が羨ましいぜ。
「あ、そういえば暁人、ツクヨミ様からお呼び出しがあったわよ」
ツクヨミから?、はて、なんかしたっけかなぁ……
ツクヨミからの呼び出しの理由を考えながら朝食を食べる。
うん、実に美味しい、流石永琳だ。
「お昼にはツクヨミ様の所に向かうようにね」
「分かった」
朝食を食べ終わり、永琳の家を出る。向かう先はもちろん依姫の所だ。
いつもの道を少し急ぎながら走る。顔に当たる風が心地いい。
しばらくすると、依姫の家が見えてきた。
「依姫ー、いるかー」
玄関を開け、挨拶代わりに声をかける。すると中から足音がするのが分かった。
「あ、おはようございます暁人。今日は早いですね」
「まあ、俺も成長したってわけさ」
クスッと笑う依姫。
なんだよ、例え他のみんなにとっては普通でも俺にとっては大きな一歩なんだよ。
「笑うことはないだろ」
「いえ、子供っぽいなぁと思って」
ちくせう、子供っぽいだって?今日の稽古で絶対泣かしてやる……
子供っぽいと言われたことを根に持ちながら道場へと向かう。
相変わらず綺麗にしてるな~。
依姫から竹刀を受け取り身構える。
「それではいきます!」
「ああ、来い!」
急接近からの袈裟切りを竹刀を斜めにすることでいなし、横から切り上げる。だがそれを飛ぶことによって躱され空中から突きを放たれるが首を傾けることで避ける。
危な!今絶対首狙ってただろ。
「流石にやりますね、今のを避けますか」
「へっ、こっちだって伊達に二年間修業してるわけじゃないんだ」
「なら、これはどうです!」
袈裟切り、切り上げ、横薙ぎなどの怒涛の攻撃を受ける。
くっ、やばいこのままじゃジリ貧だな……仕方ない、あれを使うか。
そう思った瞬間、竹刀を上に弾かれる。
「そこです!」
「固有時制御・二倍速」
俺がある言葉を発した途端、俺以外の全ての動きがスローになる。
これは『Fate/Zero』で衛宮切嗣が使った魔術で、自分の身体という”空間”の内側を、外界の”時の流れ”から切り離し体内を高速化する魔術だ。ただし肉体に負担がかかるから連続使用は控えてるけど。
依姫の一撃を躱し、竹刀を手に取って背後に回ったところで動きが元に戻る。
「な!?さっきまでここに」
「隙ありだな依姫」
驚いている依姫の背中に竹刀を当てる。
いやぁ危ない危ない、後少し遅れてたら俺の負けだったな。
「あっ……私の負けですか……」
シュンとなる依姫。
はっはっはっ、そう簡単に負ける俺ではないのだよ。
「でも、まだまだぁぁあ!」
「いくらでもかかってこい!」
~数時間後
「はあっはあっ、もう無理です」
肩で息をする程に疲労した様子の依姫。
ん俺?もちろん疲れましたよ。
「じゃあ、ここらで休憩しよっか」
「そうですね」
竹刀を置き、縁側の方に座る。
いやぁ今日もいい稽古だったなぁ。
「それにしても、さっきのは何だったんですか?」
「ん?ああ、ずっと前に魔術のことについて話しただろ。その一つだよ」
「ええ!?じゃあズルしたってことじゃないですか!」
プクッと頬を膨らませる依姫……可愛い。
まあ、いいじゃないか。それ位依姫が強いっていうことだし。
ふと時刻を確認すると、ちょうど12時になるところだった。
「依姫、俺この後ツクヨミ様の所に行かなくちゃならないから今日はここまででいいかな?」
「あ、私もツクヨミ様に呼ばれてるんですよ」
依姫まで呼ばれてるんだ、一体何なんだろうなぁ。
呑気にそんな事を考えながら道場の掃除を始める。
掃除が終わりツクヨミの所に行くことになったわけだが……
「なんで遥斗もいるの?」
そう、ツクヨミの部屋に入ると、永琳と遥斗がいたのだ。
「しっ、ツクヨミ様の前なんだから私語は慎みなさい暁人」
ちくせう、永琳に叱られてしまった。おいこら依姫、隣で笑うんじゃない。
そんなことをしているとツクヨミが会話に入ってきた。
「まあまあ、よいではないか永琳。それに今回はこちらからお願いする立場なのだ、そう堅苦しくせずともよい、それに暁人、遥斗、依姫、今回はお主たちの力が必要なのだ」
「私たちの力……ですか」
依姫の言葉にツクヨミがうむと頷く。
「我々は数十年前から"月移住計画"というものを計画しているのじゃ、今まではなんとか"穢れ"を抑え込んできたのだが、だんだんと抑え込めなくなってきたのだ」
"穢れ"とは寿命や死のことだ。前に永琳が倒した怪物がいたが、あれが穢れが具現化したもの"妖怪"というそうだ。穢れがある限り、人は死から逃れられないのだという。
「それに、最近になって妖怪どもの動きも活発になってきてのう。街の衛兵隊だけでは対応出来なくなってきているのだ。妖怪たちの動きから察するに大規模に攻めてくる日は……」
「ロケットが発射する日、一か月後よ」
「そんな……」
依姫が項垂れる。それもそうだ、今の言葉を聞く限り今までの妖怪たちの襲撃を楽勝とはいかなくても、いくらかの余裕をもって退けてきたのだろう。それがいきなり大規模に攻めてくるとなれば、街は対抗できずに計画も破綻するだろう。
なんとなくだが、ここに呼ばれた理由が分かってきたな。
「つまり俺たちでその侵攻を食い止めるってことか」
「端的にいうとそういうことじゃ、もちろんこちらでは勇士を募っておく。お主たちにはその先頭に立ってもらいたいのだ」
「依姫は分かるんですがなぜ一般人である俺たちがその先頭に立つのですか」
確かに、依姫ならツクヨミを抜けばこの街で一、二を争う位強いから納得だがなぜ一般人である俺たちが先頭なんだ?
俺が疑問に思っていると、ツクヨミが少し顔をしかめながら答える。
「うーむ依姫のそうなのじゃが、実を言うとお主たち二人がこの街の希望なのじゃ」
そうツクヨミが言った瞬間、俺と遥斗の頭に?が浮かんだ。
「恥ずかしいことなんじゃが、時折お主たちの修行風景を盗み見ていたのだ。そしたらお主たち霊力も膨大にあるし時とともに戦闘センスもズバ抜けていったからの」
なるほどそういうことか。それなら納得しないでもないな。
「そういうことなら俺はやります、遥斗は?」
「もちろん俺もやります、居候させてもらった恩もありますし」
「わ、私は……」
俯いたままの依姫。
怖いんだろうな多分、大勢の妖怪たちに先頭きって挑むのが。
「無茶なお願いだということは重々承知じゃ、だがどうかこの無力な神の願いを聞いてはくれんか?」
悔しさを込めながらツクヨミが言う。
すると依姫が決意を決めた顔になり言った。
「っ!私はやります、やらせてください。そうでなければ、今までしてきたことが無駄になります」
「ありがとう、お主たちがこの街にいてくれて本当に良かった……!」
そう涙ぐんでツクヨミが言った。
泣くんだったら、この計画が無事に終わってからにしてほしいぜ。
それから当日の計画を聞いた後、俺は永琳に呼び出され、研究室に来ていた。
「例の『あれ』できてるわよ」
「おお、サンキュ、丁度いい時期に完成したな」
そう言って、永琳からある刀を受け取る。その刀の名前は『高周波ムラサマブレード』。某活人ゲームでサムエル・ホドリゲスという人物が使っていた刀だ。
ん?なぜ剣を投影出来るのに刀を作ったんだって?気分だよ気分……
試しに刀を抜いてみると、キィィィインという高周波独特の音が鳴った。指を紅い刀身に触れさせるとそれだけで指から血が出た。
ワァオ、切れ味凄いね。これと俺の能力あわせたら切れ味チートじゃん……
「ありがと永琳、この恩は月移住計画のときに返すよ」
「くれぐれも壊さないでよ」
はいはい、てかこれ壊れるのかよ。
そのまま研究室を後にし自宅へと帰る。すでに日は暮れ、夜になっていた。
(果たして計画は成功するのかどうか)
そう考えていると、背後から気配を感じ振り向く。
「……誰だ」
少し殺気を含ませた声で呼びかけると、暗闇から依姫が出てきた。
あれ、どうしたんだ依姫?確か依姫の家は反対の筈なんだけど……
「あ、あの……」
「?どうしたんだ」
次の瞬間、俺は耳を疑う言葉を聞いた。
「今日、私の家に泊まっていってくれませんか?」
いかがだったでしょうか?
一応時系列に沿って書いているので、似ている小説があるかもしれません。
次回もお楽しみに。
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