スペインなど財政規律違反 初の制裁金も
欧州連合(EU)の欧州委員会は7日、スペインとポルトガルが期限までに財政赤字削減に向けた十分な措置を取らなかったとして、財政規律違反を認定した。加盟国で構成する財務相理事会が追認すれば、欧州委は両国への制裁金を提案する。
これまで財政規律違反で制裁金を科された加盟国はない。金額は最大で国内総生産(GDP)の0.2%に上る可能性があるが、欧州委は、例外的な経済状況であれば、減額や取り消しの勧告も可能としている。
EUは、過剰な財政赤字への甘い対応が債務危機を招いたと指摘される。英国のEU離脱問題に伴って経済には先行き不安が生じる中で、難しい判断を迫られそうだ。
EUは財政赤字をGDPの3%以下に抑えるよう加盟国に求めている。スペインは2015年の財政赤字の対GDP比が5.1%と目標(4.2%)を達成できなかった。ポルトガルも4.4%と目標(2.5%)内に抑え込むことができなかった。
スペインとポルトガルは、欧州危機の際にEUから受けた支援を卒業し、経済の立て直しを進めている。欧州委のドムブロフスキス副委員長は声明で過去の財政再建の努力を認める一方で「財政赤字削減の道筋から最近脱線している」と指摘した。(共同)