日立製作所は7日、英国子会社が計画する原発事業に、国内の原発専業大手の日本原子力発電が参画すると正式発表した。日本の電力会社が海外原発に初めて参画し、運営ノウハウを持ち込むことで英国の原発事業を軌道に乗せる。設備メーカーと電力会社の連携が進めば、日本が目指す原発輸出の拡大につながりそうだ。
日立傘下の英ホライズン・ニュークリア・パワーが英国で計画する事業に日本原電が協力する。日立と米ゼネラル・エレクトリック(GE)の合弁会社が原子炉を納入し、2020年代前半から順次稼働して計4~6基を建設する予定だ。
日本原電はまず建設の許認可の手続きを支援する。建設、設計、調達の契約作業や運転開始後の保守・点検の計画策定などでも広く協力する。
ホライズンの原発は改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)と呼ばれるタイプで、日本原電が保有する原子炉の改良型。国内で培ったノウハウを生かすことで、原発の稼働停止で厳しい国内事業を補う収益源に育てる。
日立はGEとの合弁会社を通じた原発設備の納入実績は豊富だが、原発運営そのものの経験はない。このため東京電力ホールディングスなど国内の電力各社が出資する日本原電に協力を求めていた。将来は日本原電がホライズンに出資することも協議する。
原発受注では、メーカーだけでなく電力会社との一体的な活動が有利とされる。建設コストを抑えるだけでなく、完成後に安全運転を軌道に乗せ定期点検を実施するなどして稼働率を高めることが採算に直結するためだ。日立は日本原電と組むことで建設・運営の一貫体制を整える。
原発の建設コストは福島第1原発事故後の安全対策の強化を受け、1基あたり1兆円程度まで膨らんでいる。ビジネスチャンスは大きく、日本政府も原発輸出を後押しする。ホライズンの原発は建設を日揮などが担い、資材などの約4割を日本企業から調達する予定。日立の海外事業が軌道に乗れば、関連企業にも商機の裾野が広がる。