まさに「リーマン前夜」
「英国ショック」が世界経済を揺るがし始めた。まずイタリアの銀行不良債権問題、より深刻なのは英国の不動産ファンドの解約停止である。こんな時こそ、日本は経済の構造改革に一段と力を入れる必要がある。
英国の欧州連合(EU)離脱について、先週のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/49058)で「金融市場の動揺は数日で収まる」などというエコノミストは「近視眼」という書いたら、業界で反発もあったようだ。
先日のテレビ番組で私が「今回の事態はリーマン・ショックを上回るだろう」と話したら、同席した経済コメンテーターは「ニューヨーク株式市場は値を戻している」と懸命に反論した。国民投票直後の報道ステーションで朝日新聞の論説委員が「ショックは一時的、やがて収まる」と解説していたのも思い出す。
だが、小康状態を取り戻したかに見えた東京市場の平均株価は6日、再び急落した。きっかけになったのが、イタリアの銀行不良債権問題と英国不動産ファンドの解約停止だ。2008年のリーマン・ショックは前年8月にBNPパリバ関連のファンドが解約を停止したのが引き金になった。いまは、まさに「リーマン前夜」ではないか。
先週までと異なるのは、単なる不安心理の拡大ではなく、人々の投資行動が実際に変わってきた点である。企業や家計が実際に資金を手元に戻し始めたのだ。
カネだけではない。ゴールドマン・サックスやJPモルガンはロンドンを見限って、1000人単位でパリなど大陸欧州に人材を異動させる動きが報じられている。やがて自動車など製造業にも波及するだろう。
なぜ英国ショックがリーマン・ショックを上回る、と言えるのか。リーマン・ショックは金融経済分野の出来事にすぎなかったが、今回はもっと奥が深い、社会の根底を揺さぶる事態であるからだ。
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