【取材日記】「課長昇進を拒否する」という現代車労組

【取材日記】「課長昇進を拒否する」という現代車労組

2016年07月07日09時06分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  多くの会社員が同僚より早く、より上に昇進しようと全力投球する。ところが「昇進を拒否する権利を与えろ」と要求する労働組合がある。現代(ヒョンデ)自動車労組だ。現代車労組は今年の労使賃金交渉要求の中に「昇進拒否権」を含ませた。代理から課長に昇進すれば労組組合員の資格が消えるため組合員として残れるよう昇進を拒否する権限をよこせという内容だ。

  労組が「万年代理」として残るという内心は何だろうか。現代車は課長から年俸制を適用する。5段階で人事考課が行われ、考課によって年俸も変わる。課長から気を遣うことが多くなるのだ。だが代理として残れば強硬な労組の垣根の中で雇用安定を保証されうる。労組としては彼らを組合員として維持しながら勢力を大きくすることができて良い。

  ソンウ・ミョンホ漢陽(ハニャン)大学未来自動車工学科教授は「人材を育てて適材適所に配置するのは企業経営の核心であり、固有の権限なのに労組があきれる要求をしている」と指摘した。

  現代車労組のあきれるような要求はこれだけではない。現代車の社員年俸は平均9600万ウォン(約838万円)で国内最高水準だ。労組組合員は希望するならば満60歳の定年も保証される。ところで基本給7.2%(15万2050ウォン、号俸昇級分除外)の引き上げ、当期の純利益30%成果給の支給を要求案に持ち出した。賃金ピーク制については「定年を1年延長して61歳まで保障しなければ夢にも見るな」と脅した。会社の状態でも良ければまだしも、そうでもない。現代車は昨年4年ぶりに最悪の実績を出し、内需市場の占有率は初めて40%を下回った。

  労組は関係なしにストライキの手順を踏んでいる。5日、労使賃金交渉で交渉決裂を宣言した。13日にはストライキの賛否投票をする。労組は組合員に「私たちストライキします」というメッセージを送って22日、金属労組ゼネストに参加するという意志を表明してきた。ストライキに入れば2012年以降5年連続だ。

  国内の製造業者の「長兄」である現代車労組をまねる「弟」労組も多い。昨年、兆ウォン単位の赤字を記録して構造調整危機に追いやられた造船業者もストライキを本格化させている。現代車と同じように代理→課長昇進拒否権を掲げた現代重工業労組は、現代車と共同ストライキを推進中だ。サムスン重工業労働者協議会は7日、4時間にわたる全面ストライキに突入する。権五甲(クォン・オガプ)現代重工業社長は乱暴な労組の形態をこのように皮肉った。

  「父が100万ウォン稼いでいたのが60万ウォンの稼ぎになれば、それに合わせて暮らさなければならない。(子供は)父親が社長だった時の月給だけを考えてはいけない」

  子供の「お腹いっぱいの不平」のために家が破産したという話を聞かなければならないのだろうか。

  キム・キファン経済部門記者
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