新法が施行される前に、適用対象に含まれた教員とジャーナリストから不服の訴えが出ていることを受けて、ソウルの憲法裁判所が判断を示す見通しだ。記者が取材相手との食事で代金を支払わなければならなくなると、報道の自由に懸念が生じるという。
新法への反対が強まる一方で、骨抜きされることへの懸念も高まっている。「これは施行前に新法を押しつぶそうとする動きだ」とチャン氏は語り、「何らかの抜本的措置がないかぎり腐敗と戦うことは難しい」と付け加えた。
■贈収賄事件、後を絶たず
韓国では、大きなニュースとなる贈収賄事件が後を絶たない。2011年には、女性検事が弁護士からドイツ製高級車とブランド物のハンドバッグを受け取ったと告発された。この検事は昨年、贈り物と懇請との関係は立証されないとして無罪になった。
さらに最近では、韓国財閥5位のロッテグループ創業者の娘、辛英子(シン・ヨンジャ)氏がある化粧品会社を免税店に出店させる見返りに裏金を受け取った疑惑が持ち上がった。起訴はされておらず、辛氏は不正行為は一切なかったと否定している(注:韓国検察は7日未明、同氏を逮捕した)。
化粧品会社の代表だったチョン・ウンホ氏は先月、横領と海外での賭博を含む犯罪の隠蔽工作で捜査当局者に賄賂を送った疑いについて検察が調査に乗り出すなか、代表を辞任した。
新法の推進派は、経済への副次的影響を恐れて公的部門の透明性向上を危うくすべきではないと言う。
「この国の1人当たり所得が2万6000ドルの水準を超えられないのは、はびこる腐敗が理由かもしれない」と、高麗大学のキム・ウチャン教授(財政学)は言う。「新法が国内消費に及ぼす短期的な悪影響よりも、長期の経済的メリットのほうが大きい」
By Song Jung-A
(2016年7月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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