【ニューデリー=黒沼勇史】バングラデシュの首都ダッカ北方で7日午前9時半(日本時間同日午後0時半)ごろ、爆弾テロが起き、武装集団と警官隊による銃撃戦となった。警官を含め3人が死亡、10人以上が負傷したもよう。ダッカで外国人ら20人が犠牲になった飲食店襲撃事件から8日で1週間を迎える。中東の過激派組織「イスラム国」(IS)はバングラで新たなテロを予告しており、治安回復は遠い。
7日に爆発が起きたのは、ダッカ北方100キロメートルにあるキショルガンジ。地元報道によると、爆発で女性1人が死亡、銃撃戦で警官2人が死亡した。襲撃犯は6~7人とされ、1人が死亡、3人が拘束されたもよう。現場は同国最大のグラウンドとされ、イスラム教のラマダン(断食月)明けの祝祭のため20万人が集まっていた。
犯行声明は出ていない。ダッカで1日、日本人7人を含む外国人18人が犠牲になった飲食店襲撃事件が起きたが、今回の事件との関連はわかっていない。7日のテロでは銃や簡易爆弾のほか大型のナタが使われ、ISが犯行声明を出した1日の事件と似ているとの見方も出ている。
1日の襲撃事件はISの影響が一定程度及ぶ地元組織による犯行との見方が定着しつつある。死亡した実行犯5人は全員20歳代以下と若いが、飲食店の従業員や来店客の中に、実行犯を手引きした共謀者がいたもようだ。
救助された人質の中には、ISの勧誘員の疑いで警察に聴取されたことのある人物が含まれていた。主犯格の男が以前通っていた大学の元教員で、警察は拘束して事件との関わりを追及している。事件現場には無線機1つが残されており、警察は飲食店の外から実行犯に指示を与えた共謀者がいたとみている。
実行犯が属していた組織について、バングラ政府は地元の過激派組織「ジャマトゥルムジャヒディン・バングラデシュ」(JMB)としている。JMBは2005年に非合法化された組織だが、その後も存続し、最近はISに忠誠を誓ったとされる。警察はJMBのメンバー6人を事件の黒幕として追跡している。