デヴォン黒桃さん
フリーランスライター「黒桃将太郎」名義でKindle作家として活動、小説応募等をしております 第14回フランス書院文庫官能大賞、第一次選考突破したのをキッカケに小説に力を入れ初めました。 人間ドラマや人の感情に興味があり、書きたい物をジャンル問わず書いております。 「ジュジュマル」 Kindleにて発売中 瑠奈が語る記憶は真実なのか……アナタが信じるのは誰の話? http://www.amazon.co.jp/dp/B01AYK10KE
出没地 | ツイッターの中 |
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趣味 | パソコン |
職業 | author |
性別 | 男性 |
将来の夢 | |
座右の銘 |
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オモイデのお弁当
16/07/02 コメント:13件 デヴォン黒桃 閲覧数:414
皆さんは、お母さんのお弁当の思い出は有りますか?
ワタシのお弁当の思い出は……
アレは、近所で大人気の「万得屋」女主人が、一人で切り盛りするお弁当屋。
安くて美味いので、サラリーマンのランチタイムや、主婦のお昼。子供の遠足や運動会にも引っ張りだこだった。
ボリューム満点で三百円という破格に誰しもが喜んでいた。
「お、オタクも万得弁当です・・・
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蕎麦食う女
16/06/24 コメント:2件 デヴォン黒桃 閲覧数:336
とある蕎麦屋で噂に成っている、蕎麦食う女。
長い長い黒髪と赤白模様の派手な着物に、裾を引きずり、シャナリシャナリと街を歩いておるそうな。
真っ白な頬に、小さく赤い唇、仄かな笑みを浮かべては、切れ長の瞳で上目遣いに男たちを見つめる。
あまりの美しさに、男たちが声を掛けると、蕎麦の食べ比べで勝てたらば、一晩自由にしていいと、勝負に誘って来ると云う。
・・・
4
異形の心臓
16/06/03 コメント:5件 デヴォン黒桃 閲覧数:345
――夏が近づく。コンナ蒸し暑い夜はアイツを思いだす
嫌な湿気に身体を撫でられて、ウロコのようにカサついた肌は、皮膚病変で爛れて捲れ上がって居る。
俺の白く濁った瞳が視る此の世界は、灰色一色に映る。昼間でさえも、陽の灯りの下で、ヤット、セピア色に映る程度。
手足は異形に膨張して、太く曲がって、関節が最早、蟲のアレ。肘は棘が飛び出ており・・・
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雨粒ト、涙一ツ
16/06/01 コメント:4件 デヴォン黒桃 閲覧数:601
シトシト、シトシト……
ソロソロ日付が変わろうとスル、コノ街。
ヒトヒト、ヒトヒト……
小走りの夜の蝶、雨宿りを諦めた、千鳥足の酔っぱらい。
道路を行き交うヘッドライトとテールランプが、絡み合いトケて流れる。
白く浮かぶ街灯、空の紫に、黒紅色のグラデーションが降りてきた。
突然降り出した雨に、抵抗・・・
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最終列車
16/05/20 コメント:2件 デヴォン黒桃 閲覧数:408
シュッシュッシュッシュッ
何時の間にやら眠りこけていたらしい。車窓から外を眺めると、夕焼空に黒煙が、滲んで溶けて、灰色を薄くばら撒いていた。
シュッシュッ……ボォォォォォォッ
蒸気機関車が汽笛を鳴らす。
オンギャア、オンギャア
若い母親が、泣いて喚く赤子を抱いて、オロオロとしておった。
・・・
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蜜柑を一房
16/05/13 コメント:4件 デヴォン黒桃 閲覧数:708
源十郎サマ……嗚呼、モウ一度だけでも、壱刻だけでも、又御目に掛かりとう御座います。美代子は、涙も涸れ果てて、マイニチ哀しく、独りで暮らしております。
イッソ、戦死の報告でもアレば、此の身をアノ川に沈めて仕舞い、貴方の御側に逝きとう御座いますのに、モシヤ明日にでも、今帰ったよと、扉が開いて、源十郎サマが私を抱いて呉れやしないかと夢見て仕舞い、生きながらえている有り様です。・・・
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チノイロ
16/04/25 コメント:5件 デヴォン黒桃 閲覧数:734
――ギャアギャアと、アタシは只、ギャアギャアと泣いていた。
白い灯りの方へ進む。母のお腹から飛び出した、ソコがアタシの生きる世界だった。父と母が創り上げた、壮大な愛の結晶のアタシ。母は、涙と汗に塗れながらにアタシを産んで呉れた。
薄紫の、小さな身体を叩かれて、産声を上げた肺に空気が送られる。ソレはもう小さな、小さな手脚を、頭を、全身を、ジタバタと動・・・
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