ツタヤ図書館、ついに不信強める市が大量「古本」選書を拒絶!CCC関連会社から大量購入
世間的な批判があまりにも広がったため、さすがにCCCと武雄市は記者会見を開いて釈明すると思われていたが、CCCは9月10日に「謝罪文」を自社サイトにアップした。この謝罪文の中で同社は、「追加納入蔵書数1万132冊」を当時自社と資本関係のあったネットオフから購入したこと、その価格は装備費・物流費込みで760万円であったことを明らかにし、「より精度の高い選書を行うべき点があったことを反省している」と謝罪した。
それまで1万冊の追加蔵書の購入費用は、約2000万円とされていた。それが760万円だったことがわかり、1200万円が使途不明だと騒ぎになった。
そこで翌11日、今度は武雄市が「利用者の安全対策に対応した整備が緊急に発生したため、教育委員会の判断で、中古本を756万円で購入した」と発表し、本の落下防止等の対策のために1224万円を支出したと説明した。まるでCCCと口裏を合わせたかのような釈明に市民は納得せず、その後住民訴訟を提起するに至っている。
CCCの批判報道は、9月11日以降も止まる気配はなかった。くしくも10月1日、神奈川県海老名市に全国で2番目のツタヤ図書館がオープンすることになっていたため、メディア報道は武雄市から海老名市に飛び火する格好となった。そして、海老名市でも購入図書の半数が料理本で、メガネクロスやフライパンなどの付録付きムック本といった不適切な選書問題が発覚した。
さらに、CCCのパートナーとして海老名市立中央図書館を運営する予定だった共同事業体の図書館流通センター(TRC)が、CCC独自の図書分類がわかりにくいなどと公然と批判し、「基本思想が違う」と述べて協力関係の解消を発表した。その後、一転して共同運営の続行を表明するなど、不透明な運営に注目が集まった。
また、ツタヤ図書館誘致を計画していた愛知県小牧市では10月4日、その是非が住民投票にかけられ、市長が進めていた新図書館建設計画が大差で否決される騒ぎにまで発展した。
多賀城市教育委員会が態度を硬化させたワケ
このような一連の流れのなかで、ツタヤ図書館のオープンをその翌年に控えた多賀城市は、対応を考え直さざるを得なくなった。少なくとも武雄市図書館で問題が発覚するまでは、東京・代官山の蔦屋書店を見て、素晴らしい空間をプロデュースするCCCに対し、市教委スタッフは少なからぬ敬意を払っていただろう。ところが、そのCCCが運営する図書館で不祥事が続々と明らかになってきたのだ。
そこで、大騒動の渦中にいたCCCが9月15日に提出した第3回リスト2049冊のうち、市教委が371冊もの本について購入を拒否した。最終的に12月8日の登録までに、現物の状態を確認した結果、受け入れを拒否した127冊も含めると、全体の24%を「受入不可」とした。
市教委がCCC選書の4分の1を受入拒否した出来事の背景には、そのようないきさつがあったのである。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)