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東方月影録 作者:隻眼の白狼
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第四話 おてんばお姫様

投稿です。

今回は桃大好きなあのお方が出てきます。

それではどうぞ。
人と別れた後、永琳から貰った地図の通りに歩いていると、目的の屋敷らしきものが見えてきた。
随分大きいな、この屋敷に一人で住んでいるのか?

屋敷の門には衛兵らしき人がおり、中の人の地位も中々であることを表していた。

「すいません、中に入れてもらえませんか?」

「それは無理だ、一般人を豊姫様に会わせる事は出来ない」

なるほど、確かにそうだな。

さてどうしたものかと考えていると、頭上から声がするのが分かった。

一体なんだと上を向いてみると、女性が木から落ちそうになっている所だった。

「ああ!? 豊姫様なんて所に!」

そう言ったのも束の間、女性は足を滑らせ、木から落ちてきた。
っ!? 危ない!

お姫様抱っこの形で女性をキャッチし一先ずは安心する。
衛兵になんか言われているがそんなのは気にしない。

「ふ~、大丈夫でしたか?」

安否を確認すると、キョトンとした顔から一転、フフッと笑いだした。

「ええ、ありがとう。それと降ろしてもらえないかしら?」

おっと、これはいけないと思い女性を降ろす。

「助けてくれてありがとう。私は綿月豊姫よ、えっとあなたは」

「東雲遥斗と言います」

ここへは何の用で来たの? と聞かれたので今までの事を全て話す、勿論転生の事は抜きにして。



~少年説明中



「フフッ、師匠も苦労してるみたいね」

「ええ、俺の他にもう一人もいますから」

立ち話もこれ位にして後は中でと言われたのでそのままついていく。

「綺麗なお屋敷ですね」

「ありがとう、でも掃除しているのは私じゃないのよ」

「他に住んでいる人がいるんですか?」

まあ、こんな広い屋敷に一人しか住んでない方がおかしいか。
そう考えていると、豊姫が誰かを呼んでいた。

「レイセン~お客様に挨拶しなさーい」

豊姫がそう言うと、奥の方からタッタッタッと足音がしてきた。
現れたのは、黒の制服にスカート、薄紫色の髪に兎耳が特徴的な女の子だった。

「は、初めまして、レイセンと言います」

「フフッ、緊張しちゃって」

ぷるぷる震えてる……可愛い。

そのまま簡単に自己紹介を終えた後、豊姫にでっかい道場みたいな所に連れてこられた。
ここで修行するのか、それにしても大きいな。
どうやらここの道場は衛兵の人たちが使っているらしく、今日は使う予定がないそうだ。

「ここなら広いし誰もいないし、のびのびと修行が出来るでしょう?」

確かにその通りだと思い、早速能力について豊姫に話す。

「ふーん『意思を読み取り構成する程度の能力』か、随分複雑そうな能力ね」

「意思を読み取るのは分かるんだけど、構成するっていうのがいまいち分からなくて」

じゃあ試しにこの屋敷に《動け》って意思を作ってみてと言われたので、早速やってみる事にする。
畳に手をつき、心の中で念じる。

―――動け

すると突然、地震でもきたかのように屋敷内が揺れる。
あれ、もしかして成功しちゃった?

「遥斗! 早く戻して、屋敷が崩れちゃうわ!」

「え? ああ、うん」

再度、心の中で止まれと念じる。すると先程までの揺れが嘘だったかのように静まる。

「どうやらあなたの能力は、命を持たないものに意思を持たせて、行動させることが出来るようね。はっきりいって凄い能力だわ」

そうかな? じゃあもしかして人形とかに使用したら自立させて動かす事ができるのか。

「でもそれほどの能力を使うんだから、何かしら負担があると思うんだけど……」

そう言われれば、少し疲れたな。もしかして意思を持たせる物の質量によって霊力を消費するのかな?

その後、紙や人形などにも意思を持たせたら、ふよふよ浮いたり、歩き出したりとなんか凄い事になったので一先ず中止し縁側で休憩している。

「はー、面白かった。色々動かしたけど疲れてない?」

「うーん、少し疲れたかな?」

これだけやって少し疲れる位の霊力って、神様半端ないな……

「この能力を生かせる武器があったらな~」

そう思い空を見上げていると、豊姫が一瞬考えた顔をした後、何か閃いたような顔になる。

「あるわよ遥斗! ちょっと待っててね」

立ち上がり道場から走り出ていく。
? 一体何があるんだ。

しばらく待っていると、豊姫が頑丈そうな箱を持ってきた。

「実は少し前に開発部門の人たちから新作が出来たって言われたから拝見したついでに貰ったものなんだけど」

そう言い箱の中身を開ける。箱の中には黒と白の二つの銃が入っていた。
へぇー、結構カッコいいな。ていうかついでで貰えるものなんだろうか?

銃を手に取ってみる。ずっしりとした手ごたえがあって手に馴染むみたいだ。

「ああ、でもね。開発部門の人たちが言ってたんだけど、射程、精度、速度ともに優秀だけど、どうやら霊力の消費量が多いみたいなの」

銃のことについて説明し、少しシュンとしてしまった豊姫。
なんだ、そんなことなら心配いらないな。

「大丈夫だよ豊姫、だって霊力なら」

霊力を解放させる、使い方については昨日の夜に暁人と色々議論したので、大体は分かっている。

屋敷がミシッミシッと軋む音がする。豊姫を見ると、霊力の量に驚いているのか、パチパチ拍手している。

「わぉ、凄いわね遥斗。それだけ霊力があるなら心配は無用ね」

「ありがとう豊姫、それと試し撃ちしてみたいんだけど、いいかな?」

豊姫から承諾を受け、銃を空に向ける。引き金を引くとバンッという音とともに弾が発射された。
これ、連射も出来るのかな? 試してみよう。
引き金を引っ張ったままにすると、予想通り連射する事が出来た。
へぇー、他にもいろんな機能がついてるのかな。

「豊姫、他にどんな機能がついてるのかな?」

「う~ん、霊力を溜めて撃ったりとか……」

豊姫の助言通りに今度は銃を伝い、銃口に霊力を溜める。するとサッカーボール位の大きさの霊力弾が出来た。
よし、これに俺の能力をあわせてみよう。

弾に《数秒後に爆発》という意思を構成し撃ちだす。雲まで到達した弾丸は大規模な爆発を起こし、雲に大きな穴をあけた。
ワァオ、凄い威力だな、これは扱いに注意しないと……っ!?

気楽にそんな事を考えていると、突然目の前の視界が歪む。
まさか霊力の使いすぎか? くそ、しくじった……

そのまま俺は気を失った。







「ん、あれ、俺は……」

目を開けると、縁側の天井が目に入った。
ああ、確か霊力の使いすぎで倒れて、それから……

身体を起こそうとして、ふと違和感に気づく。後頭部に妙な柔らかさがあるのだ。まさかと思い視線を上にあげると……

「あら、起きたのね遥斗」

予想通りというか、なんというか。豊姫が膝枕をしていた。
え? なんで膝枕なの?いや嫌いじゃないけどなんで……とにかく落ち着け、落ち着くんだ俺。

「えっと、まずなんでこうなってるのかな?」

「フフッ、いいじゃない別に。それに気持ちいいでしょ?」

確かにそうだけれども……
豊姫の話によると、一度に大量の霊力を使ったのに俺の精神がついていけなかったらしい。霊力の扱いに慣れるまでは大きな力は使わないように、と言われた。

「そろそろ大丈夫だよ、ありがとう豊姫」

「どういたしまして、またしてあげてもいいのよ?」

「はは、魅力的なお誘いだけどお断りしておくよ」

こんな所、暁人に見られでもしたら嫉妬で殺されかねないからな。
身体を起こし、辺りを見ると、先程俺が使っていた銃が横に置いてあった。

「あのさ豊姫、この銃貰ってもいいかな?」

「? 別にいいわよ」

そうだよなぁ、いきなり貰ってもいいわけないよなぁ……え?

「本当にいいの?」

「ええ、だって私が持ってても宝の持ち腐れだもの」

その後豊姫から銃を貰った俺は屋敷を後にし、永琳の家に帰ることにした。

「これからよろしくな、相棒」


いかがだったでしょうか?

なるべく投稿が遅れないように心掛けたいです。

次回もお楽しみに。

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