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夜間の自転車走行で無灯火はもってのほかだが、点滅式のライトはどうか?
これは紛れも無く違法である。
勘違いをしているものも多く、かつて草加市のサイトで点滅式でも認めるべきだというような記述があり、勘違いを助長させている。
草加市は『実際は点滅式は違法であるが、草加市は街灯が整備された市街地が多く、点滅式も特区として認めるべきだ』と提案。
現在の自転車の灯火の規制は
道路交通法 五十二条(略) その政令とは
道路交通法施行令 十八条(略) その公安委員会が定める灯火の色や明るさの基準は次のものである。
埼玉県道路交通法施行細則(草加市の場合) 勘違いをしているものは、前方10メートルの距離の障害物を確認できれば点滅も違法でないというがそれは大間違い。
まず道交法、道交法施行令で灯火をつける義務を課し、細則でその色、光度を示しているにすぎない。
つまり公安委員会で定めた色、光度の灯火を点け、維持継続させる義務がある。
滅灯を覚知できるほどの点滅は、滅灯時に定められた色、光度等、要件を満たしておらず適法性を欠く。
過去の簡易裁判所では
運転席にあって滅灯が覚知できない番号灯等は、運転に先立って点灯を確認すれば走行中に滅灯してもやむを得ないが、運転席にあって滅灯を覚知できる灯火の場合は別 としている。
厳密に言えば蛍光灯なども点滅しているが、人間の目には点灯しているように見える。
このような点滅は滅灯を認知できないから合法であるが、いわゆる点滅ライトは運転席において認知できる滅灯であり、定められた色、光度も維持できていないから違法である。
いくら草加市が点滅ライトを合法として欲しいと提案しても、法律と都道府県の道路交通法施行細則が基準。
結局は草加市の点滅ライト提案は特区として対応されず、埼玉県道路交通法施行細則も変更しなかった。
法令上、夜間通行中は定められた基準の灯火をつける義務がある。
漢字で表記すれば「灯火を点ける」であり点灯の義務がある。
通行中は規定の灯火を点灯し続ける義務がある。
点滅の義務でなく、点灯の義務だ。
点滅は点灯させたり滅灯させたりしている行為。
消している間は違法、つまり点滅は違法。
例えば自動車の運転者はシートベルトをつける義務がある。
これは発進時だけでなく走行中、ずっとである。
つけたり外したりしては、外している間は違法なのと同じ。
スピードだって制限速度を守ってる時と守っていない時があれば、守っていない時は違法になるのと同じ。
どういう理屈で点滅が合法になるのか、はなはだ疑問である。
こういうおかしな考えは
『エアバッグが装備されていれば、シートベルトはつけなくても良い』
『赤信号であっても安全が確認した上でなら進んでも良い』
『酒を飲んでも運転に影響が無いと自信があるときは運転しても良い』
などというトンデモ主張するのと同じだ。
ちなみに各都道府県公安委員会等の見解は
『最近、点滅式ライトを付けて走っている自転車をよく見かけます。しかし、法令では、自転車のライトは前方10メートル先の道路上の障害物が確認できる明るさが必要です。必ず点灯式ライトをつけましょう。 』警視庁(東京都) 『点滅するライトは、不適切ですので前照灯の代わりにはなりません。 『点滅式ライトだけでは危険です。必ず点灯式ライトをつけましょう。』広島県警
『前照灯は点灯 してください。点滅モードでは前照灯に相当しません』 『点滅状態や無灯火での夜間乗車は、法令違反になります』 参考までに日本工業規格(JIS規格)では自転車用灯火装置について
『定格電圧で点灯したときに目で見える点滅をしてはならない』 となっている。
規格番号 JISC9502
規格名称 自転車用灯火装置
JIS規格名称検索から『自転車用灯火装置』で検索
なお自転車停止中の滅灯は簡裁判決で
停止している場合はライトを点灯できない自転車が大半であり、停止時まで点灯すべき注意義務を課すことはできない としている。
知恵袋などのQ&Aサイト、掲示板の書き込み、ネット上の情報には間違った記述も多い。
例えば 「自転車の灯火は都道府県によって条例で決められている」 これは正しくは「条例」ではなく「規則」で定められている。 この自転車の灯火を定める規則は行政委員会の一つである公安委員会が地方自治法、警察法、道路交通法に基づく規則制定権によって制定する。
条例は地方公共団体の事務に関し、議会の議決により制定される。 また特区として対応されなかった草加市の点滅灯提案に対し警察庁が
道路交通法上、「灯火」には点滅も含まれ得る。
と草加市に回答したことを根拠に点滅灯が合法だというのも間違い。
道交法上、自転車の灯火については下位法である公安委員会規則に委任しており、講学上、現行法において下位法である公安委員会規則を改正して点滅灯を自転車の前照灯として制定し得るということ。[形式的効力の原理]
禁止されていないが、認められていない場合を意味する。 (現行規定では点滅灯を前照灯として使うことは違法)
例えば憲法では選挙権について
とあり、下位法である公職選挙法等に委任している。
このような場合、15歳の者は選挙人に含まれるかどうかについて、憲法上は禁止もされていないが保障もされていないから
『憲法上、選挙人には15歳の者も含まれ得る。』
などと使う。
ただし下位法である公職選挙法等で認められない限り選挙人には含まれない。
さらに
「点滅させることを禁止する条文がないから合法だ」
「滅灯を禁止する条文がないから合法だ」
などという法解釈を誤っている者も多い。
義務、要件を定める規定の場合、禁止されていないから合法になるのではなく、認められていないから違法となる。
初心運転者は初心運転者標識を表示する義務があるが、「初心者が乗っています!」などのロゴの入った自作標識を表示することは禁止されていない。
しかしそれを初心者マークの代わりに使うことは違法である。
同じように、たとえ法令上の要件を満たした初心者マークであっても、地上0.4m以上1.2m以下の定められた位置に表示しなければ違法である。
地上1.5mなど定められた位置以外に表示することを禁止する決まりは不要。
同じく道交法でいえば、
第十七条 車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。 この場合、歩道や路側帯の通行を禁止する文言が条文になくても歩道や路側帯を通行することは違法となる。
同条 第四項(略) これも右側部分の逆走を禁止する条文は不要で、右側通行は違法となる。
点滅灯を例えるなら、法令で左側通行を義務付けられても右側通行を禁止する条文が無いからといって、中央線をジグザグに行ったり来たりしながら道路の左側部分と右側部分を交互に走行するような違法行為である。 「市街地で街路灯の多い道路、コンビニやガソリンスタンド等道路周辺施設などの照明の多い繁華街、あるいは交通量が多く、通行する自動車等の前照灯により比較的明るい道路であれば、暗いライトや点滅灯でも合法である」
などと独自に状況設定や条件を付け加えて要件や規制を緩和して解釈するのはどうか?
このように書かれると一見すると真っ当な法律解釈で正しいと思われがちであるが、実は誤りなのである。
道路交通法では道路または交通の個別具体的状況等を勘案する条項の場合、状況規定が設けられている。
例を挙げれば下記のようなものである。
すなわち道交法52条(灯火義務)にも同施行令にも公安委員会規則にも、前照灯に関しての状況規定が設けられていないことから、道路または交通の状況等に関わらず、道路または交通の状況等を勘案することなく、その前照灯そのものの単独の能力でもって10メートル先の障害物が確認できる性能を要件とされているのである。 ゆえに
街路灯も多く交通量の多い道路
街路灯がなく交通量も少ない田舎道
さらには施行令第十九条による昼間でもトンネルの中、濃霧などで視界が五十メートル以下であるような道
(仮にたとえ視界が前照灯の要件を超える十メートル以上であったとしても)
いずれの場合にも点灯義務は免除も緩和もされず、その求められる前照灯の能力は同じであり、それが法的安定性の上でも妥当といえるのである。
シートベルトの妊婦・病人などの着用免除規定がある場合でも無いのに、勝手に状況設定や条件を付け加えて要件や規制を緩和したり免除したりすることなど法令は許していないのだ。
上記の条件付合法解釈は
「急いでいる時や交通量が少ない場合に限り、最小限度だけ制限速度を超えて走行しても良い」
などと同類の誤った解釈であり違法なのである。 点滅灯がなぜ法解釈上、前照灯として違法となるのかについて補足
道交法関係法令では二つの基準がある。その一つが
これは程度を定める緩やかな基準である。
例えば徐行義務がある場合に現行法では
『直ちに停止することができるような速度』 であるから、直ちに停止できなくても、停止できるような速度であれば直ちに違法となるわけではない。
仮に条文が 『直ちに停止することができる速度』
であれば、これは直ちに停止することができなければ直ちに違法となる厳格な基準である。
自転車の前照灯の場合
これは厳格な基準であり、光度に確認することができない虞れがある時があれば直ちに違法性を帯びてくるのである。
交通上の障害物を確認することができるような光度ではない。
また 確認することができる光度を有するもの というのは、前照灯をつける義務があるときには常にその光度を有しなければならないのか、有する時があれば有しない時があってもいいのかであるが、これは前者である。
常に満たさなければ有するものとはいえず、欠けている時があればそれは
有することがあるものである。 例えば
この場合、六カ月以内に免許を受けていたことがあれば、免許を受けていない期間があっても条件を満たし六カ月間ずっと免許を受けている必要は無い。
これが仮に 『六月以内に普通自動車免許を受けていた者』 であれば、六カ月間すべての期間において免許を受けていなければならない。
少しでも欠けていれば条件を満たさないことになる。 以上から点滅灯が自転車の前照灯の要件を満たす余地は皆無なのである。 このように公安委員会、コンプライアンスの徹底したまともな自転車メーカー、ライトメーカーの法務担当部署など、その道のプロ組織は正しい解釈で統一しており、点滅灯は違法で一致している。
点滅灯は違法ではないというのは、道交法をしっかり学ぶ機会の無い法解釈の未熟な素人の独自解釈であり、誤りなのである。
警察による指導も行われているようだが、まだまだ間違った認識を持った自転車乗りが多いのが実情。
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