音楽と政治 (2)
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雑記
音楽と政治の関係についてあらためて考えると、結局、「本当は音楽家でない人が政治活動のために音楽を利用する」とカッコ悪いことになるのでしょう。音楽好きからすると「俺達の音楽を汚すな! 他の何かの手段にするな! 政治を持ち込むな!」ということになる。
しかし世の中には表現の欲求と政治的衝動が、かなり自然に、不可分に融合してしまっている人々が存在する。この人はきっとそういう人で、文句なしにカッコいい。
これを聴いて「政治活動のために音楽を利用している」と思う人はまずいないでしょう。社会参加・政治的表現の欲求と、音楽することへの欲求が、この人の中では特に違ったものではないんじゃないか(勝手な推測です。他人の心の中なんかわかりません)。
鎮座DOPENESSを聴いていたら、ミシェル・ンデゲオチェロのグルーヴが突然脳内に蘇ってきました。何か似ているような気がする。何が似ているんだろう。
社会への怒りや憤りが表現されている「すごくいい音楽」に遭遇することは本当に稀なのですが、よく考えるとブルースという音楽では「歌うこと」と「政治的見解の表出」が同時に行われていたのかもしれないし、ラップはさらにそうなのかもしれない。
アフリカから連れて来られた人々が、つらい綿摘み作業中、気を紛らわすために歌う。不遇を歌う。悲しみと喜びを歌う。それは否応なしに政治的な行為でもあったんじゃないか。
結局、本当にそれをやりたくて、自然にやっている人はカッコいい。インチキはすぐにバレる。本物だとみんな足を止める。正しい音楽とか間違った音楽とかは存在しない。良い音楽と、そうでもない音楽があるだけだ。良い音楽と関わっていたい。
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