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東方月影録 作者:隻眼の白狼
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第三話 道場主さん

投稿です。

「んっ……もう朝か」

俺は窓から差し込む太陽の光で起きた。時計を見ると、丁度七時になっているところだった。

もう少し寝ようと布団を被る。すると、部屋の向こうから足音がしてくるのが分かった。

「おーい、起きてるか暁人」

ガチャっとドアを開けて入って来たのは遥斗だった。
うるさいなぁ、もう少し寝させてくれよぉ。

しかし、俺の気持ちが届く筈もなく、布団を剥がれる。

「ほら起きろって、永琳が朝ご飯作って待ってんだから」

「う~ん、後五分だけだから~」

朝は超がつくほど俺は弱いのだ。しかもなんでお前もう起きてんだよ、もう少し寝てろっての……

そのまま、俺の抵抗もむなしく、布団を全て取られる。俺はしょうがないと言いつつ、リビングへと降りる。

「あら、おはよう寝坊助さん、先に食べちゃおうかと思ってたわよ」

「うるへぇ、昨日色々あったから疲れただけだ」

欠伸をしながら、椅子に座り朝食を食べる。
あれ?昨日みたいに錠剤がそのまま入ってない。

不思議に思っていると、遥斗から声をかけられる。

「ああ、今日の朝食は、俺が先に起きたから、先に作ったんだ」

「結構美味しいわね」

へぇ~、遥斗が作ったのか、てかそもそも料理出来たんだ遥斗、なんか負けた気分だ……

「ところで、二人は今日どうするの?」

「え? う~ん、修行とか」

「俺も修行したいな、永琳、どっかに修行するのに最適な所とか知ってない?」

「それなら、私の弟子達の所に行くといいわ」

永琳の弟子か……昨日の化け物を瞬殺できる位だから、その弟子も強いんだろうなぁ~

そのまま朝食を食べ終わり、永琳から弟子の居る所の地図を二つ貰う。

「はい、暁人はこっちの地図、遥斗はこっちの地図ね」

「え、なんで地図が二つなの?」

「もしかして永琳、二人弟子が居るの?」

「フフ、その通りよ」

自信ありげに言う永琳。
それにしても二人か、どんな人たちなんだろ?

そのまま遥斗と別れ、目的の場所へと向かう。




  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇




「ここが地図に書いてあった場所か」

地図に従い道を歩いていると、道場と思われる屋敷が目的地に記されてあった。
永琳の家よりでかいな、しかも道場っぽいし。

「すいませーん」

取りあえずお邪魔しようと声をかけるが、返事は返ってこない。
留守にしてるのかな? そのわりには玄関に鍵がかかってなかったけど。

外で待っているのも、あれなので取りあえず中に入る。道場を見ると、床や壁も綺麗に掃除されていて、埃一つ落ちていなかった。
永琳の家とは大違いだな、道場主は綺麗好きなんだなぁ。

道場の中心に座り、神から貰った特典について考える。
『魔術の才能』と『アーチャーの心像世界』……これがあれば俺の見込みでは様々な物体を投影することが出来る筈だ。

「――投影・開始(トレース・オン)

身体の中で何かのスイッチが入ったような気がする。そのまま一本の刀剣をイメージして目を閉じる。

目を開けると、想像した通りのシンプルな刀剣を手にしていた。
おお、マジか想像したのと全く同じだ……っていうかかなりシンプルだけど。
よし、次は宝具を投影してみよう。

と、思い先程と同じように想像、するのではなく、自分の心像世界から二本の剣を引き抜くような感じで投影を完了する。その剣の名は干将・莫耶、原作でアーチャーが最も愛用していた夫婦剣だ。

二本の剣を振ったり、他の剣を投影していると、ふと声をかけられる。

「あの、すいません」

「ん?」

振り向くと、道場の入り口に腰まで届くポニーテールに紅衣を纏った女性がいた。

「あ、すいません、勝手に上がってしまって」

「いえ、見知らぬ方が道場にいたもので、つい」

この人が道場主かな、それなら挨拶しとかなきゃな。

「俺は月影暁人といいます、永琳に地図を貰ってここへ来ました」

「ああ、師匠の知り合いでしたか。私は綿月依姫といいます」

綿月……どっかで聞いた事があるんだけどなぁ、まあ多分東方関連だろう。

「それで、ここには何の用でいらっしゃったのですか?」

「ああ、それは」



~少年説明中



「なるほど、自分の身を守るためにも修行をして強くなりたい、ですか」

転生以外の事を全て話した。森で目覚め、永琳と出会った事からついさっきのことまで、ちなみに能力の事も話した。後で永琳にもいっとかないとな。

「そうなんだ、だから俺を強くしてくれないかなって思って」

「わかりました、それでは早速稽古を始めましょう、ですがその前に」

そう言い床を指さす。そこには俺が投影した大量の剣が落ちていた。

「ああごめん、――投影・完了(トレース・オフ)

そう俺が言ったと同時に、剣が消えていく。
おう、やっぱ便利だな投影は、出し入れ自由だ。

「わ、凄いですね、これも能力の一部ですか?」

「いんや、これは能力じゃなく魔術ってやつだ」

まじゅつ? と依姫が首を傾げる。
あれ、この時代には魔術はまだないんだっけ?
まあそれはともかくとして、本題に入る。

「まあ、そのまじゅつというのは置いておいて、あなたの能力……『拒絶する程度の能力』ですが、実際にはどの範囲までその能力が及ぶのか試させてもらいます」

そう言い竹刀をとってくる依姫。
どの範囲までか、正直俺も分かんないな。

まずは能力を使わないで受けてくださいと言われた。
え!? 受けるってその竹刀をか! ちょっとまt

「はぁ!」

縦に断ち切るように放たれた依姫の竹刀が俺の腕に当たり、バシンッと小気味いい音が響く。
うおーかなり痛い、俺でこれなら普通の奴骨折してるだろ!

「では、次は能力を使用してみてください」

使用してみてと言われても……俺にかかる衝撃を拒絶すればいいのかな?

依姫に言われるまま、身体を覆うように能力を発動させる。

「よし、多分出来た」

「それではいきます……はぁ!」

先程よりも力が込められていると思える程の早い袈裟切りが俺めがけて放たれる。そして竹刀が当たり、先程と同じ音が出るかと思ったが、予想に反し、ドスッという音がでて、痛みもさっきよりはマシだった。

「あれ、そんな痛くない……」

なるほど、どうやらある程度の攻撃は軽減することが出来るようだ。
俺がそう思っていると、依姫が驚いたような顔をして見ていた。

「あれ、結構力込めたんですけど、大丈夫ですか?」

「ああ、全然問題ない……てかそんな力込めるなよ」

アハハハと、自重気味に笑う依姫。
まったく、もし能力がうまく使えてなかった場合を想像したら寒気がするな。

その後は、剣術の指南を受ける事になったので竹刀を持って依姫の対面で身構える。

「剣術は経験がありますか?」

「いや全然、じゃあいくぜ!」

体制を低くし突きを放つ、がそれを簡単に弾かれ、背中に一太刀をいれられる。

「痛てて、やっぱこんなんじゃ無理か」

「どうしました、そんなものですか?」

う~ん、やっぱ経験者は動きが違うな、俺もあんな風に動きたいな。

「まだまだぁぁあああ!」

そのまま、稽古は夜まで続いた。

「はぁっはぁっ、今日はこれくらいにしましょうか」

「ああ……そうだな」

かなり疲れている様子の依姫。
正直言うと、俺の方はあまり疲れていない。さすが神様ボディ、まあ疲れてはいるんだけど……

「さて、遥斗の方はどうなってるかなぁ」

いかがだったでしょうか?

暁人君は力、速度、霊力ともに依姫に勝っていますが圧倒的な経験不足により今の段階で戦っても恐らく依姫に負けます。

次回もお楽しみに。


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