苦労が足りない。

「お前は苦労が足りねえよ! もっと苦労しろ!」

これは会社の上司が私に言った言葉ではない。精神科のカウンセラーが私に言った言葉である。およそまともなカウンセラーとは思えないが、精神医療の世界には、こんなおかしい人もいるのだ。

「苦労が足りない」と言われれば、多くの人が「そうかも」と納得するのではないか。誰だって多かれ少なかれ、自分の苦労は足りないと思っている。

だが、こんな言葉を真に受ける必要はまったくないと思う。

苦労したかしていないかは、その人にしか分からないことである。たまに、「正社員は苦労した人。非正規社員は苦労も努力もしていない人」と決めたがる人がいる。だが、そもそも、その人が苦労したかどうかは、誰にも分からない筈である。「お前は苦労が足りない」と言う人は、その人の全人生を理解した上で言っているのではなく、ただ単に「相手を否定したい」という欲求から言っているに過ぎない。

自分が苦労したか、自分が努力したか、それらは自分だけが決めるものだと思う。「私は苦労した」と思えば、それは(他人から見て不十分だったとしても)、「苦労した人生」なのだ。

「周囲より苦労しないと一人前になれない」と言いたがる人がいるが、そもそも「苦労」や「努力」などは、人と比べる性質のものではない。どちらも主観的な判断によるものであり、最初から比べようがないのだ。Aさんが苦労したかどうか、努力したかどうかはAさんの親にも分からないことであり、わずかしか付き合っていないような人間に分かるものではない。

ある大成功したビジネスマンが、こんなことを言っていた。

「仕事ができない人間をクビにするなら、全員クビになります。社長の私もクビです」

まさしくそうなのだ。「苦労が足りない」と言ってしまえば、世界中の人すべてが「苦労が足りない」ことになる。大統領も社長もウエイトレスも工員も、すべて「苦労が足りない人」である。「お前は苦労が足りない」なんて言葉を最初から真に受ける必要はないのだ。

世の中には「相手を否定したくてたまらない」という人が沢山いる。そんな人たちは、

「お前は苦労が足りない!」

「お前は努力が足りない!」

としきりに言いたがる。

断言してもいいが、こんな言葉を真に受ける必要はない。

あなたのことを、何も分かっていないのだから。

 

18 Responses to “苦労が足りない。”

  1. あいさ Says:

    とても良くわかりますね。

    大体自分が苦労したことを他人がしていない時に「苦労していない」という言葉になるんだと思っています。しかし、他人は「苦労していない」と発言する人とは別の苦労をしているかもしれない。そしてそこには思考が及ばない。

    相手を否定したがっているというのも的を射てると思います。
    はじめにそれがありきなのかもしれません。

    そしてそれは自分の中の否定したいもの(禁欲しているもの)を相手がもっているときに、相手を否定したがることも多いのです。つまり、ある自分自身の一部を自分で否定したい感情が、相手を「依り代」にして自分を否定したい感情を、相手を否定することで実現するという。

    本当に充実して自分に自信がある人はどんな相手であろうとも否定したいという感情にはならないはずです。

  2. kyotosometime Says:

    >>これは会社の上司が私に言った言葉ではない。精神科のカウンセラーが私に言った言葉である。およそまともなカウンセラーとは思えないが、精神医療の世界には、こんなおかしい人もいるのだ。

    また、スゴイ人が出てきましたね。。
    凄くレアで、アレな方だと思います。
    呆れてあげるくらいしか、我々に出来ることは有りませんが、
    できたら、何か、効果的な一刺しの方法を知りたいものです。。

  3. ミント Says:

    結構いますよね。
    相手の事まるで分かってない分かろうとしない自分目線なカウンセラー。
    私は今まで5人のカウンセラーにカウンセリングを受けましたが、相手を見ているカウンセラーさんは一人もいませんでした。
    「もっと辛い事があれば治る」とか
    「あなたは他の人よりマシ」だとか、
    「あなたの精神年齢は3〜4歳よ」
    「私は何の為にいるの?」とか
    いろいろあり得なかったです。

    もう行きたくないですね…
    本当にプロなのか疑ってしまいました。
    悲しいですよね…

    人の人生に大きく関わる仕事に就く人が
    追い討ちをかけるような言葉や行為をするって。

  4. kou Says:

    二条さん、お久しぶりです。

    「苦労は主観的なもの」というのは、まったく同意いたします。苦労の基準は、その人の体験や感性によってそれぞれ異なるでしょう。そのことに薄々気づきながらも細部をすべて無視し、何らかの困難を抱えている相手に対して、単純に苦労や努力ばかり強いるのはあまりに暴力的と言わざるをえない。ただし好意的に解釈すれば、いわゆる「頑張れ」という意味のエンパワーメントだと取れなくもないですが、やはりその有効性には疑問があります。まあ、とにかく生産性がありません。もし「苦労が足りない」とおっしゃるのであれば、それを言った当人が相手にさせたい(させなければならない)「苦労」をなるべく具体的に明示し、その必要性を相手が十分納得できるまで時間をかけて丁寧に説明し(その結果、断られても仕方ない)、かつ「苦労ができない」ような相手の状況を(パワーレスにならない方法で)改善させる「努力」をしなければならない。それこそ「あなた自身が『他者を変えるための苦労や努力』を求められている」という感じでしょうか。以上のような「苦労を抜いた『苦労が足りない』」という言説は、あまりに無責任ですし、言った本人は毒が抜けて清々しいでしょうが、それは相手に毒を与えただけでしかありません。したがって「苦労が足りない」などの言説は、さほど簡単に軽々しく使えるものではないと思います。

  5. 匿名S Says:

    こんばんは。そうなんですか。カウンセラーは受けたことないですけど嫌ですね。

    若いころ、対人恐怖症を治す方法を教えている先生の所へ通ったのですが、
    別の患者の方がこんなことで悩んでいる、あなたより辛いでしょう、とこれ見よがしに言うんです。
    別に悪意あって言ったのではないのはわかるんですが、そんな比較なら親に散々言われてうんざりしてますよね。
    そのかわいそうな患者のある症状は、私も同じ症状だったのですが、対人恐怖なのか体の病なのか当時は症例がほぼない時代で、恥ずかしい症状なのもあり初めから言わなかったのに、
    そんな比較されて、ついにいい出せませんでした。

    だって、これ見よがしに言う先生の圧力っていうか・・信頼関係が築けないですよね。
    先生に悪気がなくても、私を軽く見ているのには違いないんですから。
    経験の浅い先生だったなと今は思い出します。

  6. 匿名S Says:

    ある症状とは、緊張でガス(オナラ)が出る症状です。今は対人恐怖症のためになる症状のひとつとされています。

    思い出したので追記しますと、
    その患者が「こんな症状で虐められてるのは耐えられない、これに比べれば対人恐怖症などなんともない、代わってほしい」と先生に言った、という話まで私に言うんです。
    じゃぁガス症状と対人恐怖症を併用している私って・・?

    主に対人恐怖症を治すという謳い文句のXX療法で対人恐怖症ではない緊張症の方の訴えを同じ教室に通う私に話す先生の気が知れません。
    「先生、実は私も同じなんです」っていうこともできたろうけど、私は打ち明ける気を無くしました。

    ツイてないです。
    それですぐ辞めたのですが、先生がいうには「本人にやる気がない」でした(笑

  7. 二条淳也 Says:

    あいささん

    そうですね。思考が及ばないからこそ、あんなことが言えるのでしょうね。

    自分が禁欲しているものを相手が持っているときに、相手を否定したがるというのも、うなずける意見でした。

    最近はみなさん、鋭いコメントを残してくれるので、私もぼんやりしてられません(笑)。

  8. 二条淳也 Says:

    kyotosometimeさん

    どうも私は「スゴイ人」に出くわす確率が高いです……。

    できれば反撃したいので、協力してください(笑)。

  9. 二条淳也 Says:

    ミントさん

    ミントさんも、まともなカウンセラーには出会えなかったくちですか。精神科医やカウンセラーから傷付けられることさえ、ありますよね。

    もしかしたら、精神科というのは、我々患者がカウンセラーを指導するための場所かもしれませんね(笑)。

  10. 二条淳也 Says:

    kouさん

    お久しぶりです、こんにちは。

    苦労の基準はその人の感性によって異なる……おっしゃるとおりです。これを「頑張れ」のメッセージだと受け止められる人は、かなりタフな人でしょう。

    言う側がただ怒りを発散させたいだけ、というのが実情かもしれませんね。

  11. 二条淳也 Says:

    匿名Sさん

    こんばんは。

    カウンセラーにかかわらないで、良かったですね(笑)。それにしても、匿名Sさんの出会った先生も、ちょっと問題ですね。知り得た秘密は守らなければならないという守秘義務があるはずなのに、そんなことをペラペラ喋るなんて……。

    「こんな人とは信頼関係が築けないなあ」というタイプの人が治療する側になっている。ホント、深刻な問題ですよね。

  12. 二条淳也 Says:

    匿名Sさん

    緊張するとガスが出るというのは対人恐怖の症状なのですか。なるほどです。

    誰かと比べて「あなたはまだいいほうだ」というのは、ちょっと理解できないですね。苦しみというのは、その人にしか分からないものなのに。

    その先生の態度は、私にも理解できないです。森田療法でしょうか。私もだんだん、精神科やカウンセラーには警戒心が強くなってきました。

  13. 匿名S Says:

    すみません二条さん、ガス症状は対人恐怖と決まっていませんでした。訂正します。
    以前、駅にあった精神診療所の看板で「ガス緊張症」も書いてあったのを見たので対人恐怖症の範囲だと思い込んでいました(自分が両方だったので)。今調べてみたら少し私の勘違いがありました。

    あがり症から対人恐怖症までの症状をSAD(社会不安障害・社交不安障害)と括られます。
    ガス症状はあがり症に近い感じのようです。なのでガスの緊張症だった患者さんは対人恐怖症ではなかったのですね。でも私のように複数抱えていたり、人によると思います。

    私が思うには、ガスが溜まるのは緊張で唾を吞む回数が多く、お腹で空気が溜まりガスがよく出るんだと思います。私は自然と普通になりました。もうひとつの原因は推測ですが、オナラ臭いというのは腸内環境で悪玉菌が優位なため、普通に油ものやお菓子を食べてもオナラがすぐ臭くなる傾向があるはずです。自分がそうなのでそう思います。私は油ものを控えるとオナラの臭いがそんなに臭くなくなります。
    その発見からガス症状もそんなに気にならなくなりました。
    気にするとやっぱり連続で出ますけど、臭くないなら出ても平気です(笑)
    食事を多少制限すればなんてことなくなります。

    森田療法でしたけど、先生によるみたいです。森田療法は合っていれば良いと思いますが、教えるのは人なんだし、それはクジ運みたいなものですね。
    あの若い時に少しでも救われていたら・・という思いはあります。

  14. 二条淳也 Says:

    匿名Sさん

    わざわざ訂正、ありがとうございます。でも、ガスが溜まるって、精神状態にすごく関係してますよね。油ものやお菓子もまずいのですか。気を付けます。

    医師やカウンセラーって、本当にクジ運ですね。しかも、ほとんど当たりのないクジ運(笑)。

  15. りゅま Says:

    精神科医やカウンセラーはふさわしくない人がやってるのが現状ですね。自分も何カ所か行きましたが、行ってよかったためしがないです。

  16. あいさ Says:

    二度目になりますが、

    カウンセラーもクライアントを選ぶような言動をとる人がいるのは事実ですね。わざとクライアントを怒らせるようなことを言って、嫌いなクライアント、今後カウンセリングを行いたくないクライアントを遠ざけるためにそういう言動をとるカウンセラー。クライアントもカウンセラーを選びますからね。お互い様でいいですけれども。私は、他の人も似たような経験を同じカウンセラーで受けたのを聞いて、あ、この人はそういう人なんだと思いました。臨床心理士だそうで、保健所に務めているそうですが。

    あと、メサイア・コンプレックスを持っている人もたまにいます。

    カウンセラーに適さない人がいるのは事実ですね。

  17. 二条淳也 Says:

    りゅまさん

    ホント、ふさわしくない人が多いですよね。彼らは自尊心が肥大しているので、よけいに始末が悪いです。

  18. 二条淳也 Says:

    あいささん

    なるほど、わざと怒らせて治療を放棄しているのかもしれませんね。クライアントよりも次元の低い治療者がいるのは事実だと思います。

    心理的に満たされていない人がカウンセラーになっているケースがとても多いように見えます。

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