ひきこもりが増えた理由。

職場のおばさんと喋っていて、こんな話が出た。

「二条さん、いつまで独身でいるつもりなの?」

私が適当にはぐらかしていると、彼女はこんなことを言ってきた。

「早く子供をつくらないと、周りがうるさいよ」

これには少なからずびっくりした。子供をつくる際、親は重大な決意と覚悟を持ってつくるのだと思い込んでいたのだが、そうではないのだ。「周りがうるさいから」。そんな理由で、人は子供をつくるのだ。

多くの既婚女性と話して分かったのだが、驚くほどどうでもいい理由でみんな子供をつくっている。「親を喜ばせたいから」というのはまだいいほうで、周囲からの「評価」や「承認」を欲しくて子供をつくったという人がすごく多い。呆れるばかりである。

数十年前は、ひきこもりというのは社会問題になるほど多くはいなかった。だが、今の日本で、ひきこもりは百万人以上いるとも言われている。

ここからは私の想像なのだけど、ここまでひきこもりが増えた理由は、「親の人格的な未成熟」にあるのではないか。ひきこもりというと、すぐにひきこもっている当事者を責める言葉ばかりが思いつくが、実際は親にも問題があるように思われる。ちょっとしたことで社会から撤退するひきこもり当事者も悪いのだが、我が子をそのようにつくりあげてしまった親にも、責任の一端はあると思うのだ。

事実、ひきこもりの親と喋ってみると、彼らの幼さが露骨に分かる。我が子のひきこもり問題を解決したくてたまらないのに、いざとなると、手元に置いておこうとする。バイトに応募しようとする我が子をひきとめる親もいる。

一番多いのは「我が子を否定したくてたまらない」という親だ。我が子を徹底的に無能扱いし、否定しまくる。こういう親はすごく多い。こうなると、問題を抱えているのは子供ではなくて、親である。ひきこもっている子供はほとんど「被害者」のような様相を呈し、親の幼稚さばかりが目立つようになる。

昔と比べて、人格的な成熟はとても遅れている。私も、年齢は中年なのに精神は子供のままだ。周囲の人もそんな感じに見える。親になるに相応しい成熟を勝ち取っていないのに、親になってしまうケースがとても多いように見える。そう感じてしまうほど、みんなくだらない理由でこどもをつくっている。

ひきこもりが増えた理由の一つは、親の未成熟にある。これが私なりの考えである。

10 Responses to “ひきこもりが増えた理由。”

  1. 非24時間睡眠覚醒症候群 Says:

    うつ病に近いタイプのひきこもりと、ただ単に学校を卒業したけど就職できなかったというタイプのひきこもりがいるんじゃないかな。増えたのは、多分、就職できないほうだと思う。けど、うつ病に近いタイプのひきこもりも、増えていると思う。

    けっきょく、働く体力がないと引きこもることになると思う。体力の他に、睡眠回路が正常じゃない場合も引きこもることになると思う。

    軽くなんかの調子で引きこもっている人もいるんだよね。そういう人たちは、きっかけがあれば、治るんじゃないかな。(治るという言い方が適切なのかどうかわからないけど)。

  2. あい Says:

    みんな周りの目を気にして生きているんですね。。。
    義妹は何故か子供作らないですね。
    ひきこもりになってから体力気力衰えました。。。もう老人みたいです。。(笑)

  3. あいさ Says:

    親が未成熟でも、成熟させるための教育なんてものは世間にはないですし、安倍首相の熱心な「親学」も気持ち悪いですし。未成熟なのはまあ分かるんですが、無駄でしょう。未成熟なほど自分の未成熟さがわからないですから。

  4. kou Says:

    こんにちは。二度目のコメントです。

    現代社会において「人格的な成熟」は極めて難しい(でもしなければならない)課題だと思います。したがって、多くの親が人格が未熟なまま子どもを産み育てていかねばならない。もちろんそれは程度にもよるでしょう。そこでその基準を、どのようにして、誰が決めるのか(あるいはつねにすでに誰が決めているのか)という問題がやはり残るでしょう。二条さんのおっしゃるとおり、ひきこもりが増加した要因の一つに「親の未熟さ」が考えられるとして、ならば成熟の足りない者は親になるべきではないのか、という話になります。決意も覚悟もない未熟な親のせいで、人生を苦しめられる子どもがたくさん出てくる可能性があることもむろん考慮の上で。結婚する理由や子どもをつくる理由は、当事者を離れればそれこそ「どうでもいい、くだらない」理由に思えてしまうのは当然のことですが、その理由として周囲や世間の目を挙げるというのは、彼らが世間体の追及を恐れると同時にその承認を強く欲しているからでしょう。ただし、それがどんな理由であれ、未熟で愚かな者たちが結婚・出産することは防ぎようのない普遍的な事実であり、また彼らが未熟で愚かであるからこそ、将来のことや責任についてそれほど深く考えないのであって、結局のところ「成熟」をこれらの判断における試金石にできるのか、ということが私の疑問です。

    ひきこもりとそうでない者のあいだで起こる軋轢に関して、私が強く感じる問題は「成熟の違いやその難しさ」です。ひとりひとり成熟の意味はひどく異なっており、その人の置かれた過去の生育環境や現在の生活状況などの「文脈」に大きく依存している。どのような文脈でそれがなされているのかは当人しか、いや当人でさえもわからない。となると、その意味はひどく曖昧なもので、一義的でなくなる。ひきこもりの文脈で言えば「こういうことを平気で言う、配慮の欠片もない(未熟な)人間とは付き合いたくない。付き合うぐらいならひきこもっていたほうがマシだ」という思考になる。しかし、「こういうこと」を平然と言った本人からすれば「こいつはこんなことも常識としてわからんのか、こんなことすらも普通にできないのか(挙句に指摘されて逃げるのか)」と考えて、彼を「未熟者」として扱おうとするために先の発言へ繋がる(常識や普通は、当人にとって自明でも、人によって異なる)。結果として、お互いの立場が違いすぎて、ディスコミュニケーション・会話の齟齬を起こし、その原因を互いに相手の(自分の?)未熟さに帰結させようとする悪循環へ陥る。私自身、ひきこもりで経験も未熟なため、極めて抽象的・観念的な理解となりますが、ここには「成熟とは何か」を容易に決定できない問題があると考えています。ひきこもりはネガティヴなかたちではありますが、その自明とされた問いを改めて浮き彫りにする(引きずり出す)存在ではないかと思います。

    長文コメント失礼しました。

  5. 夜桜 Says:

    こんにちわ。

    ちょっと気になってしまい、連投です。すみません。

    私はひきこもりの親御さんと接触する機会は無いので少々驚いてしまいました。
    ひきこもってしまった原因は人によって様々だとは思うのですが、バイトをしようとしている子を引き止める親、ひきこもりの我が子を否定する親がいるんですか…。
    社会と接点を持とうとせっかく行動に出ようとしている子をどういった理由で引き止めるのでしょうか…。ひきこもりから脱するチャンスになるかもしれないというのに。
    そして否定するのですか。
    まさか、子に面と向かって否定の言葉を浴びせているのでしょうか。罵倒されて「よし見返してやる」と奮起できるぐらい強い人はひきこもらないですよね…。否定しても何の解決にもならないですし、ひきこもっている子をさらなる地獄に突き落とすだけだと思うのですが…。
    ひきこもりの人達の大半は、自分が世間や身内からどう見られているか十分理解していると思うのです。甘えている、ばか者だ、ただの怠慢だ、と思われていることも。
    だからこそ、自己嫌悪と恐怖でひきこもってしまう。学生でもなく、(健常者なのに)働いてないということがどれだけみっともなく、だらしがなく、親に迷惑をかけているか、きちんと働けていないからこそ自覚していますよね。
    人によってはひきこもりながら犯罪者のような気分で日々を過ごしている筈です。
    (中には罪悪感も無く過ごしている人もいるかもしれませんが…。)
    どうか(少なくとも罪悪感と自己嫌悪でいっぱいのひきこもりの人達には)、面と向かっての無能扱いだけはしないであげて欲しいですね…。

    一番辛いのはひきこもっている本人なのですから…。

    ついつい長くなりました。ごめんなさい…。

  6. 二条淳也 Says:

    非24時間睡眠覚醒症候群さん

    割に合う内職があれば救われる人もいると思うので、そうなればいいと思います。

  7. 二条淳也 Says:

    あいさん

    周りの目が気になるから子供をつくったという人、けっこう多いですよ。おかしな動機ですね。

    お身体、大切にして下さい。。。

  8. 二条淳也 Says:

    あいささん

    安倍首相の「親学」というのは初耳ですが……いかにも不気味ですね。

  9. 二条淳也 Says:

    kouさん

    「評価」や「承認」が欲しくて子供をつくったという場合、親はそれでいいかもしれませんが、生まれてきた子供が気の毒ですよね。覚悟も決意もないままに生まれた子供は、厳しい環境におかれがちですから。

    結婚に対する軽々しい姿勢が、現代人の未成熟を表しているように思えるのですが。

  10. 二条淳也 Says:

    夜桜さん

    こんにちは。

    そうですか、夜桜さんは、ひきこもりの親とは接触することはないですか。私も驚きましたが、我が子を否定したがる親って、すごく多いですよ。うまく言えないのですが、「親と子が一致団結してひきこもり生活を完結させようとしている」という感じです。

    もちろん、なかにはいかにも人格者という親御さんもいるのですが、外野から見ても問題がある親も多いです。

    「親からの否定」というのは、ひきこもりにとって極めて重要なテーマだと思います。

    そして、我が子を否定せずにはいられないという親の歪んだ心理も、同時に重要な問題だと思います。

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