飲み会で孤立。

「今度、飲み会をするんだけど、二条さんもおいでよ」

職場の人からそう誘われた。職場のほぼ全員が参加するらしい。正直、気が乗らない。

何十人も職員がいるけど、そのなかで私が一番、労働時間が短い。飲み会になれば、同僚たちはそれを訊いてくるだろう。「二条さんって、短い時間しか働いていないけど、どうやって生活しているの?」と訊かれたとき、私はうまく誤魔化せるだろうか。「ひきこもりなので、長時間働けないんです」などと答えたら、翌日から間違いなく同僚たちはよそよそしくなるだろう。「実家からの仕送りで生活しているんです」などと正直に答えたら、間違いなく同僚たちは軽蔑してくるだろう。絶対に素性は隠さなければならない。

飲み会に行きたくない理由は他にもある。

飲み会で孤立してしまったら、何をすればいいのか私には分からない。

これまでにも飲み会には何度か行ったことがあったが、両隣の人が別の人に話しかけたり、グループらしきものを作ってしまい、孤立したことが何度もあった。話す相手がいなくなったとき、座敷で私はどう振る舞えばいいのだろう。携帯をいじればいいのかもしれないが、それもわざとらしい。「話す人がいないから」という理由で推理小説を読み始めるのもなんだか非常識なような気がする。私が飲み会に行きたくない理由は、実はこの「孤立」がイヤだからだ。

以前、別の職場で飲みに行ったことがあるのだけど、Kさんという五十代の男性がずっと孤立していたことがある。Kさんは人付き合いが苦手な人で、飲み会に誘われたのに話す相手がいないという状態が二時間以上続いていて、見ていて本当に気の毒だった。そして周りの人はきちんとそれを見ていて、

「見なよ。Kさん、ずっと話し相手がいなくて孤立してるよ」

などと小声で言って、クスクス笑っていた。これは可哀想だった。最初から誘わないほうが親切だったんじゃないの、と心から思ったものだ。

私は飲み会に行っても孤立しやすい。もともと話題が貧弱なうえに、自分のことを話したくないという固いガードがあるので、両隣の人はすぐに私に飽きてしまうのだ。近くに楽しい人がいれば、みんなはすぐにそっちへ行ってしまう。その場合、一人になった私は、グラスを片手になにをすればいいのだろう。

女性を食事に誘う勇気はあるけど、職場の飲み会に参加する勇気が私にはない。二十人も三十人もいる飲み会でもすぐに孤立してしまうので、行ってもどうせ黙っているだけなのだ。

誘われないのもイヤだが、居酒屋でずっと一人ぼっちなのもイヤだ。

飲み会の誘い、どうやって断ればいいのだろう。

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