行列に並びたくない。

職場の人と食事に行った。歩いていたら、中華料理の店があり、長い行列ができていた。かなり有名な店らしい。

「この店にしようか?」

同僚はそんなことを言ってきた。彼は「行列ができているのは美味しい証拠だ」と思っているようだ。私はイヤだったので、本音を言った。

「僕、行列に並ぶの好きじゃないんです。並んで美味しいものを食べるぐらいなら、すいてる店でまずいものを食べたほうがいいです」

……同僚は、宇宙人に出会ったかのような、不審そうな目で私を見た。

行列に並びたくない。これは正直な本音である。

行列に並ぶと、かなりの確率で割り込みをされる。これが行列に並びたくない理由である。どういうわけか、私が列に並ぶと割り込まれるのである。「ときどき割り込む人がいる」というレベルではなく、「八割方割り込まれる」というレベルなので、本当に列に並ぶのがイヤなのだ。

電車を待っているときは、特に割り込まれる可能性が高い。座りたい一心で割り込んでくる老人もいるし、同じ理由で割り込む中年の女性もいる。書店でレジを待っていたら、堂々と私の前に人が入ってきたこともあった。こういうことが繰り返されると、もう列に並ぶのがイヤになってくる。

都会で生きるということはこういうことだと割り切ればいいのかもしれないが、どうしてもその境地に立てない。私はかなりルールにうるさく、ゴミのポイ捨てや歩き煙草も許せないタイプである。そんな私にとって、割り込みは許せないことであり、そんな光景に出くわすだけでも、一日が不愉快になる。だとしたら、最初から並ばないほうがいいのだ。

だが、社会の大半の人はそうでもないらしい。電車待ちの列で、前に割り込まれた人をつい最近見たのだが、その人は怒りもせず、平然と電車に乗っていた。最初から座るつもりがなかったのかもしれないが、どうやら、割り込み自体を大した問題とは考えていないようでもあった。

こんな世の中である。割り込み自体に憤慨していたら、社会生活ができなくなる。ちょっとしたルール違反は適当に受け流すぐらいでないと、ストレスまみれになって日常生活ができなくなる。列に割り込まれても怒らない人が多いのは、そういう事情もあるのだと思う。

列に並ばないで生活するのは、ほぼ不可能である。それでもなお、私は行列に並ぶのがイヤだ。

私が社会に適応できていないことをよく示しているシーンだと思う。

3 Responses to “行列に並びたくない。”

  1. 二条淳也 Says:

    あいささん

    怒りをぶちまけるというスタンスのコメントは承認できないので、ここに載せるのは控えさせて頂きますが……いやなことって、沢山ありますよね。。。

  2. 馬の助 Says:

    こんばんは。
    人生ってある意味行列ですよね。
    生まれてから死ぬまで割り込んだり、戦ったり、待ち続けたり…一体いつ人生楽しむんだよ(笑)って。
    食事だけでなく、人生全般において並ばずに(競争率のそれ程ない所で)やっていけたらいいなと思います。目標は統計学で言うところの中間値前後で贅沢を言わずに。

  3. 二条淳也 Says:

    馬の助さん

    こんにちは。

    なるほど、たしかに人生は行列かもしれませんね。

    ホント、なるたけ競争に加わらないで生きていきたいものですね。

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