外見と内面のギャップ。

自分では分からないけれど、私の顔は「頭が良さそう」に見えるらしい。けっこう色々な人から、

「二条さんって頭良さそう」

と言われる。

全然違う。学校の成績は悪く、勉強はできなかった。

中学生の時だったと思う。中間テストの解答用紙が先生から返却されてきた。理科のテストだったが、私の点数は驚くほど悪かった。

うわあ、この解答用紙は見られたくないなあと思って、答え合わせをしている時も隠しながらしていたのだが、隣の生徒に見られてしまった。

テストの点数が悪かったことは、すぐに広まった。

「二条はけっこうバカだ」

そんな評価が、あっという間にクラス中に広まった。

それからまもなく、クラスメイトからこんなセリフを言われるようになった。

「二条って、外見は頭良さそうなのに、本当はバカなんだよな」

クラスの女子にいたっては、こんなことを言ってきた。

「二条君って、頭良さそうに見えるのにバカなんだもん。あたし、ガッカリだわ」

人の容貌から勝手に先入観を感じておいて、それが違っていると、勝手に落胆する。いい迷惑だが、よくある話だと思う。「外見と実際の能力が見合っていない」というのはクラスの格好の笑い話になったらしく、それからずっと、

「二条は顔は頭良さそうだけど、本当はバカだ」

と言われ続けた。

人は、外見だけで内面まで規定してしまう。あるレストランで働いていた時、スポーツ刈りで筋肉モリモリの調理師さんが働いていた。外見は極めてゴツく、ウエイトレスの女の子からは「熊」とか「野獣」とか陰で言われていた。

ところが、この人はとても繊細な人だった。人と対立することを好まず、口論になりそうな時はすぐに身を引いた。誰かから言われた何気ない一言をずっと気にするような人で、花を見るのが好きという人だった。

そんな外見と内面のギャップが周囲を苛立たせたらしい。ある日、気の強い調理師から、

「ゴツい身体してウジウジしてんじゃねえよ!」

と怒鳴られていたことがあった。ゴツいから内面も荒々しいと勝手に思い込んでいるほうがおかしいのだが、大多数の人は外見から内面を勝手に決めつけてしまうのだ。

外見と内面にギャップがある人は、世の中にいくらでもいる。そんな人は、いつも周囲からの嘲笑と非難にさらされる可能性がある。

外見だけで内面まで決めて欲しくないものだ。

4 Responses to “外見と内面のギャップ。”

  1. ミント Says:

    学生の頃だと特にそういった偏見で見られますよね。
    外見と中身の印象が違うと、生き辛いですね。
    私も頭良さそうと言われた事がありましたが実際は赤点だらけで悲惨でした…
    私の場合誰にも興味持たれて無かったし
    そのことがバレる事もありませんでしたが…
    人の印象ってどうしても
    見た目で決まってしまう所があるので
    悲しいですよね。

    「ゴツい体してウジウジしてんじゃねぇよ」のケースは
    その人の外見で決め付けていたというよりは、あんまりにもイライラしたからその人の外見的特徴を嫌味として使ったようにも見えます。
    外見を指摘するのは卑怯ですよね。

  2. 白柴 Says:

    3度目の書き込みになります、よろしくお願いします
    私も過去度々、頭良さそうと言われました。
    あるアルバイト先では、「家庭教師のバイトはやらないの?」と聞かれたこともあり
    ああ、完全に見た目で判断しているのだな、と感じました。
    特に追求されたり批判されたりといったことが無かったのは幸いだったかもしれません。
    ギャップがあるのが良い、という話はまれにあるのでしょうがネットでよく見る
    ※ た だ し イ ケ メ ン に 限 る
    というやつかも知れません、自分自身にそういったことが一切ないと思うのは単なる僻み根性なのでしょうけども

  3. 二条淳也 Says:

    ミントさん

    頭良さそうに見えて赤点だらけだと、妙にがっかりされますよね。勝手に期待するほうが間違っているのですが。

    ゴツい調理師さんはいい人だっただけに、可哀想でしたね。

  4. 二条淳也 Says:

    白柴さん

    こんにちは。

    ネットでは、やたらと「イケメンに限る」を目にしますね。なぜでしょう。でも、イケメンは自分とはまったく違う体験が出来ると思い込んでしまう心理は、ちょっとは理解できますね。

Leave a Reply