【コラム】1000年の古都・慶州を「映画のセット」にするつもりか

【コラム】1000年の古都・慶州を「映画のセット」にするつもりか

 韓国政府と慶州市が推進する新羅王京整備・復元事業に赤信号がともった。少し前、文化財委員会は新羅王京復元・整備事業推進団が提出した総合事業計画の受理を拒否した。同委員会は特に、ユネスコ(国連教育科学文化機関)世界遺産に登録されている慶州歴史遺跡地区内に各種の建物を造ろうとする計画を問題視した。同計画には、月城の城壁や建物の復元、皇竜寺の講堂や僧房の復元といった事業が含まれている。

 ユネスコは、世界遺産内での建物の復元について「完全な記録文献に基づく場合にのみ許容可能で、絶対に推測に基づいてはならない」とくぎを刺している。慶州市がこれを破って復元を強行した場合、慶州は「危機にさらされている世界遺産」に分類され、深刻な場合には世界遺産リストから外されかねない。これ自体が、手に負えない国民的な失望と怒りを呼ぶだろう。だが、もっと大きな問題がある。韓国政府と慶州市が目に見える成果にこだわり、復元への未練・執着を捨てることができなければ、1000年にわたって地中に保存されてきた新羅の最も重要な遺跡群が駄目になるかもしれない、という点だ。

 慶州新羅遺跡整備事業は、1971年に当時の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の強い意志に基づいてスタートした。当時も、メインは月城だった。国王50人の執務室や居所がある、新羅の政治・経済・社会の中心地だったのだから、それも道理だった。しかし発掘団は、月城を少し掘ってみて埋め戻した。地中に埋もれている遺跡の情報が、当時の発掘の実力と準備状況では手に負えないほど大変なものだと分かったからだ。冷たかった政府も、専門家の意見を受け入れた。月城の地下遺跡群が、今に至るまで損なわれることなく生き残ってきたのは、そのおかげだ。朴槿恵(パク・クンヘ)政権はここに手を付け、その上に建物まで復元しようとしている。それも2025年までという、10年にもならない短期間でだ。

金泰翼(キム・テイク)論説委員
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【コラム】1000年の古都・慶州を「映画のセット」にするつもりか

right

関連ニュース