社会に出られるか。

自分が、一般社会に近いひきこもりだとはどうしても思えない時がある。

ずっと昔から、家に自分以外の人がいるのがイヤだった。小学生の頃から、

「ただいま」

と帰った時に、

「おかえり」

と返事が返ってくることが、本当にイヤだった。たまに家の中が無人で、私が帰宅してもシーンとしていることがあったが、そんな時は、本当に幸せだった。「ああ、今この家の中には自分しかいないんだ」と思うと、本当に幸せだった。

大きくなっても、それは変わらなかった。一人暮らしを始めてみて、「世の中にはこんな幸せな生活形態があったのか」と驚いたほどである。朝から晩まで、家の中には自分以外は誰もいない。それは私にとって、震えるほど幸福な生活だった。

食事もまた、幸福だった。

一人暮らしを始めてみて、私は初めて知った。

(一人での食事って、こんなに旨いんだ!)

会話に邪魔されることもなく、食事に集中できる。食べるものは全て自分で決定できるし、食事に何分何時間かけても誰にも干渉されない。一人で食事することの素晴らしさを知って、私は「生きる喜び」の一端を知ったような気がした。

ひきこもり生活はたしかに幸福なものではないが、孤独を充分堪能できるという意味では、現在の私は絶対的な不幸ではない。正直、親や他人と同居していたら、私は精神病院送りになっていたか、自殺していたと思う。文字通り、私は一人暮らしをすることによって、ようやく命を救われたのだ。

世の中の人は、このような意見を非常に嫌う。

「人は一人では生きていけないんだぞ!」

そんなことを叫びたがる人がそこら中にいる。

私は、自分の考えを理解してもらおうとは、もはや思っていない。理解してくれるような人はまずいないのだ。家に帰った時に誰もいないと幸福を感じること、一人で食事をしている瞬間に最高の幸福を感じること。それらはほとんどの人には理解できないことである。それどころか、一般人の神経を刺激し、怒りを誘発するだけだろう。

一人でいる時が一番楽しい。

親とすら一緒に住めない。

こんな人間が社会に出て働けるとは、どうしても思えないのだ。

4 Responses to “社会に出られるか。”

  1. Says:

    はじめまして、こんばんは。

    自分の思っていることが、人の口から出てきたなぁ、と思って笑っています。

    私にも、とてもよく似た感覚があります。

    一人では生きていけない、一人はさびしい、等々どこででも聞かされてきましたので、

    私は知らないうちに自分の正直な気持ちを握りつぶして生きて、認めるのにずいぶん時間がかかってしまいました。

    私も一人の食事が一番幸せ。みんなで食べるとおいしいね、のセリフが正直わかりません。

    私は人と食べると味がわからないのです。

    誰もいない家に帰るのが、一番楽しい。帰ったら明かりがついているとホッとする、というのを理解するのは、途中で諦めました。

    二条さんのページには自分の気持ちを乗せやすい言葉が並んでいるので、ちょくちょく覗かせてもらっています。

    どうもありがとうございます。

  2. Says:

    こんにちは。

    初めて一人暮らしをしたとき、私も同じ感情を抱きました。同時に、もうこの先何十年も一人で暮らそうと確信しました。ちなみに私も幼い頃から、人と接しない時間を愛し、人がいないところを好んで生きてきた人間です。

    でも、本当の自分を家族やまわりに表したことがありません。必要があれば普通に接しているので、端から見たらあなたが言う「一般人」に見えるかもしれません。

    私は今の生活、引きこもりなのか。それとも、ただ、一人を楽しんでいるだけなのか。
    分からなくなってくる時があります。

    自分の中で、引きこもりをマイナスと考える世間の感覚に合わせるのか、自分は自分という精神を貫くのか。

    ただ、貫こうとすると、必ず人の助けが必要となる事件が起きたり、かといって、無理に世間体に合わせようとすると、神経がやられて、体調不良になります。

    まぁ、別に今すぐ答えを出さなくてもいいのですが。。もう、この年で自分の生き方にどうのこうのと、興味をもつ人間もいませんし、迷惑をかけることもありません。

    せめて、仕送りなしで生きていけるよう、もうちょっと一人で働ける仕事を増やそうと思っています。
    仕送りをもらっている間は、親や兄弟から何か言われても、返す言葉もありませんし。

    今はただ、人間として強くなりたいです。

  3. 二条淳也 Says:

    髪さん

    はじめまして、こんにちは。

    髪さんも同じことを思ってらしてましたか。ちょっと嬉しいですね。

    知らないうちに自分の正直な気持ちを握りつぶしているという表現は、とてもよく分かります。ホント、そうなんですよね。我々のような感覚は少数派のものですから、理解は期待しないほうが良いのでしょうね。

    また、ちょくちょく来て下さいね。

  4. 二条淳也 Says:

    真さん

    こんにちは。

    真さんも、同じ感覚を味わいましたか。

    人がいないところを好む人というのは、そう珍しくはないんですねえ。

    人の助けが必要になる事件が起きるという言葉、とても説得力がありますね。私もそんな場面に何度も出くわしているので、とてもよく分かります。

    お互い、無理しない範囲で、強くなっていきたいですね。

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