自宅でできる仕事の開拓②

「自宅でできる仕事を開拓したい」と書いたら、熱心なコメントが届いた。

一説によると、日本にはひきこもりが七十万人いるという(百万人という説も!)。

ひきこもりが七十万人いるとすれば、彼らを扶養しながら、その処遇に困っている人は百万人以上いる。ひきこもりの親、兄弟、恋人や配偶者……。どうにかひきこもり当事者を自立させられないかと頭を抱えている家族が、百万人以上いるのだ。そこに、私は何かのヒントがあるような気がする。

私は有料で文通相談をしているが、それもまた、「百万人以上いるひきこもりの家族を相手に何かできないか」という発想から生まれたものだった。狙いは悪くないらしく、手紙は来るようになったが、それでもひきこもりの親はネットをしない人が多く、宣伝が充分とはいえない。私の場合、ネットに依存しない宣伝が必要なのだと思う。

ひきこもりの全てが、「俺、福祉の世話でもいいや」と諦めているとは、どうしても思えない。逆に、「福祉の世話だけにはなりたくない!」と思いながら、どう動けば良いか分からず、自宅で悶々としているのが実情だと思う。

七十万人いると言われるひきこもり。私はひきこもりが福祉の手を待つだけの無力な存在だとは思わない。七十万人のひきこもりが知恵を出し合えば、何かができる筈なのだ。「無理をせず、人と接せず、それでいてひきこもり特有のマイペースさと誠実さで出来る作業」がある筈なのだ。

私の中にある構想はこんなものだ。

「ひきこもり新聞」を発行し、ひきこもりの家族に郵送する。これは既にありそうだが、実際は親や支援者の記事ばかりであり、当事者の生々しい告白は少ない。また、情報がどんどんネットに移行してしまい、紙の媒体がなくなることによって、高齢の親世代が取り残される現象も出ている。昔ながらの「新聞」のように、紙の媒体で情報を発信する必要がある。

もちろん、これにはそれなりの元手も必要だろう。だが、やってみる価値はある。ネットで文通相手を探すより、電柱に「文通しませんか」と手書きで書いた紙を貼るほうが、はるかに信頼性がある。そのへんにヒントがあるような気がするのだ。

何かやってみたい。何か。

10 Responses to “自宅でできる仕事の開拓②”

  1. yuki Says:

    有料の文通・・

    むかしなら じゃらん などの雑誌があったけど 今はそういうのってないしなあ
    たしかに親の世代でネットできる人は少ないと思いますんで
    まだまだ紙の媒体が役立つんではないでしょうか?

    引きこもりの親御さん向けのセミナーに出向いて行って 名刺配るとか・・
    どうかしら?

    二条さんは人前でも講演された経験おありですよね

    マ、 とりあえずは ひとつに絞らないで 複数の収入源を持つことが
    大事かと・・

    このブログ主さん(↓)のように いくつかの収入を持つことで
    働きに出ずとも 自宅で有る程度稼げるのではないかと?

    http://nomad-saving.com/2719/

  2. 二条淳也 Says:

    yukiさん

    そうですよね。紙の媒体って重要ですよね。

    私はたしかに人前で講演した経験があるのですが、その時には不注意にも、名刺や文通案内を持って行かなかったんです。失敗でした。文通に興味を持ってくれた人もいたのに……。

    複数の収入源っていうのも大事ですよね。

  3. なずな Says:

    なんか、うまく説明できないけど、いいアイデアですね。ひきこもり新聞・・・・。紙ならではのメリットもある気がします。いっそのこと、手分けして手書きで原本を作ってコピーするのでもいいかもしれません。相手の存在が伝わる感じが好影響な気がします。毎回誰かの独白を載せてもいいし、ひとつの悩みについて複数の人から解決案を載せるのでもいいかも。もちろん収入を得る方法のシェアや自分のこだわりグッズの発表とか。あ~なんかいろいろアイデアが湧きますね。

    私はひきこもる方の性格的特徴は、価値観がAまたはBの二元論しかない点と、圧倒的な罪悪感や自己否定であるように思います。それらを緩和することが新聞を通してできれば、心が軽くなる人が増えるのではないでしょうか。現状をなんとかするのではなくて、日々の心を軽くする、それが求められている気がします。

    本来、人は自分自身を幸せにする能力を備えて生まれてきていると思います。なので、それを思い出せるまでの間、新聞が伴走してあげられたらいいですね。

  4. 二条淳也 Says:

    なずなさん

    いいアイデアですよね……。

    なずなさんが指摘したひきこもりの特徴は、当たっていると思います。

    ひきこもり当事者とコミュニケーションを取りたがっている親御さんは結構多いので、その役割を新聞が果たせればいいなと思います。まだ構想の段階ですが。

  5. さの Says:

    はじめまして。

    遅レスですが

    高齢ひきこもりのいちばんきついところは
    他者の思考に触れる機会の絶無だと思うので
    ひきこもりがひきこもりに送る
    情報発信に意味はあると思います。

    作り手としてだって
    自分以外の高齢ひきこもりと
    コミュニケーションを取りながら、
    アイデアの有無はともかく
    なにかやってみたいと思う人、
    たくさん…ではなくても
    決して少なくないはずです。

    どうお金にするんだ、仕事にするんだ、
    というのはまた別問題としても。

  6. 二条淳也 Says:

    さのさん

    はじめまして、こんにちは。

    たしかに、他者との接触がなくなるのはつらいことですよね。ですから、その意味でも、新聞は有用だと思います。

    ただ、損失を出す訳にはいかないので、どうしても及び腰になるのですが……。

  7. なずな Says:

    まずは、自分(達)が作りたいものを考えて、それからどう価値を他者に対して発生させるか(お金を払ってもよいと思ってもらうか)を考えたらいいんじゃないですかね?

    私はこのブログをとても楽しみにして読んでますので、また別の方の声が聞けるとしたら、ますます読んでみたいです。特にひきこもりの子供を持つ親御さんの声も読んでみたいです。

    ひきこもりの方にも、そのおやごさんにも、幾つかのパターンと、見えてない共通点があるような気がします。

    編集部ができたら私も加わりたいですねー。

  8. さの Says:

    経済を考慮すると難しいですね。

    同人誌なら、作り手が作りたい、で完結して、
    赤字は当然という流れですが、
    仕事となるとそうはいかないですし。

    ただ、その新聞発行が二条さん一人の手に余るなら、
    私も採算とは別に手伝ってみたいと思いますよ。
    このブログの文章には、そういう引力みたいなものがあります。

  9. 二条淳也 Says:

    なずなさん

    ひきこもりの生の声を聞きたいっていう人、結構いるんですね。

    おそらく最初は「編集長のみ」で始まるでしょうが、もし助っ人が必要になったら、お力をお貸し下さいマセ。

  10. 二条淳也 Says:

    さのさん

    赤字になると、ひきこもりはダメージが大きいので、どうしても慎重になってしまいます。そのあたりは、同人誌とは違いますね。

    私は自分の文章に魅力があるとは思えませんが、それでも「手伝ってみたい」と言ってくれる人がいるのは嬉しいです。

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