ラーメン屋さん②
このラーメン屋から足が遠ざかった理由はまだある。何度も通っているうちに、私がひきこもりであることがバレそうになってきたからだ。
ラーメン屋さんに行くのは大抵、ランチタイムなのだが、その時間に普段着で来る人はあまりいない。来るのはタクシー運転手やトラック運転手、それに会社員ばかりであって、近所の住人がふらりとやって来ることは、あまりない。
「お客さん、今日は休みなの?」
そんな問いかけをされたことがあって、その時は、
「ええ、まあ」
などと答えたのだが、週に何度も普段着でラーメン屋にやって来たら、当然お店の人も「この人、何をやっている人だろう?」と疑問に思う。私は平日でも普段着でラーメン屋の近くを徘徊している訳で、誰から見ても、まずまともな勤め人ではない。それが発覚することが怖くて、だんだんそのお店に行かなくなってきたのだ。
自分が不審に思われていることを、私は敏感に感じ取るほうだ。お店のおじさんの何気ない視線でも「あ、今このおじさん、俺のこと不審に思ったな」と、すぐに感じ取ってしまう。それが的中しているのかどうかは分からないけど、そう感じ取ってしまったら、それ以降、なかなかその店に行けるものではない。ひきこもりがバレるということは、私にとって何よりも避けたいことだからだ。
自分ではうまく隠しているつもりでも、無職であることは、けっこう簡単に露呈する。ある日、知り合いと会ってしまって、何気なく世間話をしたのだけど、その時、私は「工場で働いている」と説明したのだが、
「……本当に働いているの?」
と疑問の目を向けられ、たじろいだことがある。無職であることを隠し通すことは、かなり大変なことなのだ。
どんなお店でも、常連になってしまえば、必ず職業に対しての質問はされる。その時、私はそれをうまく誤魔化すことができない。「無職なんですよ」と開き直ってしまう手もあるが、そのような度胸は持ち得ておらず、隠し通すことしか考えていない。であれば、常連になりそうになったら、速やかに撤退するしかないのだ。
あのおじさん。私がひきこもりであることを知っても、いつもの笑顔で迎えてくれるだろうか。
6月 5th, 2012 at 11:05 AM
思いつきの安易な回答ですが、
ネットショップオーナーになってしまえば如何でしょうか?
売上月に1万円でも、ネットショップオーナーには違い有りません。
社会秩序が緩くなったこの時代
「アメリカのebayや中国のタオバオから個人輸入して、自分のネットショップで販売してるんですわ。。どうも堅気の勤め人が向いてませんでして。。」
と頭を掻いても
おじさん族からすれば
「へえ、若い人は凄いね。インターネットで商売してるんだ。ワシらには付いていけん世界だね。」
と言う会話も成り立つ気がしています。
6月 6th, 2012 at 7:19 PM
kyotosmoetimeさん
ネットショップのオーナーにはる方法が分かりませんが、自宅でできること、一人でできること、などの理由で、私には向いているかもしれません。私に限らず、全てのひきこもり、そして人間関係が不器用な人にとって、自宅就労は開拓すべき分野だと思います。
おじさん族にハッタリが効くという意味でも、悪くないかもしれません。
コンピューターの発展は、ひきこもりに対して、ある種の可能性を示しているので、それをうまく活用したいですね。
6月 7th, 2012 at 9:34 AM
私もお店にいくと緊張してしまいます。店員さんと一度話すと顔を覚えられてしまうのではないか?と怖くなったりもします。次に会った時に”また来てる”と思われるのがこわいです。何か悪いことをしてるわけではないのですけどね。もっと堂々と気にせずにいられたらいいな、といつも思います。
6月 8th, 2012 at 8:34 PM
あいさん
「次に会った時に『また来てる』と思われるのが怖い」というご意見。私もまったく同じです。本当に、「また来てる」と思われることが怖いんです。自分の存在が歓迎されていないと思っちゃうので、どうしてもそんな考え方をしちゃうんです。
ホント、悪いことをしている訳じゃないので、堂々としたいですね。
※あいさん、本当にありがとうございました。こちらこそ、あいさんから元気をもらいました。