男らしくしろ!

職場のおばさん上司に、「男らしくしろ!」と言われた。「男なんだから!」とも言っていた。このおばさんの目には、私の姿が「男らしくない」ように映ったらしい。

このおばさんは、自分は離婚していながら他人には結婚を勧める人である。また、「戸籍を汚しておきたいから結婚した」などど言う人であり、私の目には、かなり問題のある人物のように見えた。正直、女性として、とても「可哀想な人」のように見えた。

私がこのおばさんを「可哀想な人」として見ているように、彼女もまた、私のことを「男らしくない」と見ている。お互いがマイナスの評価を下しあっているので、二人の関係はとても悪い。

今度、「男らしくしろ!」と言われたら、

「あんただって、女なのに女らしくないじゃないか!」

と言って、その日で辞めてやろうかと思っている。

……だが、このような辞め方は、最悪の辞め方であることも分かっている。

感情的に決裂して職場を去ることは、考え得る限りで、最も良くない辞め方である。このような辞め方をすると、次の職に就くことがとても怖くなるし、外を出るにしても「以前の会社仲間に会うのではないか」といった懸念がつきまとい、満足に外出もできなくなる。

それが分かっているのだけど、どうしても、あのおばさんに感情的に応戦したい気持ちがある。それほど「男らしくしろ」という言葉は、私の神経を刺激した。

世の中の多くの人にとって、「男らしさ」とは「粗暴」である。大声で挨拶し、乱暴に振る舞い、酒や肉を豪快に食らう人を、多くの人は「男らしい」としている。動物と読書を愛し、孤独な時間を大切にする物静かな男は、確実に「男らしくない」という烙印を押される。「そのような人は相手にしなければいいじゃないか」と言われるかもしれないが、私は「相手にしない」ということができない。どうでもよいセリフを「聞き流す」ということができない。すべての言葉を真に受けてしまう。あらゆる言葉を、乾いたスポンジのように吸収してしまうため、ちょっとした攻撃の言葉がとてもストレスになる。

「今度その言葉を言ったら、僕は辞めます!」

そう言いたくて仕方がない。そして、

「ごめんなさい。謝るから辞めないで」

と言ってもらえることを、内心、期待している。だが、

「無理に引き留めません。辞めてもらっても結構です」

という言葉が返ってくる公算が大きい。自分の働きぶりが、あまり会社に利益をもたらしていないことを、私はうすうす感じ取っているからだ。

生きているのが、つらいな。

2 Responses to “男らしくしろ!”

  1. エリナ Says:

    私も職場の上司が、私にだけキツイ、ねちねちと注意する、でストレスになっています。その人は、お昼ごはんを一緒に食べるグループの人でもあります。
    辞めるというのはなかなか言えず期限までがまんするか、イヤなことを言われたら、トイレにこもろうか、休んでやろうかと思います。その人が仕事をかかえて苦しめばいいんだと思います。
    私は口下手なので、ターゲットにされやすいのかもしれません。もっと気持ちよく、やる気を出させるように注意してくれたらいいのになと思います。
    自分のストレスを休むことで晴らそうというのは、ダメかもしれません。負けないように戦うか(疲れる)、負けていいやになるか、なんでしょうか。
    どこに生きる場所は、あるんでしょうかね。自分の愚痴を書いてしまってすみません。

  2. 二条淳也 Says:

    エリナさん

    自分にだけキツイ上司というのは、本当にイヤなものですね。私も経験があるので分かります。その「不公正さ」にとても腹がたつのです。そんな人とランチまで一緒というのは、とてもつらいことと思います。かといって、一人でランチすると、それもまた攻撃の対象になるので、難しいところですね。

    「期限までガマンする」という方法を私も採用していましたが、結局、「期限」になるとプッツリ切れて、ついにひきこもりになりました。私の場合「ガマン」より「発散」を学ぶべきだったのです。

    「生きる場所」はどこにあるのか、私も模索しています。ただ、私のように「自室が自分の場所」にならないようにして欲しいと思います。

    「ひきこもり」は、やはりお勧めできる生き方ではありませんから。

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