「謝りたくない」親たちへ②

「謝りたくない」と言っているうちは、まだ「ひきこもり問題解決」に本気ではないと言わざるを得ない。本気で、なりふり構わず、ひきこもりを解決したいと思っているのなら、そんなことは言っていられない筈なのだ。

「謝りたくない」という親の気持ちも、いくぶん分かる。

「謝ることによって、子供が図に乗るのではないか」

そんな懸念もあると思う。親が謝罪することによって、より一層問題が複雑化するのではないか。そんな心配もあると思う。

だが、親が謝ることによって、ひきこもり問題が悪化することは、あまりないと思う。

また、

「一度謝っても許してもらえず、これからずっと毎日、謝罪を強要されるかもしれない」

といった危惧もあると思う。

「私が悪かった」

と言うことによって、これから毎日、「謝れ、謝れ」と言われるのではないか。そんな心配もあると思う。だが、これも、恐らく杞憂に終わると思う。

私もひきこもりだから分かるが、親を十回、百回謝らせても、なんら問題の解決にはならない。「謝れ!」と言い、親が頭を下げたら、ある程度気分が晴れるが、それを何度も繰り返したところで、自分のひきこもりは解決しない。恐らく、一回か二回謝ってもらえれば、もう本人の気は済むのではないか。実際、私は母親から、

「私にも悪いところがあった」

と一回聞いただけで、もう気が済んでしまった。あとは自分が立ち直るだけだ、といった気持ちだけが残り、親に謝罪を繰り返させようとはまったく思わなかった。親が謝ることによって、問題が悪化することは、まずないと思えるのだ。

「何も悪いことしていないのに、なぜ謝らなければならないのか」

そんなふうに思う親もいると思う。だが、多かれ少なかれ、親は子供を傷付けている。それを自覚しているかしていないかの違いだけだ。「ここまで育ててやったのに」といった気持ちも分からないでもないが、まずは我が子の真摯な訴えに耳を傾けることが先決なのではないか。

どうしても謝りたくないのなら、まずは、

「どんなところが悪かったのか、教えてくれ」

と逆に訊いてみたらどうだろう。

それもまた、ひきこもり問題解決のための、大切な対話だと思うのだ。

Leave a Reply