性格は変わる?

自分を変えようと思っていた時期があって、その頃は性格改造本のようなものを、しきりに読んだ。このような本を読む人はたいてい、ネガティブな性格の人なのだろう。本には、「内向的な性格を変える方法」や「社交性の身に付けかた」などが、たくさん書いてあった。自分の性格がイヤでイヤでたまらなかった私は、なかば中毒のように、これらの本を読みふけった。読んでいるあいだは、本当に自分が変われるような気がした。

だが、私の性格が変わることは、ついになかった。孤独が好きな性分や、皮肉ばかり言ってる性格は、結局変わることはなかった。何冊も何冊も性格改造本を読んだが、その苦労が報われることは、結局なかった。

人間の性格は変わらない。

そう思って、私は私なりの生きかたをすることにした。要するに、一人ぼっちで生きていくことにしたのだ。

だが、最近になって、人間の性格は本当に変わるのではないか、と思い始めている。両親の性格が、明らかに変わってきているからだ。

父は楽観的で剛胆、社交的で細かいことをまったく気にしない人だった。パチンコで三万円負けてもケロッとしているし、仕事で失敗しても、気にも留めない。そんな人だった。

だが、父も老齢になると、その気性が明らかに変わった。周囲の目を気にするようになった。以前はそんなことはなかったのに、しきりに「誰かの迷惑にならないか」を、気にするようになった。

一方、以前の母は、厳格で神経質、細かいことを気にする人だった。他者から叱責されることを極端に怖れる、とてもナイーブな人だった。

ところが、最近の母はやたらと豪快である。以前は一円もムダにしない性格だったのに、今では一万円ぐらい簡単に遣ってしまう。他人の目をあまり気にしなくなり、気楽で楽天的な性格になった。つまり、老齢期に差し掛かり、父と母の性格がまったく逆転したのだ。

人格の成熟に伴って性格が変わったのか、はたまた元来の性質がようやく表れてきたのか、私には分からないが、間違いなく、父も母も性格が変わった。二人を見ていると、「人間の性格は変わる」と、信じざるを得ないのだ。

性格は変わる。

それは意図して変えたというのではなく、加齢と共に、自然に変わったというかたちである。

ひきこもっている私の性格も、いつかは変わるのだろうか。

それは楽しみなようでもあるし、ちょっと困ることのような気もする。

2 Responses to “性格は変わる?”

  1. 憂愛 Says:

    私もブログ読めば分かる通り(!?)、性格改造やら頭が良くなる方法、恋愛ハウツー本などが大好きでよく読んでいます。
    確かに本を読んで知識を得て理解はするのだけど、行動に起こさない限り自分の性格ってなかなか変わらないですよね〜。

    私は年齢や環境によって「性格が変わる」というより、本来元々持っていた(今までは隠れていた)性質が暴露された・・と解釈しています。
    ポジティブとネガティブな性格は紙一重だし、誰でも両面持ってますからね・・。

    私は三十路過ぎて、性格がますます暗くなってしまい困っています。

  2. 二条淳也 Says:

    憂愛さん

    性格改造本って、ある種の中毒性がありますよね。一冊読み始めると、何冊も買ってしまいます。

    三十路過ぎて、性格が暗くなっていったとのことですが、その代わり、良い面も出ているかもしれませんよ。私も年を取るにつれて、どんどん追い詰められ、内面も悪くなっていく一方なのですが、中学・高校時代よりは、はるかに気分的に楽です。

    若さゆえの苦しさから解放されるという、良い面もあると思いますよ、加齢には。

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