男は強くて当たり前……。
男である以上、いつだって強さを要求される。それが、男にとって、強い負担になる。少なくとも、私に関してはそうだ。
ひきこもっているということは、社会からの撤退と逃亡を意味しているのであり、つまりは「弱さ」を意味している。強ければ自室に籠もる必要などない訳で、すべてのひきこもりは、弱いからひきこもっている。社会に出ている人も別の面での弱さを持っているのだろうが、それはひきこもりほど軽蔑の対象にはならない。ひきこもりは「弱々しさ」を残酷なまでに表現している。そして、それは「男は男らしくせよ」という社会的要求に屈していることを意味している。
すべての女は、男たちに「強さ」を求める。男たちがすべての女に「美しさ」を求めるように、それは時代を超えた普遍的な要求である。だが、これほど厳しい要求があるだろうか。
「上司に叱責されて傷ついた」
そんな悩みを訴えている男性を見ると、「もっとシャキッとしろ!」などと叱りつけたくなる女がいるかもしれない。だが、男である以上、つねに強くなくてはならないのだろうか。男なら傷つかないのが当たり前なのだろうか。男なら、何を言われても動じないのが普通なのだろうか。そして、そんな男がこの世にいるのだろうか。
「女は美しくて当たり前」
そう言われたら、多くの女たちが怒り出す筈である。「美しくない女は女じゃないのか!」と、声を大にして反対を表明する筈である。だが、「男は強くて当たり前」という言葉には、男たちは異議を唱えない。当然である。その意見に異議を唱えること自体が「弱々しい」と見られるのだから。
ひきこもる男たちは、「男は強くて当たり前」という規定に、ほとほと疲れ果てた人たちとも言えるのかもしれない。私はひきこもり評論家でもなんでもないので、このように論じることに違和感を覚える人もいると思うが、ひきこもりは社会の「いろいろなもの」に押しつぶされているように感じるのだ。男なら分かると思うが、いつだって強さを要求されたら、もうどこにも逃げ場はなくなる。弱音も悩みも吐け出せなくなる。それはとてもつらいことだ。
「女は美しくて当たり前」と同じ意味のことを、男たちは日々社会全体から言われ続けている。
反対すら唱えられない、その要求に、どうやって向き合えば良いのだろう。
11月 6th, 2011 at 1:12 PM
確かに少し前までは、男は強くなければならないという風潮が根強く残っていましたよね。ただ昨今は不況のせいか「草食系男子」が流行っていることから、必ずしも強い男性がモテるとは限らず今後は大人しかったり優しい男性がもてはやされる時代になってくると思います。
逆に女性は美しくあるのは最低条件で、今は仕事が出来ることを含め経済力や精神的な強さや包容力も求められている気が・・。
私の場合、美しさのコンプレックスから精神的に弱くなり仕事も出来ない→ひきこもりへとなってしまった最悪のパターンです。
世の中は本当に残酷です・・。
11月 9th, 2011 at 1:02 AM
憂愛さん
「草食系男子」、たしかに流行っているようですが、実際に「二条さんって草食系よね」と言われると、いい気はしないものですよ。そこにはある種の侮蔑が含まれているからです。草食系という言葉には「男らしくない」というニュアンスが含まれているのです。実際に言われて見て、私はそう感じました。
「女性は美しくあるのは最低条件で、仕事や経済力、精神的な強さが求められている」というのは、女性ならではの意見ですね。私はそこまで思っていなかったので、「そうか、女性ならではの苦労があるんだな」と思いました。
それにしても、女性のひきこもりって、珍しいですね。