優越感を砕け!
恋人がいる、と言うと、かなり多くの人たちは驚く。特に、正社員などの「立場が安定した人たち」は、とても驚く。そして、驚いたあとに、落胆する。
多くの正社員は、ひきこもりやフリーターに優越感を持って暮らしている。なかには、その優越感だけが頼りだという人もいる。「ひきこもりやフリーターに比べれば俺はまだマシだ」という優越感が、彼らを支えているようである。
だから、私に恋人がいることを知ると、彼らはとても驚く。彼女がいない正社員の人は、不機嫌になる人もいるし、ガッカリする人もいる。
「正社員の俺に彼女がいないのに、どうしてこんな奴に彼女がいるんだ」
という怒りをたぎらさせる人もいる。今までバカにしていた相手に、自分を凌駕する一面があることを、どうしても彼らは認められないようである。
この気持ち、私だって分かる。私だって、今まで見下していた相手に、自分を上回る才能があったら落胆する。「コイツよりは自分は上だ」と思っていたその優位性が粉々に打ち砕かれたようで、ガッカリする。どんな人の心にも、多かれ少なかれ階級意識はある。職業上の優劣、学歴上の優劣など、様々な属性で優劣を付けながら、人は生きている。
だから、私に「恋愛上の優劣」で敗北したことが、とても悔しいのかもしれない。「ひきこもりに彼女なんてできる筈がない」と思っていたのに、その見下していた相手に彼女がいる。それが正社員男性にとっては、面白くないらしい。
ひきこもりの男性たちに言いたい。あなただって、彼女をつくることはできる。上記した優劣など、人の心の問題であり、人間の価値を決めるものではないが、それでも「正社員たちに負けてばっかりはいられない」という想いがあれば、恋人はつくることができる。「見返してやりたい」というネガティブな感情で恋人をつくることは難しいかもしれないけれど、それでもそんなルサンチマンは自分を奮い立たせる武器になる。
「え! キミ、彼女いるのッ?」
そう聞き返す正社員の顔は、なかなか見物である。
あなたも、そんな顔を見たくないですか?