老化による利益。
かなり年を取っているので、不利益なことも多い。勇気を振り絞ってバイトの面接を受けようとしても、年齢制限でひっかかることが多いし、「おじさん」と呼ばれることもかなり多い。
肉体もかなり衰えており、毛は抜けるし、白髪は増えるし、腹の肉はブヨついてくるし、老眼も気になるしで、どうしようもないほどの劣化ぶりである。
その一方で、「年を取るというのも悪くないなあ」と思うことがある。その一つに「若い女の子に話しかけられる」というものがある。
二十代の頃まで、私は若い女の子とうまく話せなかった。「うまくすれば、この子と恋愛関係になれるかも」といった期待がつねにあるため、話すこともギクシャクしてしまうのだ。
また、相手の女の子も、同年代の男に対して「警戒心」があるため、冷たくしてくることが多い。
だが、年を取って、「おじさん」になってみると、このあたりの事情がすごく楽になった。女の子に話しかけても「気安く話しかけてくる気持ち悪い男」ではなく「話し好きのおじさん」と認識されるため、とてもコミュニケーションが楽なのだ。
事実、二十代の頃は若い女の子に話しかけても、無視されるか冷たい返事が返ってくるかのどっちかだったが、おじさんになった今では、大抵の女の子が気持ちいい返事をしてくれる。
私は近所のスターバックスによく行くのだが、カウンターでよく、店員の女の子に話しかける。いつも、気持ちいい返事が返ってくる。店員と客なのだから、当然じゃないかと思われるかもしれないが、そうではない。
女性というのは「恋愛対象になる男」には冷たく接するものなのだ。24歳の頃、私はあるレストランで働いていたが、同僚の若い女の子たちからは、結構嫌われていた。そして、40代、50代のおじさんたちには、女の子は優しかった。
若い女の子は、同年代のことを強く意識するし、警戒心も抱くので、素っ気ないことが多い。「なんでおじさんにばかり優しくて、若い俺のことを相手にしてくれないんだ」と、当時は頭にきたが、そんな事情だったのだ(と推測する)。
今ではもう、女の子のストライクゾーンから大きく外れたので、そのような不快感を感じることはない。若い女の子を見たら、気安く話しかけてしまう。無視されても恥をかいても「俺、おじさんだからいいもんね」という感じで、受け流している。中年風味全開である。
女の子から「恋愛対象外」と見られるのは、まあまあつらいことだけど、気安く話しかけても気味悪がられないという意味では、中年になるのも悪くないと思う。
まあ、ひきこもり生活だけは改善しないとまずいのだけど。