・「普段から」・「メイクしない君が」・「薄化粧した朝」・「始まりと終わりの狭間で」・「忘れぬ約束した」・「花束を君に贈ろう」・「愛しい人愛しい人」
森田屋を出て青柳に戻った常子は新たな仕事先を探していました
社長兼編集長の谷です。
僕は五反田一郎です。
彼女うちの求人広告を見て来てくれたんですよ。
そうかい!求人広告見て何人か来てくれたんだけどみんなすぐ辞めちゃってねえ困ってたんだよ。
(常子)あの…雇って頂けるんですか?もちろん。
これが常子の一生の仕事になる出版との出会いでした
本日…見事採用となりました!
(歓声)ご心配おかけしてすみません。
すぐに働き始めますからご安心を。
(清)久々によい知らせを聞くとそれだけで元気になりますね。
(滝子)そうだねえ。
私も寝込んでばかりいないで働かなくちゃね。
はい。
滝子は再生不良性貧血を患い寝て過ごす事が多くなっていました
(君子)お母様今日のお加減いかがですか?昨日より少し気分がいいねえ。
(美子)おばあちゃま今日も寝たきりかなあ。
少しでも心労は減らさないとね。
よっちゃんあんまり心配かけちゃ駄目よ。
それはこっちのセリフです。
何かやらかしそうなのはとと姉ちゃんの方じゃない。
そんな事ありません〜。
フフフフ…。
(谷)これが丹下先生の原稿だ。
これとか読めるか?あ〜読めません。
これ「ゆうぼう」って読むんだ。
作家から原稿を受け取ったら読みにくい字を赤で書き直し文字数を確認します
一枚のページの中に見出し本文挿絵をどの配置にするかそれを決める作業の事を割り付けっていうんだ。
はい。
いい挿絵はその作品の世界観を表し読者を引き付ける事ができる。
出来上がった雑誌の一部は印刷所から運び込まれ定期購読者に向けて発送していきます
そしてすぐさま編集会議を開いて先の号の内容を決めていくのです
何をしている?あっ皆さんにお茶のお代わりをと思いまして。
雑誌の内容を考える時間だ。
ほかの事は考えなくていい!いやでも…。
小橋君も何かないのか?何か…ですか?会議中控えを取ってばかりじゃないか。
君の意見はないのか?いやあの…女がしゃしゃり出て意見なんか出してもいいんですか?フフッ当たり前じゃないか。
ここじゃ男も女もない。
君の考えを素直に言っていいんだよ。
君が作りたいと思う企画が浮かんだら是非聞かせてくれ。
はい!
一方青柳家では…
(滝子)ごちそうさん。
(君子)もうよろしいんですか?ああ。
(鞠子)私…大学を卒業したら工場で働く事にします。
えっどういう事?小説は?このご時世にそんな事言ってられないでしょ。
あっでも小説を書く事を諦めた訳じゃないのよ。
工場で働きながらでも文章は書けるし。
いろいろ考えて決めた事だから。
そう…。
(清)お母さん。
私は誘われている会社に入ろうと思います。
やはり店の現状を考えるとそれが一番賢明だと…。
お前が決めたのなら反対する理由はないよ。
あ〜あ早く勝たないかなあ。
うん?戦争よ。
だって日本が勝ったら戦争も終わるでしょ?
(隈井)あの…。
お前まで暗い話かい?
(隈井)いえ!皆さんに明るい話をご提供しようかと。
待ってよ〜。
早く来いよ〜。
(隈井)機関車もあるぞ。
あっしは泣き虫ですけどね人の事は笑わすのが好きなんですよ。
おねえちゃんの飛行機が一番速いぞ〜!待ってよ〜。
急上昇!そうか。
(五反田)読者を笑わせる?こんなご時世だからこそ読者の皆さんに少しでも笑ってもらえるような読み物を載せたいんです。
(せきばらい)小橋君。
それは…君が来る前に私が提案した企画と同じだ。
えっ?
(相田)社長もユーモアのある話を載せて読者に笑ってもらおうって言ってたんだ。
そうなんですか?だったら…。
ただ…3人から反対されてな。
(富樫)このご時世やはり笑いはまずいんじゃないかと。
まあ小橋君の提案としてもう一度決を採ろう。
次の企画笑いのある読み物がいいと思う者挙手を。
僕も賛成。
(谷)何だお前いいのか?本当は笑える雑誌が読みたいんだよ。
賛成!そんな事言ったら…俺も。
(一同)えっ?えっじゃあ…俺も。
おっ。
おっ…お〜!お〜!お〜。
じゃあ満場一致という事で。
(一同)お〜!何で俺の時挙げなかったんだよ。
(一同)すいません。
こうして常子の企画は採用となりました
頂いてきました!よし田中嘉彦の作品があれば今回のユーモア特集は成功したも同然だ。
大学を卒業した鞠子は工場で事務の仕事に就き…
ご確認お願いします。
行ってきます。
・行ってらっしゃいませ。
清も木材統制株式会社で働き始めていました
そんなある日の事です
内務省?そんな所まで?ああ。
そこの宣伝の部署に出入りしている花山って男だ。
田中先生の作品のカットをもらってきてくれ。
これがなかなか面白い絵を描くんだよ。
(五反田)ただちょっと気難しい男でねえ気を付けてくれ。
失礼します!あの…花山さん…。
帰れ。
邪魔するな。
いやあの私…。
帰れ。
邪魔するな。
ですから…。
帰れ。
邪魔するな。
3度も言わせるな〜!いくら何でもそのおっしゃりようは失礼ではありませんか?私はれっきとした…。
出来てない。
帰れ。
邪魔するな。
えっ?甲東出版の社員だろ?どうして?あっ…。
そろそろカットの締め切りだ。
時期を考えれば分かる。
カットは出来てない。
これを言うのは2回目だ。
よって帰れ邪魔するな。
これを言うのは5回目。
6回目を言わせたら憲兵を呼ぶぞ!分かりました。
失礼します。
では…。
私と賭けをしませんか?賭け?もしこの勝負に私が勝ったならカットを描いて頂けませんか?おぉいいだろう。
それで何を賭けるというんだ?1時間以内に花山さんがそのスケッチブックにカットを描くか描かないかです。
はあ〜?私は花山さんが描かない方に賭けたいと思います。
これっていずれにしても描かなきゃいけないって事か。
ああ。
このまま花山さんが描かなければ彼女の勝ちで結局描くしかない。
描いたら描いたで挿絵は出来上がる。
こりゃあ一本取られましたね花山さん。
ハハッ。
持っていけ。
すてきな家ですね。
小説は平凡な一軒家に住む心優しい男の話だ。
そんな家に住んでいると思ってね。
ありがとうございます!失礼します!あっえっ?あっ…。
これが後に常子と一緒に雑誌を作り戦後の復興に挑んでいく事になる人生最大のパートナー花山伊佐次との出会いでした
(谷)さすが小橋君。
花山伊佐次からカットをもらってくるとは。
町で見かける戦意高揚のポスターもかなり花山さんが割り付けしてるんですよね。
ああ。
言葉と絵の才能を見込まれて病気で満州の部隊を除隊してから内務省に雇われたんだ。
すごい方なんですね。
確かに挿絵もすてきですし…。
でもご本人は苦手です。
いよいよ発売の日
(富樫)大変です大変です!大変です!はぁ…はぁ…。
どうした?社長が警察に捕まりました。
警察?どうして…。
ユーモア特集の企画が検閲に引っ掛かったんです。
笑える読み物を載せるなんて不謹慎だと。
それを不服に思った社長が強く盾ついたものだから…。
待て待て。
どこに行くんだ?面会に。
無駄だ。
会わせてもらえないさ。
よしまずは雑誌の回収に動こう。
取次店と書店に連絡してくれ。
はい。
はぁ…ただいま。
お帰りなさい。
随分ありますね。
うん。
書店に回っている分は回収は全部終わった。
(谷)すまなかったな。
社長!すみません。
私が企画を提案したばっかりに。
おいおいおい企画を出したのは俺も同じだ。
一人の手柄にされちゃ困るな。
ハハハハハ。
あの…それで発売の方は…。
許可は下りた。
はぁ〜よかった。
ただし問題のあるページを全て削除するのが条件だ。
削除…。
社長…ユーモア企画は全て削除って事ですか?
(ページを破る音)
常子の思いは時代の大きな潮流にのみ込まれていったのです
(ラジオ)
(ラジオ)「臨時ニュースを申し上げます。
臨時ニュースを申し上げます。
大本営陸海軍部12月8日午前6時発表。
帝国陸海軍は本8日未明西太平洋においてアメリカ・イギリス軍と戦闘状態に入れり」。
アメリカやイギリスとも戦争が始まるの?終わるどころかどんどん大きくなっていくわ。
12月8日日本軍の真珠湾攻撃によりついに太平洋戦争が始まったのです
政府からの締めつけや検閲はより厳しくなり甲東出版では国の顔色をうかがって出版せざるをえない状況が続いていました
確認お願いします。
私の赤字どこかおかしかったですか?いやそうじゃないよ。
こんな戦意高揚の退屈な読み物ばかりじゃ読者もつまらんだろうと思ってさ。
めったな事言うんじゃない。
そして青柳商店でも…
ただいま。
お帰りなさいまし。
どうした?怖い顔して。
深川の木材商は間もなくお国が全て廃業にするといううわさです。
そんな…。
失礼しやす。
この青柳商店はここで看板を下ろそうと思う。
えっ?女将さん…。
店を畳んで軍に貸し出す。
どうしてです?200年続いた看板を守るといつも…。
(滝子)だからこそさ。
納得のいかない仕事をするのは…私には耐えられない。
私は…あと1年ももたないだろう。
最後くらい格好つけさせておくれよ。
最後に…一芝居つきあってくれないか?芝居?実はこの店を閉める事になってねえ。
陸軍の借り上げの話を…。
受けようと思ってる。
軍に貸していくらかのお金をもらった方が賢明だと思ってね。
おばあ様が決めた事であれば私たちは何も。
目黒にいい借家があってね。
常子さんと鞠子さんの職場からも近いですしよろしいと思いまして。
お気遣いありがとうございます。
いえ。
でも…お母様たちは…?私は木曽の療養地でのんびり過ごそうと思ってるよ。
清も来てくれるっていうしね。
お母さんの事は任せて下さい。
私も一緒に木曽に行きます。
よっちゃん。
とと姉ちゃんもまり姉もかかもみんなで木曽に行けばいいじゃない!
(滝子)私はこの青柳をやめる訳じゃない。
ほんの一時軍に貸すだけさ。
また一緒に暮らせるんだ。
絶対にまた戻ってきてくれますか?ああ。
はい。
フフフフ…。
そして滝子たちが木曽へ旅立つ日を迎えました
おばあちゃまこれを見て下さい。
浴衣です。
でもまだ仕上げてません。
今度お会いする時までに仕上げます。
だから必ず帰ってきて下さい。
ありがとう。
常子。
はい。
木材ってのは40年50年前に植えたものが育って商品になる。
40年後に生きる人の事を思って植えるんだ。
次に生きる人の事を考えて暮らしておくれ。
はい。
さようなら。
ごめんくださいまし。
これが滝子の姿を見た最後となりました。
3か月後深川の木材問屋は全て廃業しました
ほうほうほう。
これが新しい住まいですかい。
浜松の家に少し似てるわ。
また4人に戻ったのね。
改めましてどうぞよろしくお願いします。
(3人)こちらこそ。
小橋一家が4度目の引っ越しを終えた頃日本は苦戦を強いられ始め更なる苦難の時代へ突入していくのです
お待たせ致しました!2016/06/27(月) 00:55〜01:15
NHK総合1・神戸
とと姉ちゃん 一週間 第12週「常子、花山伊佐次と出会う」[字]
常子(高畑充希)は谷(山口智充)・五反田(及川光博)らの出版社で働き始める。のちに雑誌作りのパートナーとなる花山伊佐次(唐沢寿明)と運命の出会いを果たすが…
詳細情報
番組内容
常子(高畑充希)は谷(山口智充)・五反田(及川光博)らの出版社で働き始める。暗い戦争の時代に笑える小説を、と考えた企画が通り、常子ははりきる。その挿絵を、花山伊佐次(唐沢寿明)という変わった男性にやっとの思いで描いてもらうが、のちにともに雑誌を作るパートナーとの運命の出会いだった。一方、青柳商店では滝子(大地真央)が病に倒れ、時節柄木材の商いもできなくなってしまう。引っ越す決意をした滝子は常子に…
出演者
【出演】高畑充希,木村多江,相楽樹,杉咲花,大地真央,唐沢寿明,山口智充,及川光博,片岡鶴太郎,大野拓朗
原作・脚本
【作】西田征史
音楽
【音楽】遠藤浩二
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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