【北京=矢板明夫】中国人民解放軍は5日、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島周辺で大規模な軍事演習を始めたもようだ。海軍の三大艦隊から複数の艦船が参加し、演習規模としてはこれまでで最大級だという。12日にオランダ・ハーグの仲裁裁判所が南シナ海をめぐる問題で裁定を示すのを前に、この海域で海軍力を誇示し、主権問題で妥協しない強硬姿勢を内外に示す狙いがあるとみられる。
軍事に詳しい中国人ジャーナリストによると、今回の演習には南シナ海の防衛を担当する南海艦隊以外からも多くの艦船が参加。北海艦隊からは瀋陽、東海艦隊からは寧波などのミサイル駆逐艦も加わる。これらの艦船は7月初め以降に、海南島の三亜港周辺に結集したという。三大艦隊の主力艦を参加させ、南シナ海問題で譲らない姿勢を強調する狙いがうかがえる。
演習について、中国国防省は「年度計画に基づいた定例の演習だ」と中国メディアに説明している。しかし、演習期間は5日から仲裁裁の裁定発表前日の11日までの約1週間で、裁定が念頭にあるのは明らかだ。
中国海事局が「船舶の進入禁止」に指定した広い海域の上空は、米国の偵察機などがよく活動する場所でもある。2001年4月、米中の軍用機が衝突した海南島事件の発生地も含まれている。
中国の軍事評論家は、「中国に不利な裁定が下されれば、米軍がこの海域で中国に対する軍事的圧力を強化するとみられる。このため、今回の演習は、米軍との軍事衝突という事態も視野に入れて行うものだ」と指摘した。中国紙、環球時報は5日付の社説で、仲裁裁が下す結論は「受け入れられない」と強調した上で米国が深く介入しており公平ではないと断じた。
また、「南シナ海問題で私たちはこれまで忍耐を重ねてきたが、もうこれ以上引くことはできなくなった」とし、「私たちはいかなる軍事的圧力にも、対抗できる準備をしなければならない」と主張した。
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