2016年7月6日(水)

九州・近畿の男は、東京の男より“ハーレム”なのか?

データは踊る【13】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
舞田 敏彦 
武蔵野大学、杏林大学兼任講師

1976年生まれ。東京学芸大学大学院博士課程修了。博士(教育学)。専攻は教育社会学、社会病理学、社会統計学。主な著書に『教育の使命と実態』『47都道府県の子どもたち』『47都道府県の青年たち』(いずれも武蔵野大学出版会)などがある。

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武蔵野大学、杏林大学兼任講師 舞田敏彦=文
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上京せず、地元に残留する男が女にモテる?

私は18歳のとき、鹿児島から東京に出てきました。高校3年の級友の半分以上が県外流出したと記憶しています。鹿児島は高度経済成長期の頃から、若者の流出が全国で最も激しい県だそうです。

各地域の人口流出(流入)の規模を測る指標として、転入超過率というものがあります。ある年の転入者数から転出者数を引いた値(転入超過人口)を、当該年初頭の人口で除して算出します。

首都の東京には毎年、就職などの目的で20代前半の若者がどっと押し寄せてきます。2015年の『住民基本台帳人口移動報告』によると、同年中に東京に転入してきた20代前半人口は10万6925人。逆に東京から他県に流出した同年齢人口は5万6511人。よって転入超過数は、前者から後者を引いて5万414人となります。これを同年1月1日時点の20代前半人口(71万4792人)で除して、東京の20代前半の転入超過率は7.1%となる次第です。

2015年の東京では、人口の移動(mobility)によって20代前半人口が7.1%増えたことになります。一方、鹿児島のような地方県では「転入<転出」ですので、転入超過率はマイナスとなります。同年の20代前半の転入超過率は-2.6%です。10代後半では-3.9%と、流出の振れ幅がもっと大きくなっています。就職時よりも大学進学時の流出が顕著ということでしょうね。

各年齢層の転入超過率をつないだ折れ線グラフにすると、図1のようになります。

見事なコントラストですねえ。東京には若者が入ってくるが、鹿児島からは出ていくと。誰もが肌感覚で知っていることですが、グラフで見せられると唖然とするものがあります。50代後半以降では傾向が反転していますが、定年退職者のU(I)ターンなどによると思われます。

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