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【いま読む日本国憲法】

<参院選編>(中)新条項 9条改憲の「入り口」に

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 憲法論議の「本丸」が九条であることは、護憲派・改憲派ともに認める。参院選公約で六党が改憲の検討内容を具体的に示す中、九条改憲に踏み込んだのは日本のこころを大切にする党だけだった。だが、公約に含まれる新条項を加える案は九条改憲への「入り口」になり得る−。憲法に関する立場がどうあれ、この見方は各党に共通する。

 参院選では、安倍政権下の改憲を否定しない「改憲四党」に位置付けられる自民、公明両党、おおさか維新の会、日本のこころが、改憲発議が可能な三分の二以上の議席に達する可能性がある。ただ、四党の主張は必ずしも一致せず、改憲に向けて具体的な協議をしたこともない。

 自民は二〇一二年発表の改憲草案に国防軍の保持を明記したが「九条改憲は現状では厳しい」(安倍晋三首相)とみている。そこで最初の改憲は幅広い賛同を比較的得やすい項目に対象を絞り、二回目以降の改憲で九条を見直す−という方法論が党内に定着。最初の改憲項目には、緊急事態条項の新設や新しい人権の追記を検討している。

 一方、参院選公約では、こうした項目にほとんど触れなかった。改憲の具体案が争点にならないようにし、次期国会から衆参の憲法審査会で改憲原案の決定に向け「静かに議論を行いたい」(首相)からだ。

 公明は「改憲は否定しないが、自民とは違う提案をしている。九条に触る必要はない」(山口那津男代表)との姿勢だ。環境権などを憲法に書き加える「加憲」の考え方は変えていないが、今回の公約では改憲に言及するのをやめた。

 おおさか維新は、地域政党の原点を踏まえ「道州制実現を含む統治機構改革」を中心に改憲を打ち出した。日本のこころが公約した自衛のための戦力保持など四項目は、自民の改憲草案と方向性が同じだ。

 民進、共産、社民、生活の野党四党は安倍政権下の改憲阻止で一致。九条の平和主義を守ることでも足並みをそろえる。

 民進は「新しい人権や統治機構改革など時代の変化に対応した未来志向の憲法を国民とともに構想する」と公約し、四党の中では唯一、将来の改憲項目に言及した。共産は「首相は過去二回の国政選挙をアベノミクス一本で戦ったが、やったことは憲法破壊だ」と警戒感を前面に出した。

 専門家の間では、新しい人権の例に挙がる環境権やプライバシー権は、現行憲法が定めた幸福追求権(一三条)、生存権(二五条)から読み取れるという意見が多い。緊急事態条項に対しては、政府に過剰な権限を与え、基本的人権の制限につながりかねないとの反対論がある。 (山口哲人)

 

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