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【政治】

原発、参院選終盤も争点化せず 与野党言及避け埋没

 参院選が10日の投開票に向け終盤戦に入ったが、「原発」は目立った争点になっていない。与党は脱原発の世論を警戒。野党側にも、共闘する他党との立ち位置の差をつかれたくないとの思惑があり、双方が積極的な言及を避けてきた結果、埋没した格好だ。

 熊本地震後、活断層の影響を中心に原発の安全性は国民の関心事だが、稼働への賛否を巡り民意が二分する中、脱原発票は行き場がない状況となっている。

 先月21日の東京都内での党首討論会。経済や憲法改正が論戦となったのに対し、原発はほとんど議題にならなかった。自民党関係者は「今、原発を議論する必要はない」と冷ややかだ。

 安倍政権は一貫して再稼働を進める方針を掲げてきた。この1年で九州電力川内1号機(鹿児島県)を皮切りに、同2号機、関西電力高浜3、4号機(福井県)が再稼働した(高浜は司法判断で停止)。今月26日には四国電力伊方3号機(愛媛県)が動く見通しで、自民としては再稼働の流れを加速させたい考え。

 一方、野党の事情は複雑だ。共闘を組む4党のうち共産、社民、生活の3党が再稼働への反対を明確にしているのに対し、電力系労組と関係が深い民進党は歯切れが悪い。同党は「2030年代原発ゼロ」を掲げ、40年運転制限の厳格運用などの前提を示して当面の再稼働を事実上容認した。

 ある民進関係者は「組織力のある電力系労組の手前、原発政策を正面から訴えにくい雰囲気だ」と明かす。共闘を組む他党関係者からは「原発は国政の重要テーマ。争点化しないのは有権者に対して不誠実だ」との声が聞かれる。

 昨年9月の日本世論調査会の世論調査では、再稼働に「反対」が58%と「賛成」の37%を大幅に上回った。民進関係者は「議論から『逃げている』と見られれば、政治不信しか生まない」と懸念を示している。

(共同)
 

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