後楽園ホールビルに響いた怒号
プロボクシングの試合やジムを管理・運営する日本ボクシングコミッションが、いま、ある危機を迎えている。各選手とジムが積み立ててきた「健康管理金」(健保金)の使い道を疑問に思った老舗ジムの会長らが、日本ボクシングコミッションの幹部らを追及しはじめたのだ(執筆者/藤岡雅)。
東京ドームシティの「後楽園ホールビル」に、一人の古老が怒りに震えて入っていったのは6月20日の午後1時のことだった。
その人物とは、名古屋の名門・緑ボクシングジムの松尾敏郎会長。元WBA世界スーパーフライ級王者の飯田覚士、元WBA世界バンタム級王者の戸高秀樹と二人の世界王者を育て上げた敏腕トレーナーであり、中日本ボクシング協会の元会長で、日本プロボクシング協会の副会長も務めた重鎮である。
松尾氏は日本ボクシングコミッション(JBC)の本部に入るなり、JBCの浦谷信彰統括本部長にこう通告した。
「健保金の問題をつまびらかにしないのなら、あなたを刑事告発する」
浦谷氏はJBCの業務執行を取り仕切る事務方のトップ。その浦谷氏を刑事告発するというのだから、ただ事ではない。JBC本部は瞬く間に凍りついた。
松尾氏は浦谷氏に健保金の残高の開示を求めたが拒絶され、話し合いは決裂。松尾氏は意を決したように部屋を出て行った。しばらくしてから隣接する「黄色いビル」から、日本プロボクシング協会の渡辺均会長と金平桂一郎理事が、松尾氏の報告を受けてJBCにやってきた。
2人はそれぞれ、WBA世界スーパーフライ級王者の河野公平や元WBAスーパーフェザー級王者の内山高志を擁する「ワタナベジム」の会長と、海老原博幸、具志堅用高をはじめ12人の世界チャンピオンを輩出した「協栄ボクシングジム」の会長である。名門ジムのトップ2人も健保金の残高の開示を求め、激しいやり取りが繰り返された。
話し合いは2時間を超えた。それでも浦谷氏は残高を明らかにしようとはしなかったが、2人も頑として引き下がらなかった。根負けした浦谷氏は、ついにこう答えたのだった。
「2200万円です」
そこまで減額していたのか――。この金額は2人にとって想像を超えたものだった。
金平氏は激昂した。
「今すぐ補てんしろ!!」
その怒声にJBCの職員は皆、震え上がったという。
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