中国機への緊急発進が急増 日本側での活動が活発化
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領空侵犯のおそれがある国籍不明機に対する自衛隊機のスクランブル=緊急発進は、ことし4月からの3か月間で中国機に対する発進が199回に上り、昨年度の同じ時期に比べておよそ1.7倍に増えました。防衛省は、中国軍が日中中間線を越えた日本側の空域で活動を活発化させる傾向があるとして、動向を分析しています。
防衛省によりますと、航空自衛隊の戦闘機が行ったスクランブル=緊急発進は、ことし4月から先月までの3か月で281回と、前の年の同じ時期に比べて108回増えています。
このうち最も多かったのが、中国機への緊急発進で、199回と、年間で500回を超えて過去最多となった昨年度の同じ時期に比べて、およそ1.7倍になったということです。
中国機への緊急発進が増えていることについて、防衛省は、中国が軍事力の増強を続けるなかで活動範囲を南下させ、日中中間線を越えた日本側の空域で活動を活発化させる傾向があるとしています。
また、この数年は戦闘機に対する緊急発進が増えてきているということで、防衛省は中国側の動向を詳しく分析しています。
このうち最も多かったのが、中国機への緊急発進で、199回と、年間で500回を超えて過去最多となった昨年度の同じ時期に比べて、およそ1.7倍になったということです。
中国機への緊急発進が増えていることについて、防衛省は、中国が軍事力の増強を続けるなかで活動範囲を南下させ、日中中間線を越えた日本側の空域で活動を活発化させる傾向があるとしています。
また、この数年は戦闘機に対する緊急発進が増えてきているということで、防衛省は中国側の動向を詳しく分析しています。
スクランブル 那覇基地の対応は
中国機への緊急発進は主に沖縄の航空自衛隊那覇基地が対応していますが、増加の傾向が続いていて、この半年間は1日に2回以上の割合で発進しています。
那覇基地では4日も午前8時半ごろ、緊急発進の命令を受けたF15戦闘機2機が南西の東シナ海の方角に向け、慌ただしく飛び立っていく様子が見られました。機体の翼と胴体部分には、ふだんの訓練では搭載していない、誘導ミサイルも確認できました。
防衛省によりますと、那覇基地では、緊急発進が増加の傾向にありますが、ことしに入ってから特に増えていて、先月までの半年間で390回以上、1日に2回以上の割合で発進しています。
また、通常は戦闘機2機で緊急発進することが大半ですが、このところ1度に4機や6機発進する様子も見られ、日中中間線を超えて飛来してくる中国機の機数の多さが影響しているということです。
那覇基地では4日も午前8時半ごろ、緊急発進の命令を受けたF15戦闘機2機が南西の東シナ海の方角に向け、慌ただしく飛び立っていく様子が見られました。機体の翼と胴体部分には、ふだんの訓練では搭載していない、誘導ミサイルも確認できました。
防衛省によりますと、那覇基地では、緊急発進が増加の傾向にありますが、ことしに入ってから特に増えていて、先月までの半年間で390回以上、1日に2回以上の割合で発進しています。
また、通常は戦闘機2機で緊急発進することが大半ですが、このところ1度に4機や6機発進する様子も見られ、日中中間線を超えて飛来してくる中国機の機数の多さが影響しているということです。
元空将 日中間で早急に対話の枠組みを
中国機への自衛隊機の緊急発進が急増していることについて、戦闘機のパイロットだった航空自衛隊の元空将は「意図しないなかで、危険な行動に発展するおそれがある」と述べ、偶発的な衝突を防ぐための日本と中国の対話の枠組みを早急につくることが重要だと指摘しました。
中国機への緊急発進が急増している背景について、航空自衛隊の戦闘機パイロットなどを経て司令官を務めた永岩俊道元空将は「中国の空軍力は、海軍の海洋進出とあわせる形で、2013年に東シナ海上に防空識別圏を設定して以降、飛躍的に伸びており、活動が活発化しているようだ。警戒監視や戦闘機のコントロールなど運用体制も整いつつある」と指摘しています。
また、かつての冷戦時代、パイロットとして対応してきた旧ソ連機との違いについては、「ソ連は偵察機や爆撃機で接近するのが一般的だったが、中国は場合によって戦闘機で活動を仕掛けてくることが決定的に違う。戦闘機は1分間で10キロ以上飛行する速さがあるうえ、ミサイルも搭載しているため、意図しないなかで、危険な行動に発展するおそれがある」と述べました。
そのうえで、今後の対策について、「日中の防衛当局の間には、政治レベルでも部隊レベルでも対話のチャンネルがなく、相手の行動が予想できないのでリスクは高い。相手が何を考えているかや、どういった形で共通認識が持てるのかを確認するための対話が極めて重要だ」と述べ、日中間で緊急時に連絡を取り合う「連絡メカニズム」など、偶発的な衝突を防ぐための対話の枠組みを早急につくることが重要だと指摘しました。
中国機への緊急発進が急増している背景について、航空自衛隊の戦闘機パイロットなどを経て司令官を務めた永岩俊道元空将は「中国の空軍力は、海軍の海洋進出とあわせる形で、2013年に東シナ海上に防空識別圏を設定して以降、飛躍的に伸びており、活動が活発化しているようだ。警戒監視や戦闘機のコントロールなど運用体制も整いつつある」と指摘しています。
また、かつての冷戦時代、パイロットとして対応してきた旧ソ連機との違いについては、「ソ連は偵察機や爆撃機で接近するのが一般的だったが、中国は場合によって戦闘機で活動を仕掛けてくることが決定的に違う。戦闘機は1分間で10キロ以上飛行する速さがあるうえ、ミサイルも搭載しているため、意図しないなかで、危険な行動に発展するおそれがある」と述べました。
そのうえで、今後の対策について、「日中の防衛当局の間には、政治レベルでも部隊レベルでも対話のチャンネルがなく、相手の行動が予想できないのでリスクは高い。相手が何を考えているかや、どういった形で共通認識が持てるのかを確認するための対話が極めて重要だ」と述べ、日中間で緊急時に連絡を取り合う「連絡メカニズム」など、偶発的な衝突を防ぐための対話の枠組みを早急につくることが重要だと指摘しました。
不測の事態どう防ぐかが課題に
日本と中国の両政府の間では、海上や空での偶発的な衝突を避けるための「連絡メカニズム」の運用に向けて協議が続けられ、緊急時に電話で連絡を取り合うホットラインの設置などが決まっていますが、運用開始のめどは立っておらず、不測の事態をどのように防ぐかが課題になっています。
日中の「連絡メカニズム」は、8年前の2008年に協議が始まり、日本政府が尖閣諸島を国有化して以降、およそ2年半中断されましたが、去年再開され、協議が続けられています。
去年6月に行われた5回目の協議では、防衛当局の幹部どうしが電話で連絡を取り合えるホットラインを設置することや、双方の航空機や艦艇が無線で交信できる共通チャンネルを設定することなどが決まりました。
しかし、具体的な手順や条件などを巡って調整が続いていて、運用開始のめどは立っていません。
不測の事態を防ごうという取り組みは、日本とロシアの間ではすでに行われていて、1993年に結ばれた「海上事故防止協定」の中で、攻撃につながるような行動を禁止したり、現場どうしが無線で交信できる共通のチャンネルを設定したりしています。
また、艦艇については、おととし、海上自衛隊や中国海軍など太平洋地域の多国間の枠組みとして、射撃管制レーダーの照射を避けるなどの行動基準が定められています。
一方、航空自衛隊と中国空軍の間にはこうした行動基準もなく、不測の事態をどのように防ぐかが課題になっています。
日中の「連絡メカニズム」は、8年前の2008年に協議が始まり、日本政府が尖閣諸島を国有化して以降、およそ2年半中断されましたが、去年再開され、協議が続けられています。
去年6月に行われた5回目の協議では、防衛当局の幹部どうしが電話で連絡を取り合えるホットラインを設置することや、双方の航空機や艦艇が無線で交信できる共通チャンネルを設定することなどが決まりました。
しかし、具体的な手順や条件などを巡って調整が続いていて、運用開始のめどは立っていません。
不測の事態を防ごうという取り組みは、日本とロシアの間ではすでに行われていて、1993年に結ばれた「海上事故防止協定」の中で、攻撃につながるような行動を禁止したり、現場どうしが無線で交信できる共通のチャンネルを設定したりしています。
また、艦艇については、おととし、海上自衛隊や中国海軍など太平洋地域の多国間の枠組みとして、射撃管制レーダーの照射を避けるなどの行動基準が定められています。
一方、航空自衛隊と中国空軍の間にはこうした行動基準もなく、不測の事態をどのように防ぐかが課題になっています。