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風の魔公
「きゃっ!な、なんでこんなものを!はずかしい!」
カエデは思わず顔を覆ってしまう。パンツもはいてない生だったからだ。
「こんなの、いらないです!」
慌てて蓋を閉じようとしたが、その前に股間は飛び出して右手と並ぶ。
二つの部品はまるで再会を喜ぶかのようにじゃれあっていた。
「き、気持ち悪い……」
ち○こと右手がまるで恋人のようにお互いをぐるぐる回るのは、不気味でシュールである。ひとしきりじゃれあった後、それらはカエデを誘うようにぴょんぴょんと飛び跳ねながら先に進んでいった。
「……あれはなんなのでしょうか……仕方ないですね」
しぶしぶカエデもついていく。
しばらく行くと、また同じような宝箱がある。
「……」
いやな予感がしたのであけるのを躊躇っていたが、右手がつんつんと足をつついてくる。
「……わかりましたよ。もう……」
しぶしぶ宝箱を開けると、予想通りに人体の一部である右足が入っていた。
「……」
不安と不気味さを感じながら、彼らについていく。ダンジョンの奥にすすむにつれて、どんどんパーツが集まっていった。
数時間後
ついにカエデは「風の墓場」の最深部に到着する。
巨大な扉の前に祭壇があり、何かが乗っていた。
首以外すべてのパーツがそろった人体が、その祭壇の前で祈りのポーズを取っている。
「……予想はしていましたが、やっぱり……」
カエデがおそるおそる近づいてみると、祭壇の前に晒されているのは生首だった。
首の切り口には薄い鉄板が貼り付けられて、封印の呪文が書かれている。
その首には、濁った緑色の宝石のペンダントがかかっていた。
祭壇には宝箱が祭られている
「え?もしかして、この中に『幼竜の肉』があるのかも」
おそるおそる近づいて、宝箱を開けようとしたときー
『……良くぞきた!!ソレイユの子孫よ!』
重々しい声が響き渡り、生首の目が見開いた。
「ひいっ!」
いきなり思念波で呼びかけられて、カエデは驚いて逃げようとする。
しかし、生首の口から緑色の煙が吐かれ、それを吸い込んだカエデはその場にへたりこんでしまった。
「う、動けない……」
腰が抜けた美少女を前に、生首はいやらしく笑う。
『ふふふ……この地に封印されて400年。やっと宝に釣られた愚かな生贄が来てくれた。それがソレイユの子孫とは運がいい』
生首が合図すると、胴体が動いてカエデを拘束する。
「あ、あなたは……」
『我は風の魔公シーフ。貴様の魔力、最後の封印を破るために使わせてもらおう』
生首がおおきく口を開ける。
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
暗いダンジョンに、カエデの絶叫が響き渡るのだった。

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