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貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
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再会

そんなある日ー
カエデはお使いを命じられていた。
「ええと……買い物はこれで全部ですわね」
カエデは何度も買ったものとメモを確かめる。間違えたらその分怒られるので、彼女も必死だった。
「はあ……まるで奴隷みたいです」
くすんだ色のメイド服をきた今のカエデは、ため息をつく。人目を避けるように小さな屋敷を出て、こそこそと下町のほうに向かうが、運悪く昔の友人とすれ違ってしまった。
「あら……もしかして、カエデ?その格好は?」
その友人は目を丸くしている。彼女は貴族のお嬢様らしく、上質の服にいいにおいがする高い香水をつけていた。
「い、いえ、人違いです」
そのまま顔を伏せて脱兎のように走り去る。彼女の目には悔し涙が浮かんでいた。
(悔しい!!!!!!!!!もういや!!!!)
心の赴くまま、めちゃくちゃに全力疾走する。
いつのまにか雨が降ってきて、全身ずぶ濡れになってしまったが、そんなことを気にする余裕もないほど悲しみにくれていた。
気がつけば、カエデは以前すんでいた旧ソレイユ家の邸宅の前にいた。
(う、うう……)
玄関の前についたカエデは、息が切れてへたりこむ。扉は固く閉ざされ、『売却先求む』の看板がかかっていた。
(そんな……)
屋敷にいたころの楽しい思い出がよみがえる。自分の兄弟だけではなく、隣のセイジツ金爵家に養われていた金髪の男の子とも兄弟のように遊んでいた。
「う、うう……うえええええええええん」
それをみたカエデは、恥も外聞もなく子供のように泣きじゃくった。
「これ……何を泣いているんだい? あっ、君は……」
突然、やさしい声がかけられて、清潔なハンカチが渡される。
びっくりして顔を上げたカエデが見たものは、隣の屋敷の住人だった。
「セイジツおじ様……」
子供の頃から知っていて、よくお菓子をくれていた、アポロ・セイジツ金爵である。
「やはりカエデちゃんか。大きくなったね。見違えたよ」
美しい金髪を揺らして、にっこりと笑いかけてくる。
「おじさまぁ……」
カエデは彼にすがり付いて泣き出すのだった。
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