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貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
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兜の強奪

「くっ!」
長に切りかかったアベルは顔をゆがめる。長は体を丸めて、刺で『鋼の剣』を受け止めていた。
『どうした若造!その程度か!なら、こっちの番だ!』
何百もの針がいっせいにアベルのほうに向く。
「『百針弾』」
百発もの鋭い針がアベルを襲う。アベルが張っていた光の盾はもろくも砕け、アベルの胴体に針が突き刺さった。
「ぐっ!」
アベルは苦痛を感じてうずくまる。
『思い知ったか偽勇者……ぬっ?』
しかし、次の瞬間、長は驚きの声を上げた。
アベルはふらつきながらも、立ち上がったからである。
「ふう……危ないところだったぜ。この服を下に着込んでいてよかった」
アベルがボロボロになった服とマントを脱ぎ捨てると、キラキラと輝くスーツが現れた。
『そ、それは『天竜の鎧』!ありえぬ!クイーンが貴様を認めるはずがない!」
「うるせえ!死ねっ!」
アベルは針をなくして生身となった長の体を、『鋼の剣』で切り裂く。
「チューーーーーー!」
残ったネズミたちは、長が倒されたのをみてあわてて逃げ出していった。
「あはは、僕にかかれば魔物なんてこんなものだ。さて、兜は……」
全身長の血に染まったアベルは、高笑いしながら辺りを探す。
すると、小川のそばに小さな祠があるのを見つけた。
「たぶんここだな……あった!」
祠の扉を開けてみると、小さな宝箱がある。あけてみると、光り輝くヘルメットが入っていた。
「これが『天竜の兜』か!」
歓喜しながら頭に装備する。ヘルメットは最初は重かったが、胸のダイヤが輝くにつれて次第に軽くなっていった。
「ふふふ!やはり僕こそが勇者だ!」
ネズミたちの血にまみれた姿で、勇者アベルは一人笑う。
その胸のダイヤペンダントは、彼を祝福するかのように妖しく輝いていた。
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