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貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
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奪われた剣

「おうおう。兄ちゃんよう。お貴族の坊ちゃんがこんなところに来るのはいただけねぇなあ。金を置いてさっさとうせな」
端正な顔を必死にゆがめて脅しをかける優男に、冒険者たちは失笑する。
「あはは!なんだそれ!」
「チンピラがよく似合っているぜ!」
仲間たちからからかわれて、ケインは真っ赤になった。
「う、うるさい!こほん。坊主、悪いことはいわねえ。てめえみてえな餓鬼なんか冒険者になれっこねえんだよ。わかったら身包みおいて、さっさとお家に帰るんだな!」
必死になって悪ぶるケインは、もちろん本気ではない。これも彼らのお仕事なのだ。
こうして貴族の坊ちゃんや世間知らずの少年が安易に冒険者になろうとするのを防いでいるのだった。彼らは大体のところ修羅場を経験していないので、高ランクの冒険者に絡まれると大抵ないて謝って心が折れる。まれに反抗してくる者もいるが、コテンパンにやられて下着姿で追い出されるのがオチだった。
もちろん、それでもあきらめない冒険者志望の者には、後からちゃんとギルドから装備を返還される。これはいわば冒険者になるための試練である。
しかし、目の前の少年は不適な笑みを崩さなかった。
「ふん。下賎な冒険者め。そこをどけ……おや?」
アベルは剣士が挿している剣に目をとめる。それには見覚えがあった。
「それは『鋼の剣』か?」
「ああ、そうだが?」
ケインは、ただの貴族の坊ちゃんが自分の剣を知っていたので不思議に思う。
「ふん。ちょうどいい。それは元々ボクのものだ。よこせ!」
ケインにビビるどころか、剣を渡せと迫ってくる。
見ていた冒険者たちは、素人の少年に逆に絡まれているケインをみて大笑いしていた。
さすがのケインも頭に血がのぼる。
「おい、いい加減にしろよ。あまり舐めていると……」
「『勇光弾』」
アベルはいきなり至近距離で光の魔法を放つ。ケインは反応できず、何メートルも吹き飛ばされて気絶した。
「ケイン!しっかりして!ヒール!」
白姫ノルンは仰天してケインに駆け寄り、治癒魔法をかける。
あまりの事態に、笑いながら見ていた冒険者たちもあっけに取られた。
「……ふん。これはもらっておくぜ」
床に落ちた『鋼の剣』をアベルは拾い、得意そうな顔になる。
そのままギルドを出て行こうとしたが、肩をつかまれた。
「なんだ……うっとうしい」
振り返ったアベルは、仲間を傷つけられて怒りに震える冒険者たちと目が合う。
「……坊ちゃん。もう遊びじゃすまねえぜ」
「とりあえず、その剣をケインに返して謝れ」
威嚇してくる冒険者に対して、アベルは冷たく笑う。
「ちょうどいい。この『鋼の剣』の威力をためさせてもらおうか」
剣はアベルの魔法を帯びて、キラキラと輝いていた。
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