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再戦の申し込み
シャイロック家
リトネに呼ばれて、将軍は内心ドキドキしていた。
(……大事な話があるから執務室にこいって、なんだろうか?やはり、この間のことを怒られて、何らかの処分が下されてしまうんだろうか?……あきらかにやりすぎだったもんな)
マザーに命令されて、リトネを軍の力でひどい目にあわせてしまったことを悔やむ。
(でも、マザードラゴンに逆らえっこないし……)
はぁぁーと深いため息をつく。彼からは中間管理職の悲哀が感じられた。
(とにかく、怒られたら土下座して謝ろう)
彼のような宮仕えの騎士も、板ばさみになってなかなかつらい思いをしているのである。
意を決して執務室に入ると、将軍はすぐに土下座した。
「リトネおぼっちゃま!この間はまことに失礼してしまい、申し訳ありませんでした!すべて私の不徳のいたる事でございます!」
「立ち上がってください。そんなことをされたら話もできません」
そういわれて。将軍はおそるおそる頭をあげる。リトネは以外にも笑顔を浮かべていた。
「あの戦いは私にとっても、シャイロック家にとっても非常に有意義なものでした。個人的な強さを誇るだけの者に、どのように軍を指揮して戦いを挑むべきが、大いに学ばせていただきました」
「そ、そういっていただけますと救われます。さすがお坊ちゃまです。器が大きい!」
将軍が必死に褒めて機嫌をとる。
しかし、リトネは次に邪悪な笑顔を浮かべる。
「ただし……一度敗北した者は、より強くなってまた戦いを挑んでくることがあります。シャイロック軍はそのことも想定して、常に進歩していかねばなりません」
「は、はい……」
「なので、一週間後にリベンジさせていただきます。あなたがもつすべての戦力をもって、かかってきなさい」
リトネはにやりと笑いかける。結局負けず嫌いな彼だった。
将軍を下がらせた後、婚約者たちも執務室に呼んで再戦を申しこむ。
「……もう一回戦うの?負けたことなんて気にしなくていいのに」
「そうだよ。そもそも2000人対1人で戦って、リトネ君が勝てるわけないんだから」
ナディとリトルレットは、そういってリトネをなだめようとするが、リトネは首を振る。
「いやだ!今度はこっちが挑戦する番だぞ。ちゃんと策はあるんだ」
そういって駄々を捏ねる。しかし、トーラはむしろ感心していた。
「あっはっは。よく言った!それでこそ男の子だ!あたいはその挑戦受けたぜ!ただし……」
トーラはビシッと指を突きつける。
「つぎにあたいが勝ったら、覚悟しておけよ。てめえの尻にああしてこうして……」
危ない目をして何かを妄想するトーラに背筋が寒くなるが、もう後には引けない。
「好きにすればいいさ!なら、俺が勝ったら、次は添い寝してもらうぞ」
顔を突きつけあって、ぐぬぬとなる。
それを聞いてナディとリトルレットは真っ赤になっていった。
「……そ、添い寝?」
「ちょっと待ってよ!一緒に寝るって……そんな」
焦って首を振るが、トーラは相手にしない。
「いいさ、ケツを洗って待っているんだな。よし、作戦を練るぞ!」
そういうと、トーラはナディとリトルレットを連れて退出していった。
「……お兄ちゃん、本当に大丈夫?」
後に残ったリンが心配してくるが、リトネは笑っている。
「大丈夫さ。リンは後方で見ていてくれ。できるだけ誰も傷つけないように戦うけど、それでも誰かが怪我するかもしれないからな」
そういってリンを優しくなでるのだった。

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