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虚竜拳
「はっ!今のは?」
リトネが目を開けると、周りではブヒーたちが楽しそうに踊っていた。
尻をフリフリひけらかせて、倒れたリトネをからかう。
「てめえら!いい加減にしろ!」
ちょうど目の前にいたブヒーの尻を、思いっきりぶったたく。
「ブヒー!キモチイイー!」
叩かれたブヒーは、歓喜の声を上げて飛んでいった。
(あれ?今のは?)
リトネは叩いた自分の手を見て、首をかしげる。ほとんど力はいれずに、『気』を相手の尻に思いっきりたたきつけたのである。
それだけで重いグレートブヒーが飛んでいくほどの衝撃を与えられるわけはないのだが、現にブヒーはビニール人形のように吹っ飛んでいた。
踊っていたブヒーは、ぴたりと動きをとめて、リトネをみる。
次の瞬間、何十匹のブヒーが殺到してきた。
「タタイテ!」
「ワタシモ!」
殺到する尻に向けて、今の感覚で気をぶつける。
「えっと!こいつらは本当は軽いんだ!『虚竜拳』」
そう念じながら気を通して尻を打つと、本当に風船でもあるかのように重いブヒーが空を飛ぶ。
あっというまに群がっていたブヒーは蹴散らされ、空を舞って地面に激突して気絶した。
ほっとするリトネの前に、巨大な尻がふってくる。
「ブヒ!ボクモ!」
上空から落ちてきたのは、キングブヒーであるドーンコイの巨大な尻だった。
「『虚竜拳』」
リトネは重さが無となるフィールドを周囲に設定し、自らの身を守る。
ドーンコイの尻はリトネを押しつぶす寸前に重さを打ち消され、空気抵抗によってふわっと浮き上がった。
「アレ?」
「お仕置きだ!」
リトネはその尻を蹴り上げると、ドーンコイの巨体が宙に舞う。
そのままリフティングの要領で、どんどん高くなるように蹴り上げていった。
「いまだ!」
自分の体を軽くして、リトネは飛び上がる。そのまま空中でドーンコイの体をキャッチしたリトネは首を股で固めて頭を尻の下に敷いた。
「くらえ!マッスルリフティング!」
自分とドーンコイの体重をかけて、すごい勢い勢いで地面めがけて落下していく。
「いかん!殺すでない!奴は修業に協力したにすぎんのじゃ!」
「ブヒーーー!」
マザーとドーンコイの悲鳴が響き渡る。
そのままドーンという音とともに、土煙が舞い上がった。
「リトネ……キングブヒーを殺してしまったのか?」
マザーが焦っていると、土煙が晴れていく。
「……よかった。思いとどまってくれたようじゃのう」
マザーは結果をみてほっとする。ドーンコイは尻から地面に激突していた。
「……師匠の声が聞こえましたからね」
リトネがはにかみながら立ち上がる。最後の瞬間に頭を入れかえ、尻から落ちるようにしたのである。
「ブヒヒ……イタカッタ。シリガワレチャッタ」
しかし、痛みの限界値を超えたのか、ドーンコイは尻を押さえて泣いている。
「尻は最初から割れているんだよ!」
リトネがそう突っ込むと、グレートブヒーたちから笑い声が響き渡るのだった。

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