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迫り来る尻
ブヒーたちの尻を必死に受けとめていたリトネだったが、しだいに『気』のバリアーが薄くなってくる。
「なっ!」
「ああ。ブヒーたちの尻息は、『気』を侵食する。いつまでも気の盾は持たんぞ」
空中でニヤニヤと笑っているマザーの言葉をきき、リトネは心底恐怖を感じた。
「ブヒヒ……アトスコシ」
四方八方から迫ってくる尻の恐怖に耐え切れず、リトネの『気力』が尽きる。
「ブヒッ」
次の瞬間、あらゆる方向から尻が押し寄せてきたので、リトネは死に物狂いでジャンプして逃げ出した。
「もうやだ!尻怖い……かあさん!じいちゃん!」
恥も外聞もなく逃げ回るリトネの前に、 ひときわ大きなグレートブヒーが現れる
「グフフ……リトネチャン……アソボウ。ドーントイクヨ」
それは、擬人化すれば太った中年男のようなブヒーだった。
「あ、あんたは、まさか……」
「ウン。ボクガキングブヒー。ナマエハ、ドーンコイ。グフフ」
キングブヒーはひときわ巨大な尻でジャンプし、上空からリトネを尻で押しつぶそうとしてくる。
「柔竜拳!」
リトネは死に物狂いで受け止めるが、巨大な尻の下敷きになってしまった。
リトネを尻に敷いたドーンコイは気持ちよさそうな顔になる。
「ウン……イイカンショク。ヤワラカイ」
ひとしきり『気』で尻を拭いた後、ドーンコイは真剣な顔になってリトネに聞いた。
「……ココデ、シテイイ?」
「何を?ば、ばか!やめ……」
リトネは必死になって首を振るが、ドーンコイ は力を入れてふんばる。
「プッ」
以外にかわいらしい音が響き渡り、『気』が雲散霧消する。
リトネの顔面に涼風がかかった次の瞬間、やわらかい何かが降りてきた。
「くさっ!きゅぅぅぅぅぅぅ」
リトネは白目をむいて気絶してしまうのであった。
リトネの部屋
さすがにやりすぎたと反省した婚約者たちは、リトネの機嫌を取ろうと料理を作って待っていた。
「……おいしそう……」
トリの丸焼きや魔物のステーキ。南部の港町ポムペイから運んだ豪華な魚料理が並んでいるのをみて、リンがごくっとのどを鳴らす。
「……だめ。リトネが帰ってから、みんなで食べよう」
ナディが第一夫人候補らしく、リンをたしなめた。
「しかし、リトネ君おそいね。まだ修業がつづいているのかな」
なかなか帰ってこないリトネを、リトルレットは心配している。
「まあ、旦那なら大丈夫だろ。しかし、それにしても美味そうだな」
リンと同様にトーラもごちそうを前にして、よだれを垂らしていた。
「……ところでトーラ、その格好は何?」
ナディがそんなトーラに冷たい目を向ける。
「へへ。いいだろ。男はこういう格好で嫁さんに出迎えられるのが夢なんだぜ」
トーラは得意そうに大きな胸を突き出す。彼女は下着姿にエプロン一枚という格好だった。
「そうよ。はしたないよ」
リトルレットも顔を真っ赤にしている。
「何とでも言ってくれ。あたいは一刻もはやくアッシリア家の世継ぎを作らないといけねえんだ。だから、この料理で精をつけたリトネと今晩にでも……」
トーラがそこまで言ったとき、ドアが開いてマザーが入ってくる。
「お帰りなさい……え?」
マザーに引きずられて入ってきたものをみて、婚約者たちは絶句する。
それはボロボロになって白目をむいているリトネだった。

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