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最悪の魔物
「くそっ!」
『柔竜拳』を使い、着地したリトネは、すばやく警戒してあたりを見渡す。
すでに周囲はグレートブヒーに取り囲まれていた。
「グフフ……ショウネン」
オスのグレートブヒーがにやりと笑う。
「カワイイ……」
なぜかパーマをかけたおばさんのようなメスのグレートブヒーが舌なめずりする。
彼らはブタのような姿をしているが、特徴的なのはその発達した尻である。
彼らはその尻を武器として使っていた。
彼らの鼻息がどんどん荒くなっていく。
「オレノケツヲアジワエーーーーーー!」
次の瞬間、いっせいに黒光りする尻をリトネに向けて後ろ向きで迫ってくる。
「くそっ!」
リトネはやわらかい気をまとって巨大な尻を受けとめ、身を翻した。
「アア……イイカンショク」
「カンジル……モットナデテ……」
柔らかな気によって尻をなでられたブヒーたちは恍惚とし、さらに鼻息荒くして迫ってくる。
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!くそ!」
何匹もののブヒーの尻に囲まれ、リトネは叫び声をあげた。
「ううっ……『剛竜拳」」
次は硬い気の防御壁でガードすると、バチーンという音がして、尻は跳ね返された。
「イタイ……デモ」
「コレガクセニナルノ……」
やっぱり気持ちよさそうな顔になるブヒーたちに、リトネは心底総毛だった。
(くそ……『最悪の魔物』の別名は伊達じゃないな!聞きしに勝る変態どもだ!)
リトネが思ったとおり、彼らの性癖は一般的な生物のものではない。
苦痛を快楽に変え、快楽をさらなる快楽へと昇華させる筋金入りの変態魔物なのである。
別名「マゾブタ」ともいい、冒険者たちから恐れられる存在だった。
彼ら自身はそれほど強くはなく、強靭な尻に気をつければ倒すことは難しくない。ただし、傷つけてしまうとより喜んで迫ってくる。
そのくせ命に対する執着は強く、殺してしまうとずっと目をつけられて一生仲間に追い回される。
まさに最悪といっていい魔物だった。

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