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グレートブヒー
「リトネはどうしたのじゃ。修業の時間じゃぞ!」
「それが、お兄ちゃんひきこもっちゃって……」
リンが困惑しながら状況を説明する。
「ふん。あの程度で心が折れるとは、情けない!」
「師匠はほっといてください!」
なかなかリトネの機嫌は直りそうになかった。
「しかたないのう……これ、おまえたち」
マザーは婚約者たちを呼んで、そっと耳打ちする。
大きくうなずいたリトルレットは、あるものを持ってきた。
「……これがあの時の記念写真?」
「そうだよ。よく撮れているでしょ?」
「あはは、面白れー。城の玄関に飾っておこうぜ!」
「……お兄ちゃん。お尻本当にきれい」
わざとリトネに聞こえるように大きな声ではなす。
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
次の瞬間、顔を真っ赤にしたリトネが部屋から出てきて、婚約者たちから写真をひったくってビリビリに破いた。
「がるるるるる!」
傷ついたケダモノのように威嚇するリトネの頭を、マザーがむんずとつかむ。
「ようやく出てきたか。それじゃあ次の修業に取り掛かるぞ」
マザーは問答無用でリトネを捕まえて、空に飛び上がった。
「おまえら~、おぼえとけ~後で絶対ふくしゅーしてやるからなぁ!」
後にはリトネの叫び声だけが残されるのだった。
巨豚の丘
リトネの故郷であるロズウィル村の近くにある、魔物の領域である。
そこでは、奇妙な魔物が生息していた。
「ブヒブヒ」
そのような鳴き声とともに、ドーンドーンという音が聞こえる。
丘にはちょうど尻のような形の跡があちこちに付いていた。
「し、師匠、ここは……まさか?」
空を飛んで風にさらされたため、だいぶ頭が冷えて正気に戻ったリトネがおびえる。
「察しの通り、Bランクモンスター、グレートブヒーの生息する丘じゃ」
マザーが面白そうに下を見下ろす。
何体ものグレートブヒーが飛び跳ねているのが見えた。
「嘘ですよね。ここに突き落としたりしませんよね」
リトネは必死にマザーに懇願するが、マザーは冷たく笑って首を振る。
「『雲亢竜拳』の次の段階は、一人でも軍に対抗できるための拳じゃ。名前は『虚竜拳』じゃ。これをマスターすれば、勇者と名乗っても差し支えあるまい」
「いや、だから、俺は勇者じゃないので……頼みます、お願いだからここだけはやめてください!」
「もう遅い。すでに長のキングブヒーにも話は通しておる。アルテミックの後継者がくると聞いて、皆喜んでいたぞ」
マザーはにやりと笑って、リトネを突き落とす。
「いゃだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
リトネは絶叫しながら落ちていった。

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